農林水産省は6月6日、所有者の死亡後に相続登記が行われず持ち主がはっきりしない農地を、意欲のある農家に貸し出しやすくする方策の検討を始めた。
必要な相続人の同意数を減らすといった条件緩和が軸になる見込み。
担い手への農地集積を促進し、所有者不明の場合に多い遊休地の再生につなげる。
来年の通常国会に農地法改正案などを提出することを目指す。
相続の未登記や名義人と連絡が付かないことなどで、権利関係が不明確な農地は昨年調査で全国の農地の約2割、約93万かに上った。
各都道府県に設けられ、担い手への農地賃貸を仲介している農地中間管理機構(農地バンク)の業務の大きな障害になっている現状の打開に取り組む。
未登記の農地は相続の権利がある人の共有状態となっており、活用例の多い5年以内の賃貸でも、現在は同意した相続人の持ち分が過半になることが必要。
農水省はこれを見直し、適切な管理者がいる場合は同意者数の条件を下げることなどを検討する。
長期利用時には5年ごとに同意を取り直す必要がある点も、期間の延長を考える。
何世代も未登記が続いて所有者や相続人がほとんど特定できない場合に対応
し、一定の確認期間を経て、都道府県知事の「裁定」で利用権を農地バンクに移せる制度も2014年に導入された。
この仕組みの運用改善も視野に入れる。
ただ、裁定の実行に至ったのは静岡、青森両県の計2件だけ。
財産権を侵害するとの懸念も背景にあるとされ、制度変更は慎重に議論する。
政府が6月2日まとめた経済財政運営の指針「骨太方針」案は農地以外を含め、所右者が分からない土地の活田推進を掲げており、法務省など関係省庁での議論も見据えながら具体策を打ち出す。
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