草の葉

高山村にある、緑に包まれたギャラリー

2009・7・26

2009-07-26 19:29:34 | 雑感
あの夏は幸せだった。
とにかく幸せだった。



    ::::



    この世が創られた時と同じに
    光は突然人々の肩に重く輝く

    こんなにも単純なのに
    生きるということは

    初心な合唱団のように
    いっせいに鳴き始める蝉

    人々の生きた七月
    人々の生きる七月・・・・・

    夕立が化粧を洗い落としてしまったあと
    幸せと不幸せの顔はそっくり

        ___谷川俊太郎「七月」___





蝉の声がいやにせわしい夕方、
突然に風が止み、蝉の声も止む。
そして、
31年前の夏がささやいた。
「キミは、今、幸せかい?」

一瞬の静寂。

そのあとに、再びひっきりなしの蝉の声。
時の薄情さを知るかのような、
激しさ、切なさが突き刺さる。
そして、
今の夏が、キミの背にそっとつぶやく。
「幸せに、幸せにね。」