8月 12日

2019-08-11 16:32:07 | Weblog
                墓参・墓掃除・墓洗ふ・掃苔




     母のなき家には寄らず墓洗ふ          栗田やすし


     墓参り戸棚の奥の下駄出して          細見綾子


     父の忌や父の建てたる墓洗ふ          丹羽康碵


     掃苔やとうに越えたる父母の年         平 千花子


     いつまでも小さき妹墓洗ふ           茂木好夫


     国言葉抜けたる姉と墓洗ふ           渡辺慢房


     朝の日の溢るる父母の墓洗ふ          山崎文江


     墓洗ふ母の弱りしこと告げて          内田陽子


     思ひつきり悪口浴びせ墓洗ふ          横森今日子


     後の事子に話つつ墓洗ふ            山下帰一


     母と来て草の匂ひの墓洗ふ           こころ




          



     酒強く無口な人の墓洗ふ             鈴木真砂女


     薬罐二箇塩一と握り墓掃除            後藤比奈夫


     百姓にをはりし兄の墓を掃く           清崎敏郎


     海女の墓拝みて掛けて旅疲            星野立子


     掃苔や手をついて引く旱草            後藤夜半


     山中に水を惜しまず墓洗ふ            鷹羽狩行
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8月 11日

2019-08-10 17:52:05 | Weblog
                  蕎麦の花




     そば畑の花のさかりを富士晴るる        細見綾子


     月山の裾野明るし蕎麦の花           上杉和雄


     木曽谷の空深まれり蕎麦の花          国枝隆生


     蕎麦の花山の日暮のいとはやし         牧 啓子


     夕暮れてひときは白し蕎麦の花         鈴木みすず


     蕎麦の花海の朝日を満面に           中川幸子


     紫に暮るる山河や蕎麦の花           関根切子


     一面にそばの花咲く休耕田           日野圭子


     花蕎麦やひとりぼつちの道祖神         山下善久


     信濃路にあふるる日ざし蕎麦の花        安積敦子


     蕎麦咲いて峡のひと村暮れ残る         神尾朴水


     これよりは木曽路としるべ蕎麦の花       服部冨子


     



          



     秩父路や天につらなる蕎麦の花          加藤秋邨


     八月の雨に蕎麦咲く高地かな           杉田久女


     山の上の月に咲きけり蕎麦の花          村上鬼城


     蕎麦の花医科大学の庭にして           川端茅舎


     遠山の奥の山見ゆ蕎麦の花            水原秋櫻子
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8月 10日

2019-08-09 14:08:05 | Weblog
                露草・蛍草・かまつか・青草・帽子花・うつし花・月草




     露草が咲きひろがりて水と空          細見綾子


     露草へ寝かせて洗ふ石地蔵           武田稜子


     露草やポスト食み出す日刊紙          森垣昭一


     露草や鉄鎖の垂るる高札場           山本光江


     露草の露のこぼるる仏みち           柴田孝江


     露草に鱗とばして鯛捌く            牧野一古


     露草やみな海を向く蜑の墓           垣内玲子


     一握り露草供ふ綾子の碑            服部萬代


     露草の藍はればれと眼の癒ゆる         鈴木みや子


     つゆ草や新聞少年笑み返す           加藤百世


     露草や犬の好める水呑み場           山田悦三


     つゆ草や桶狭間への道細る           廣島幸子



         



     露草も露のちからの花ひらく           飯田龍太


     くきくきと折れ曲りけり螢草           松本たかし


     湖の国の青花摘の朝ぐもり            大野林火


     まだ据ゑぬ庭石のあり月草に           河東碧梧桐


     越の海露草晴といふべかり            飯島晴子




         
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8月 9日

2019-08-08 13:33:29 | Weblog
               立秋・今朝の秋・秋立つ・秋に入る


     8日は立秋でしたね 今日からは残暑お見舞になるのでしょう
     この猛暑は残暑なのでしょうか?まだまだ猛暑、どうぞ乗り切って下さい
     気分だけでも「秋」にお誘いします


