「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「枝えだの 先の蕾は」

2006-03-14 05:54:15 | 和歌

 お隣の白木蓮が咲き始めた。

 春一番の嵐に吹かれて、蕾を包んでいた毛衣が、「うつろ庵」の庭先にも舞い込んできて、
木蓮の「花時の知らせ」を受けて心待ちにしていた。 蕾の包みは羽毛に覆われているので、虚庵居士は「毛衣」と呼んでいるが、その昔、歌人達は冬の枕言葉に「けごろも」という言葉を使っていた。ひょっとすると単なる想像ではあるが、木蓮の「毛衣」を詠んだものかもしれない。

 不思議なことに白木蓮の蕾は、どれもこれも先を少し北側へ曲げて、太陽を背にしている。
植物は、一般的には陽ざしを求める特性があるが、白木蓮の蕾はこれと反対だ。小学生の理科のお勉強で、向日性・背日性という実験をしたことが思い出される。シャーシーに入れた大豆の芽は陽に向かい、根は日陰に向かった。
白木蓮の蕾も、何かの理由があるに違いあるまい。

 




 
             木蓮の八十(やそ)花つぼみ奇(くすし)くも

             陽を背に受けて律儀にお辞儀す



             春の陽を白木蓮は背に受けて

             日向ぼこりを楽しむならめ



             枝えだの先の蕾はけごろもを

             脱ぎ捨てていざ弥生に咲くらし



             咲き初むる白木蓮の花びらを

             嵐な吹きそ柔肌傷めな