3月 1日

2014-02-28 15:10:44 | Weblog
               ( 三月・弥生 )


萩の筆買ふ三月の雨強し                    沢木欣一


三月やモナリザを売る石畳                   秋元不死男


いきいきと三月生まる雲の奥                  飯田龍太


妻の荷を解く三月の雪の中                   林 徹


酒場には紙の桜の弥生かな                   吉屋信子


残り餅焼く三月のくらき炉火                  能村登四郎


金魚田のはやなまぐさき弥生来ぬ                澤田緑生


三月の甘納豆のうふふふふ                   坪内稔典


弥生なほ年縄のこす武家構                   下村ひろし


三月の風は移り気花売女                    草間時彦


朝の来る愉しさに覚む弥生かな                 大石悦子


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2月 26日

2014-02-25 20:32:37 | Weblog
              ( 小綬鶏・こじゅけい )


小綬鶏に呼び起こされし寮泊まり         栗田やすし


小綬鶏の妻恋ひ節のちよつと来い          沢木欣一


小綬鶏に呼ばれどほしや昼の酒           矢島渚男


小綬鶏や朝日うつろふ旅の膳            下村ひろし


はけの径小綬鶏の声せはしかり           佐久間俊子


小綬鶏もわれも子連れや連休日           橋本 榮治


小綬鶏の声に張りあり森の朝            乗田眞紀子


小綬鶏のこゑ露座仏の膝下より           太田 嗟


杜鵑花をめづる朝な小綬鶏大声に          瀧 春一


はけの径小綬鶏の声せはしかり           佐久間俊子


小綬鶏の森へ海より日が差して           佐藤鬼房



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2月 25日

2014-02-25 01:38:26 | Weblog
               ( 土筆・つくづくし・筆の花 )


土筆摘む土手揺るがして汽車過ぐる            栗田やすし


山姥の目敏く土筆見つけたり                沢木欣一


いにしへの道に短きつくし出づ               細見綾子


せせらぎや駈けだしさうに土筆生ふ             秋元不死男


ぬき出しものより摘まれつくづくし              木内怜子


土筆生ふ酒祝ひたる炉の址に                加倉井秋を


つくづくし筆一本の遅筆の父                中村草田男


光まみれ土筆まみれよ転びし子              今瀬剛一


遥かなる青天を指しつくしんぼ               仙田洋子


まゝごとの飯もおさいも土筆かな              星野立子


滑り台土筆一本つづきけり                 加藤楸邨





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2月 23日

2014-02-23 09:03:24 | Weblog
                ( 芹・根白草・根芹 )



芹摘みし籠を舳先に渡し舟              栗田やすし


長城やみんなみさして芹の水             沢木欣一


川底に日がとゞき芹芽ぶきけり            細見 綾子


田芹摘む鵜山の裾の水明り              下里美恵子


摘みかさねても一握の母の芹             福永耕二


芹洗ふ流のなかが暖かし               中村汀女


芹匂ふオモニは風の中に立つ             夏井いつき


芹つむや光あそべる橋の裏              正木浩一


踏み込んで芹の青さのせめぎあふ           今瀬剛一


根元まですきとほる水芹を摘む            荒井英子











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2月 22日

2014-02-22 00:10:14 | Weblog
              ( 蕗の薹・ふきのたう・蕗の芽・春の蕗 )


蕗のたう屈みて摘めり石道寺              栗田やすし


蕗の薹見つけし今日はこれでよし             細見 綾子


まだ風の色にまぎれて蕗の薹               今瀬剛一


包み紙しつとり濡らし蕗の薹               能村登四郎


塵取に入れて戻りぬ蕗の薹                鈴鹿野風呂


ふきのたう雨に光れり琴よ鳴れ              鍵和田釉子


蕗の薹のせてピアノの蓋くもる               林 徹


指されしを摘むや笠置のふきのたう            大石悦子


大富士の夕かげ持ちぬ蕗の薹               深見けん二


朝市や客も跼みて蕗のたう                 有働 亨


蕗の芽の石動かせる野路なりき              横光利一










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2月 20日

2014-02-19 20:42:21 | Weblog
             ( 雛飾る・雛人形・雛祭・古雛 )