     大岩の肌晒されて秋に入る           細見綾子


     文机の位置を窓辺に今朝の秋          河原地英武


     延命水鉄鉢で飲む今朝の秋           国枝隆生


     端渓の硯をおろす今日の秋           倉田信子


     瀬を越ゆる波の白さや今朝の秋         清水弓月


     踏み竹の竹ひんやりと今朝の秋         上杉美保子


     擂粉木でつぶすアボガド今朝の秋        矢野孝子


     遠浅の潮目変はれり今朝の秋          澤田正子


     秋立ちて風入れ替はる奥座敷          篠田法子


     文殊堂脇で筆売る秋立つ日           荒深美和子


     城山へ磴三百やけさの秋            加藤けい子


     投稿に切手を選ぶ今朝の秋           丹羽一橋


     遠山の影定まりぬ今朝の秋           近藤文子



         


     数年前に訪れた秋田男鹿半島寒風山展望台より八郎潟を望む景色です


     
立秋の雲の影ゆく大干潟            こころ



          



     鏡屋の鏡に今朝の秋立ちぬ             尾崎放哉


     白い帆の傾ぎ一湾秋に入る             池田秀水


     湯気みゆる佛の膳や今朝の秋            会津八一


     水べりを行く杖音も秋に入る            鳥居おさむ


     出羽富士の雲や一刷毛今朝の秋           鈴鹿野風呂

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8月 8日

2019-08-07 16:30:07 | Weblog
                暑気見舞・暑中見舞・夏見舞


              暑中お見舞い申し上げます



     アルプスの山頂で出す夏だより          小島千鶴


     トマトの絵はみ出す暑中見舞かな         菊池佳子


     夏見舞切手に海の色選ぶ             幸村志保美


     香焚いて暑中見舞の客待てり           日野圭子


     風呂敷の耳揃へをり暑気見舞           山 たけし


     夏見舞一万尺でしたためり            金田義子




          



     腐りたる暑中見舞の卵かな             正岡子規


     黒部より水とどきけり夏見舞            鈴木昌江


     横目で見る暑中見舞の女文字            谷口桂子


     クーデターありし国より夏見舞           佐野典子


     夏見舞ちぎり絵に句を添書に            野畑節子


     暑中見舞と太字四字の子の葉書           志摩知子
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8月 7日

2019-08-06 19:39:57 | Weblog
                 夾竹桃




     夾竹桃咲き連なりて基地隠す           栗田やすし


     人妻の眉根夾竹桃憂しと             細見綾子


     道の端に無縁の墓や夾竹桃            中村修一郎


     夾竹桃赤し野外の原爆展             石原進子


     夾竹桃白際立てり投票日             新川晴美



          



     夾竹桃戦後の病みな長し             石田波郷


     裏はすぐ運河にほへり夾竹桃           山口青邨


     殉教の丘長咲きの夾竹桃             鷹羽狩行


     夾竹桃の紅が護りてゐたるかな          平井照敏


     何か炒める音して路地の夾竹桃          岡本眸
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8月 6日

2019-08-05 19:58:07 | Weblog
                  芙蓉・酔芙蓉・白芙蓉・紅芙蓉




     雲助の溜り場跡や白芙蓉            栗田やすし


     妹逝く背戸の芙蓉の桃色に           細見綾子


     白きまま雨に昏れゆく酔芙蓉          矢野孝子


     捨て難き母の三味線白芙蓉           上杉和雄


     酔芙蓉根こそぎ掘つて足場組む         伊藤範子


     山裾の日暮は早し花芙蓉            夏目悦江


     深川や樽に咲かせし酔芙蓉           関根切子


     紅芙蓉咲き裏道を明るくす           伊藤靖子


     酔芙蓉八尾の坂に水の音            安藤幸子


     開かんと青味帯びたる白芙蓉          中川幸子


     ひめごとの一つや二つ酔芙蓉          岡島溢愛


     志士駈けし伏見の路地に酔芙蓉         巽 恵津子


     酔芙蓉まだほろ酔の塀の上           中根多子



          



