「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「木の葉の恋文」

2010-02-03 13:25:11 | 和歌

 毎朝の庭掃除が虚庵居士の日課の一つだが、今朝は素敵な「木の葉の恋文」を頂戴した。

 珊瑚樹の色付いた葉が一枚、虚庵居士を待ち受けていたのだ。
柔かな新芽から月日を経て、逞しく分厚い緑葉に成長し、やがて早春の芽吹きに備えて自ら散りゆく姿は、何か「己の生涯を弁えている哲人」を偲ばせるものがある。

 手に取った「木の葉」は、元々の緑の色を残しつつも、落ち葉に相応しい黄葉に衣を代え、残された燃ゆる想いを紅に染めた最後の「木の葉の恋文」かと思えば、胸にジンと迫るものがある。

 「うつろ庵」はごく狭い敷地の侘び住いであるが、東・南側が公道で西側は四米幅の私道に囲まれている。その三方を珊瑚樹の生垣で囲っているので、春から夏にかけての生育の旺盛な時節は、剪定もなかなか大儀である。

 「木の葉の恋文」とは聊か大仰な表現だが、一枚の落ち葉は、汗して手入れを続けて来た庵の主と
珊瑚樹とのほんのチョットした、「心の交流の証」かもしれない。






            散りゆくに胸のつかえを色に代え

            想いを託すや落ち葉の文はも


            一枚の木の葉のにほふは何ゆえか

            千々の想いを色に読みてむ