乾いた土とタンポポの綿毛を
風が舞いあげ
張られたばかりの田の水面を
風が波立たせ
出揃った木々の葉っぱを
風が大きく揺する
こんな5月に
浮んでくるのは
いつも
立原道造の
風のうた
風のうたった歌
その一
一日 草はしゃべるだけ
一日 空は騒ぐだけ
日なたへ 日かげへ過ぎて行くと
ああ 花 色とにおいとかがやきと
むかしむかし そのむかし
子供は 花のなかにいた
しあわせばかり 歌ばかり
子供は とおく旅に出た
かすかに揺れる木のなかへ
忘れてしまった木のなかへ
やさしく やさしく笑いながら
そよぎながら ためらいながら
ひねもす 梢を移るだけ
ひねもす 空に消えるだけ
その二
森は不意にかげりだす それは知らない夢のように
水や梢はかげりだす 私がひとり笑おうとする
くらく遠くの叢に___
そのあとちいさな光が溢れ 葉は一面にふるえだす
森は風を待っている 私は黙って目をとじる
私は逃げる うすい綿雲を見ないため
空に大きな光が溢れ 私はだんだん笑いだす
その三
いつまでも動いていたら かなしかった
うたは消えていった
呟きはおんなじ言葉をくりかえし
よたよたと夜にまぎれた
____夜を待ったのに
すこし駈けたら
葉が息をひそめ それからあとはいつまでも笑っていた
今日はひねもす
風のうたを聴いていた。
無量の風のうたを。
散らばっていたいくつもの想いが一つに集まり
また、
再び 散らばっていった。。
はじめまして。
夢さん 突然のコメントさせて頂き 失礼します。
ずっと 夢さんの言葉と 時々載せられる詩が心の奥に響いてきます。
自然に囲まれたシンプルで無駄のない終の住処が あまりにも素敵で いつもブログを楽しみに拝見させて頂いています。
あの大雪に見舞われた景色が・・・
いつのまにか 初夏の兆しですね。
読む人の心に響く文章が書ける方は
きっといろんな知識も広く、内面も豊かで素敵な方なんだろうなあ・・・と 夢さんという方の人なりを想像しています。
家前の水を張った田んぼが まるで湖のように映りますね。
これから 愛すべき雑草たちが 元気よく生えだす季節ですね。
コメントくださりありがとうございます。
そして、拙いブログを楽しみにしてくださってうれしいです。
移り住んだ終の棲家には、
静かな空間と時間はたっぷりあるのですが、
「穏やかに淡々と」とは、なかなかいきません。
年をとるたびに、1つ2つと荷物を下ろし、
身も心もシンプルに生きていきたいと思いつつも、
見渡すと、いくつもの荷物に囲まれた自分がいます。
そして、
そのうちの肩に乗っかっている2つ3つの大きな重しで、
時にはよろけ、あがき、おろおろする始末。
知命を過ぎたというのに・・・・
明けゆくなかで、今朝もカエルが盛んに鳴いています。
一晩中鳴いていたのでしょうか。
鳥たちのさえずりも聞こえてきました。
今日の日が始まります。
窓外のこの美しい空に
山に
木々に
心を預けられたらいいのに。。
通り抜ける風の音や 野鳥のさえずりが こちらにも聴こえてくるようです。
昨日の夕方
今年初めてのホトトギスの鳴き声を聞くことが出来ました。
夕食を作りながら 耳を澄ませ
とっても幸せな気持ちになります。
身近な自然の中に 人の心を満たせてくれるものが たくさん詰まっています。
静かにそっと心を預けたくなりますね。
息をひそめて雨粒を受けている木々や
大きな雨粒でゆらゆら動く田んぼの水面を
うすら闇の中で
もう一時間ほど眺めています。
たゆみない律動が
大きな雨音が
朝方見た辛く悲しい夢を
少しずつ少しずつ
消していってくれます。