     城石垣一片移す庭芙蓉              河東碧梧桐


     料理屋の夜の間寂や白芙蓉            飯田蛇笏


     朝な梳く母の切髪花芙蓉             杉田久女


     紅芙蓉鉄扉鳴らして出入口            右城暮石


     風はらむはずみにひらく芙蓉かな         阿波野青畝




          
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8月 5日

2019-08-04 15:57:01 | Weblog
                朝顔・牽牛花  <季=秋>




     朝顔に水やりしあと月待ちし          細見綾子


     野朝顔断崖つづく喜屋武岬           栗田やすし 


     綾子忌の雨に色増す牽牛花           武田稜子


     子規庵のあさがほの青色褪せし         玉井美智子


     朝顔の鉢二つ提げ銀座線            森田とみ


     朝顔の蜜吸つて母忍びけり           上田博子


     朝起きてまづ朝顔の花数ふ           太田滋子


     母の庭地を這つて咲く牽牛花          伊藤貴美子


     朝顔の紺ばかり咲く町工場           鈴木英子


     野朝顔からまる岩や自決壕           平千花子


     鉢植の朝顔並ぶ無人駅             鳥居純子


     朝顔の小ぶりとなりて紺深し          山下 護




          



     休暇はや白朝顔に雨斜め             中村汀女


     朝顔の紺のかなたの月日かな           石田波郷


     海の色に朝顔咲かせ路地ぐらし          菖蒲あや


     朝顔や風にさらはれさうな母           鍵和田釉子


     朝顔や足袋を持参の稽古事            小川軽舟




          
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8月 4日

2019-08-03 20:42:49 | Weblog
              花火・遠花火・花火舟・打揚げ花火・煙火




     花火見る茣蓙の上なる一家族           細見綾子


     大花火しだれて海にとどきけり          栗田やすし


     顔映る夜汽車の窓や遠花火            矢野孝子


     港町浮きあがらせて大花火            大石久雄


     フィナーレは煙の中や大花火           武藤光晴


     大花火果てて騒めく下駄の音           上杉和雄


     山の端に音無く花火揚がりけり          漆原一枝


     見えぬ目を研ぎ澄まし見る大花火         牧田 章


     花火果て潮の匂ひの路地帰る           金原峰子


     和太鼓を打ち終へし時花火かな          奥山ひろ子


     大花火果てみちのくの闇深し           上杉美保子


     舟宿の障子にひびく揚花火            日野圭子



          



     花火会城の樹木が障るなり            津田清子


     遠花火二つ三つ見て寝返りぬ           石田波郷


     閑けさや花火消えたるあとの星          日野草城


     闇がなほ濃き闇つくる花火後           能村登四郎


     遠花火終るとみえて矢つぎばや          橋閒石
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8月 2日

2019-08-01 19:03:34 | Weblog
                   極暑・酷暑




     酷暑なり若布にしぼるしやうが汁         細見綾子


     ペコちやんの笑ひ続くる酷暑かな         渡辺慢房


     峰越えの電線たるむ極暑かな           坪野洋子


     酷暑かな厨に一日水使ひ             鈴木みすず


     集塵車唸りて来たる酷暑かな           横井美音


     里芋の葉の裏返る極暑かな            澤田正子


     干し魚の眼のぬけ落ちし極暑かな         内田陽子


     極暑の中戦火堪へにし友逝けり          吉岡やす子


     読みかけの本の嵩なす酷暑かな          中山ユキ


     マネキンの指の向かうの酷暑かな         畑ときお


     腹の子の五センチばかり極暑くる         市川克代



          



     草むらも酷暑の夜勤もみな苛立ち          金子兜太


     蓋あけし如く極暑の来りけり            星野立子


     塩鮭の骨切る酷暑つゞきをり            右城暮石


     極暑の夜父と隔たる広襖              飯田龍太


     極暑にて金魚藻ばかり浮ぶ鉢            能村登四郎


     
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