「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「三椏」

2006-04-15 00:08:27 | 和歌

 三椏(ミツマタ)の花に出会った。

 数日前に見かけた三椏は、臙脂の可愛い色だったが、花時が過ぎて既に枯れかけていた。この三椏も所どころ花先が傷み始めているが、次つぎと花を咲かせる三椏にとっては、自然の成り行きだ。不平を言っては三椏に申し訳ない。

 三椏は、楮(コウゾ)と並んで上質な和紙の原料だ。冬の寒さの中で根元から刈りとり、蒸して細い枝の皮を剥ぎ、薄皮を取り除き、何日か晒して繊維を取り出すのは並大抵ではない。
辛い作業に違いあるまい。かつて観た、刈り取り前の三椏畑の情景が想い出された。

 農家の実情はさておき、昨今は花を愛でて庭木に植えるお宅が、めっきり増えてきた。







             三椏の畑を見やればうら寂し 
 
             刈られる己の宿命(さだめ)を知るらし  



             三椏の枝先に咲く「ぼんぼり」は 
 
             刈り取られ逝く手向けなるかも



             ぼんぼりに残る莟も咲かせばや

             いまひと時を三椏 な刈りそ