コメ不足のさなかに発足した石破政権で、コメ生産を抑制してきた現行制度の見直しが焦点の一つに浮上してきた。
石破首相が自民党総裁選でコメの国内消費と輸出拡大を訴え、見直しに前向きな姿勢を示していたためだ。
ただ小里農相は10月2日の就任会見で、今後のコメ政策について「先入観を排して模索していく」と明言を避けた。
「日本だけがわざわざ税金を使って農地を減らし、農業生産を減らすことを続けて良いと思わない」。
石破氏は自民党総裁選でこう主張し、政策集にもコメの「国内消費と輸出拡大を目指します」と明記した。
石破氏は農相だった2009年、当時実施していたコメの生産調整(減反)を見直した場合の財政負担の試算を公表。
減反を廃止するケースの予測も示すなど見直しに意欲を示していた。
一方、農林水産省は人口減少を背景にコメ需要が減少していくとの立場だ。
需要に応じたコメの生産を農家に促しており、小里氏は10月2日の会見で「石破首相は(農水省の方針を)否定していない」と説明。
コメ生産に関する政策は、2024年度中に改定する食料・農業・農村基本計画に合わせて検討するとした。
農水省は2018年産から減反を廃止したが、水田を活用して小麦や大豆などの転作を進めた農家に交付金を配るなど、主食用米の生産を抑制できる政策を続けている。
農水省幹部は、石破氏が現行制度の見直しを進められるかどうかは「衆院選の結果次第」とみている。
衆院選に勝利して政府、与党内で求心力を高められるかどうかが鍵となりそうだ。