「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「正行寺の紅葉」

2012-11-23 17:27:22 | 和歌

 九州大学を訪れた翌日、帰京を暫時遅らせて、福岡の紅葉を愉しんだ。

 ごく短い時間の駆け足の探訪であったが、銀杏の黄葉に釣られて足を踏み入れたお寺の境内では、数人の男の子がボール遊びに興じていた。

  


           黄葉の

           銀杏に釣られて境内に

           山門潜れば子等の声

           ボールを蹴りつつ右左

           共に走りて聲かけぬ

           「綺麗だね」と指させば

           元気なアイサツ 「キレイデショ!」

               僕らの自慢と  誇る顔かな




 小学2年生位の女の子が小さな妹の子守をかねて、一緒にカケッコ遊びをしていた。お姉ちゃんが「よーいドン」と声を掛ければ、3歳ほどの妹は髪をふり乱して駆けた。お姉ちゃんは妹に声をかけつつ走った。石段の手前まで走って、「やった」と拳をかざした。小さな妹もそれに倣って、モミジの様な手をかざして「ヤッタ!」と叫んだ。

 二・三回そんなカケッコ遊びを繰り返した姉妹は、石段に腰掛けて休んだ。

 

 可愛い姉妹の、ほのぼのとしたお遊びを邪魔しないように、庭の片隅からそんな情景を愉みつつ、ふと目をやれば、石灯籠の脇の「もみじ」が見事な紅葉であった。

 


          稚けなき

          妹と遊ぶお姉ちゃんの

          頬にえくぼの笑顔かな

          「よーいドン」との掛け声に

          稚児は負けじと懸命に

          走る後からお姉ちゃんは

          何やら声かけ走るかな

          拳をかざし叫ぶ姉

            「ヤッタ!!」と見倣う 小さなモミジ手


          石段に並んで腰掛けおしゃべりに

          夢中の姉妹に手を振り さよなら