「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「そば?」

2012-11-01 00:09:09 | 和歌

 最近、花に対する好みが変わったようだ。園芸種の花卉に比べて、素朴な野草の花に興味が惹かれるのは、歳のせいであろうか。

 思ひもかけぬ処で、「蕎麦の花」に出合った。
信州育ちの虚庵居士にとっては、蕎麦の花は子供の頃よく見かけた懐かしい花だ。それにしても、畠でもない空き地に誰が蕎麦の種を蒔いたのだろうかと、不思議に思われた。それに蕎麦はかなり姿勢よくシャンと育つが、ここのは随分と姿勢が悪い。手入れの行き届いた畑では、茎は直立するが、蔓性を帯びて這うのは、空き地と云う気の退ける出自の故であろうか、等と訝りつつカメラに収めた。

 

 帰宅して、念のために植物図鑑のお世話になった。

 「蕎麦」の花を確認して、「うん、これだ」と合点した。が、読み進めると、蕎麦は一年草だが野草に「宿根蕎麦」がある、との記述があった。更に調べたら、「赤地利蕎麦・しゃくちりそば」は多年草で、食用にならない、とあった。食用の蕎麦は葉が茎に直接付くが、野草の赤地利蕎麦は茎から葉柄を介して葉が付くとの違いを、丁寧に説明していた。

 ヒマラヤから中国原産で、ルチンを含み血管強化の民間医薬、或いは全草を乾燥させて、高血圧の漢方薬(赤地利)として利用する等の解説があった。

 


           誰蒔くや空き地に蕎麦の花咲くは

           何処かの数寄者 蕎麦をたべむと?


           背筋伸ばし矜持を保つ蕎麦なるに

           何ゆえ地に這い蔓を延ばすや


           調べれば野に咲くソバは赤地利ぞ

           蕎麦にも兄弟姉妹あるらし


           赤地利はルチンを多く身に宿し

           脳出血の特効薬とか


           それぞれの出自を辿るまでもなく

           命を救う「そば」の小花か