九州大学を訪れた翌日、帰京を暫時遅らせて、福岡の紅葉を愉しんだ。
ごく短い時間の駆け足の探訪であったが、銀杏の黄葉に釣られて足を踏み入れたお寺の境内では、数人の男の子がボール遊びに興じていた。
黄葉の
銀杏に釣られて境内に
山門潜れば子等の声
ボールを蹴りつつ右左
共に走りて聲かけぬ
「綺麗だね」と指させば
元気なアイサツ 「キレイデショ!」
僕らの自慢と 誇る顔かな
小学2年生位の女の子が小さな妹の子守をかねて、一緒にカケッコ遊びをしていた。お姉ちゃんが「よーいドン」と声を掛ければ、3歳ほどの妹は髪をふり乱して駆けた。お姉ちゃんは妹に声をかけつつ走った。石段の手前まで走って、「やった」と拳をかざした。小さな妹もそれに倣って、モミジの様な手をかざして「ヤッタ!」と叫んだ。
二・三回そんなカケッコ遊びを繰り返した姉妹は、石段に腰掛けて休んだ。
可愛い姉妹の、ほのぼのとしたお遊びを邪魔しないように、庭の片隅からそんな情景を愉みつつ、ふと目をやれば、石灯籠の脇の「もみじ」が見事な紅葉であった。
稚けなき
妹と遊ぶお姉ちゃんの
頬にえくぼの笑顔かな
「よーいドン」との掛け声に
稚児は負けじと懸命に
走る後からお姉ちゃんは
何やら声かけ走るかな
拳をかざし叫ぶ姉
「ヤッタ!!」と見倣う 小さなモミジ手
石段に並んで腰掛けおしゃべりに
夢中の姉妹に手を振り さよなら