「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「シンビジウム」

2010-02-13 18:36:28 | 和歌

 久方ぶりに早春の陽ざしが、シンビジウムの黄花を浮き立たせた。

 このところ北日本・関東平野も雪雲が覆い、横須賀も雪は降らなかったが、垂れこめる雲が重たくのしかかる日が続いた。そのような空模様のなかで春を思わせる陽がさして、玄関先に置いたシンビジウムの花が、俄かに輝いた。





 立春も過ぎて「雨水」も間もなくという時節の平均気温は、或いは年間を通じて最も寒い時期かもしれない。そんな厳しい寒さのなかで、シンビジウムの黄花が咲くのは、寒がり屋の虚庵居士には信じがたい、自然の営みだ。年老いて殊更に寒さが身にしむこの頃は、シンビジウムも寒かろうと心配になって、暖かな部屋の中に取りこもうかとも考えたが、急激な気温変化はかえってシンビジウムには気の毒かもしれないと思いとどまって、敢えて玄関先に置いたまま過ごしてきた。垂れこめた雲に覆われて、寒くて陰鬱な毎日であったが、シンビジウムはよく耐えて、花びらは凛としたものを漂わせている。

 それに引き換え、総理や民主党幹事長の政治資金問題が、検察や野党の厳しい追求を受けて、彼らはしたたかな対応を続けているが、内心は厳しい追求に打ち震えているに違いあるまい。最も清廉潔白であるべき国の指導者が、政治資金問題で追求を受けること自体が甚だ恥ずかしい事態であり、国民の視線では理解を超えるものだ。自らの政治資金を管理させる組織、或いは秘書がしでかした不始末に、政治家本人が厚顔無恥にも「知らぬ・存ぜぬ」を繰り返す姿には、憤りを超えて哀れにすら見えてくる。
指導者とは本来、胸を張って己の信ずるところを凛然と訴え、その言動を以って国民をリードするべきものだが、彼らの言動も怯えた表情も見るに堪えないのは、国民の一人として悲しいことだ。

 国会中継では、「母が、ははが」と発言する総理を捉えて「ママのスカートに隠れるのはお止めなさい」と窘める一幕もみられた。また不動産を買い漁る幹事長を、「政治家か不動産屋か」と揶揄する発言が浴びせられるなど、国の指導者としては誠に恥ずかしい事態だ。

 寒気の中で凛と咲くシンビジウムを、見習って欲しいものだ。
一片の花びらを送って、「煎じて飲め」と訴えようかしらむ・・・。






            垂れこめる重き雲かな如月の

            凍てつく寒気に耐える花かも


            雲間より射しくる春の陽ざしうけて

            歓喜を聞くかなシンビジウムに


            早春の寒気に耐えよと花びらを

            あつく咲かすは神のこころか


            早春の陽射しにきらめく花びらの

            誇りを見ませ穢れしひとびと