神戸市のNPO法人「卵子提供登録支援団体(ODINET)」は7月27日、早発閉経の女性患者2人が匿名の第三者2人から卵子の提供を受け、夫の精子と体外受精させて受精卵を作製したと発表した。
姉妹や友人の卵子提供で出産した例はあるが、見ず知らずの他人からの提供が明らかになったのは国内で初めて。
受精卵は凍結保存し、肝炎などに感染していないかを確認した上で患者の女性に年内にも移植する。
卵子提供の法制度が整備されていない中、民間で先行した形。
子どもの生まれを知る権利の確保や提供者の健康被害に対する補償など課題が多い。
2組はいずれも、提供者は子どものいる30代女性、提供を受けたのは早発閉経の30代女性。
ほかに8組でカウンセリングなどが進んでいる。
同団体によると、生まれた子には、産んだ母親の他に卵子提供をした親がいることを小学校入学前に告知し、本人が希望すれば15歳で提供者の情報を知らせることになっており、2組とも同意している。
団体の岸本代表は「不妊治療で苦しんでいるご夫婦の助けになればとい
う想いで提供を志願した」との提供者のコメントと「提供者の方には感謝の気持ちでいっぱい。 これからは自分たちが頑張る番だと思っている」とする患者のコメントを読み上げた。
団体は2013年1月、病気で卵子は作られないが出産はできる患者に対し、匿名で卵子を提供する35歳未満で子どものいるボランティアの募集を開始。
医学的に条件が合った2組について、不妊治療クリニックでつくる「日本生殖補助医療標準化機関(JISART)」の倫理委員会が治療実施を承認したと今年4月に明らかにしていた。