永住資格を持つ中国籍の女性が生活保護法の適用を求めていた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷は7月18日、「法の適用対象に永住外国人は含まれない」として、原告勝訴の二審福岡高裁判決を破棄し、女性の請求を棄却した。
原告の逆転敗訴が確定した。
女性は日本で生まれ育ち、2008年、大分市への保護費の受給申請を退けられたことを不服として提訴したが、その後、市の裁量で支給されるようになった。
上告審の争点は法の対象が永住外国人を含むかどうかに絞られていた。
判決は永住外国人が実質的には日本人と同程度の保護を受けていることを踏まえ、「生活保護法は制定後、適用範囲を拡大しておらず、外国人は行政措置としての保護対象にとどまる」と判断した。
旧厚生省は1954年、外国人を同法に準じて扱うよう通知し、1990年に対象を永住外国人らに限定した後は自治体の裁量で生活保護費が給付されている。
判決によると女性の申請が当初認められなかったのは、一定の預金があったことが理由だった。
一審大分地裁は「生存権保障の責任はその人が属する国が負うべきだ」と請求を退けたが、二審判決は、行政措置で給付されてきた経緯を踏まえて「法の文言にかかわらず、永住外国人は保護対象と考えられる」と逆の判断をしていた。
どう考えても国籍のある国に生存権保障の責任を負ってもらうべきであり、行政措置の温情が行き過ぎにならないようにしなくてはいけないのではないか。