「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「大宰府のもみじ」

2012-11-28 01:29:51 | 和歌

 久しぶりの九州大学訪問を機に、九州の歴史の一端に触れたいと念じて、滞在を一日延長した。 ところが旅行シーズンと重なって、博多駅周辺のホテルは軒並み 満杯で、やっと予約が取れたのは大宰府だった。九州の土地勘に疎い虚庵居士は、博多から大宰府は随分遠いものと思っていたが、調べたら電車でたった30分程の至近距離だと分かった。 歴史探訪には、却って好都合だ。

 大宰府天満宮と併せて、国立歴史博物館を訪ねることにしてホテルを出た。
驚いたことに、天満宮は観光客と七五三の参詣で溢れていて、歴史探訪どころではなかった。更に愕いたことには、参拝客の中に韓国語がかなり混じっていることだ。今や竹島問題が日韓のネックではあるが、九州と朝鮮半島の地理的な関係は、一衣帯水であることを考えれば、隣町への気軽な小旅行といった気分であろうか。

 早々に人混みから逃れ、国立歴史博物館に避難した。
博物館の静謐な部屋で、古代の展示品を眺めつつ遠い昔に想いを致し、しばし夢幻の世界に遊んだ。

 


           遥かにも千二百年余の時を超え

           君立ちませる庭を歩みぬ


           あるじなき梅への思ひを偲びつつ

           秋の山辺を如何にや見つらむ


           山の辺の紅葉は君にも語らずや

           色染めにしも散りゆくこころを


           落ち葉踏み独り歩めばかさこそと

           幽かな葉音のささやき聴くかも


           もみじ葉を透かす秋の陽いざなうは

           遥かな昔か 明日への思ひか