二年生雛飾らんと爪立ちに             栗田やすし


雪の底眼を病む母や雛祭              沢木欣一


古雛が古き顔して春に逢ふ             細見綾子


厨房に貝があるくよ雛祭               秋元不死男


雛飾がらんどうなるものばかり            神野紗希


仕る手に笛もなし古雛                松本たかし


部屋中が匙に映りぬ雛祭               正木ゆう子


男手をちよつと借りたる雛飾る            石田郷子


浅草に曳き船の音雛祭                皆川盤水


古雛の唇と笛とのあはひかな             奥坂まや











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2月 18日

2014-02-17 21:11:07 | Weblog
               ( 残雪・日陰雪・残る雪 )



残雪や松掘れば土新しき               栗田やすし


天城嶺の残雪斧のかたちなす             沢木欣一


敷き藁に米粒ほどの雪残る              細見綾子


熊穴を出で残雪を踏みゐたり              滝沢伊代次


残雪の山ひとつづつふるさとへ             飯田龍太


残る雪馬酔木のかげに退きぬ              富安風生


雪残る汚れ汚れて石のごと               松本たかし


残雪やおほきくしぼる壺の口              黒田杏子


神杉の太根を頼み雪残る                 林 翔


日陰雪待伏せのごと残りをり              矢島渚男











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2月 16日

2014-02-16 01:15:41 | Weblog
             ( 木瓜の花・草木瓜・更紗木瓜 )



木瓜咲くや怠け教師として終る             栗田やすし


木瓜燃ゆるところ杜国の細き墓             細見綾子


木瓜咲きぬ歯と飯茶碗欠けもせで             秋元不死男


木瓜挿して壷中の闇をつらぬけり             中嶋秀子


木瓜を見てをれば近づきくる如し             石田 波郷


木瓜咲いて天日近き山家あり               大峯あきら







草木瓜





更紗木瓜


母を訪ふひととき明し更紗木瓜              山田みづえ


腹空けばそのことばかり更紗木瓜             八木林之助


降りつつむ雨の明るし更紗木瓜              水原秋櫻子





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2月 15日

2014-02-14 18:16:11 | Weblog
               ( 菫・花菫・壷すみれ・一夜草・三色菫・パンジー ) 


東京は朝からの雪です 立春を過ぎての雪にせめてブログの俳句と写真で春を
感じていただければ良いのですが



神宿る小さき棚田や花すみれ          栗田やすし


石山の裾の微風に花すみれ           沢木欣一


屋根替への萱束干して山すみれ         細見綾子






日時計のパンジー咲いて刻告げる         阿部朋子


三色菫厚き一瓣少女噛み             能村登四郎


すみれ踏みしなやかに行く牛の足         秋元不死男


熔岩にまだ火の色残る花菫            松崎鉄之介


三色菫黄ばかりが咲き憔悴す           福永耕二


パンジーの花びらめくれ風のまゝ         安藤 寿胡


かたまるとなくかたまりて花すみれ        片山由美子


宇陀の日は暈著やすくて菫草           大峯あきら


看とるとは見守ることか花すみれ         中嶋秀子














           
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2月 10日

2014-02-11 01:18:01 | Weblog
             ( 建国記念の日・建国祭・建国の日 )


雪山へ鉄路消えゆく建国日            鍵和田釉子


建国の日なり榊の弓も見し             百合山羽公


画廊守の老女は花に建国祭             伊丹公子


勾玉は胎児のかたち建国日             合屋多久美


草の根に日のゆきわたる建国日           三田きえ子


轟々と建国の日の滝こだま             吉田銀葉


庭の木の芯まで濡れて建国日            片山由美子


建国の日や高千穂に日が昇り            加藤貞一


少年工建国祭の鐘打てり              山口草堂


空高く風音はしる建国祭              太田鴻村



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