東日本大震災14年を前に日本世論調査会は3月8日、原発に関する全国郵送世論調査の結果をまとめた。
東京電力福島第1原発の溶融核燃料(デブリ)を全量取り出し、2051年までに廃炉を終える政府と東電の計画について、60%が「できると思わない」と答えた。
「できると思う」は6%だった。
両者の取り組みを「評価する」は計40%にとどまった。
廃炉計画の実効性を疑問視する姿勢が浮き彫りとなった形だ。
デブリは1~3号機に推計880トンあり、昨年初めて試験的に回収できたのは約0・7グラム。
「できない」理由は「安全に処分する方法や処分場所が見つかるとは思えない」が最多の40%で、「廃炉は順調に進んでいない」が26%で続いた。
「できる」と答えた人の63%は「今は難しくても新しい技術が開発される」を挙げた。
福島第1原発の処理水の海洋放出に伴う水産物への安全性を「懸念している」は「ある程度」を含め計50%だった。
政府と東電は風評被害対策に取り組んでいるが、懸念は昨年同期の前回調査と同じ水準を保っている。
政府は2月、エネルギー基本計画を改定し、原発の依存度低減から最大限活用へ転換した。
原発について「今すぐゼロ」と「将来的にはゼロ」は計62%だった。
理由を二つまで尋ねると「福島第1原発事故のような事態を再び招く恐れ」が68%で最多。
「積極的に活用」と「一定数を維持」と答えた人は計36%にとどまる。
理由は「原発がなければ電気が十分に賄えない」が80%だった。
政府は原子力規制委員会の審査に合格した原発の再稼働を進めている。
深刻な原発事故が再び起こる可能性について、83%が「あると思う」と回答。
事故の場合、現在の避難計画では、「安全に避難できるとは思わない」と答えた人は86%に達した。
東電が目指す柏崎刈羽原発の再稼働について「どちらかといえば」を含めた賛否は、「反対」が計54%。「賛成」が計44%で意見が分かれた。
調査は1~3月、全国の18歳以上の男女3千人を対象に実施した。