10月 1日

2020-09-30 14:00:46 | Weblog
                        十五夜・良夜・名月・月見・望月・仲秋の名月

          中秋の名月とは、旧暦の8月15日に出る月のことを指しています。
          または十五夜でご存じですね
          「芋名月」ともいいます。これは、里芋やサツマイモなどを中心に、
          芋類の収穫物を月に供える風習から生まれた言葉です。
          お月見には、秋の収穫に感謝する意味合いも込められています。そのため、
          月や収穫物にちなんだものを食べたり、お供えしたりするのが昔からの習わしなのです。
           (以上 すべて サイトから知識を拝借しております )



     仲秋名月海にただよふ島に来て          細見綾子


     月下にて毛遊びせし跡ならむ           沢木欣一


     みまかりし師と語りゐる良夜かな         栗田やすし


     しなやかに猫が溝飛ぶ良夜かな          下里美恵子


     やはらかき母の髪梳く良夜かな          鈴木みすず


     月見餅少し歪に蒸しあがる            矢野愛乃 


     どの家も明かりこぼれて望の月          市原美幸


     名月や越の酒飲む夫の留守            長谷川郁代


     身籠りし子と十五夜の月仰ぐ           久野和子


     賑やかに月見どろばう過ぎ行けり         利行小波


     声明の法螺の音やさし観月会           古田富美子


     月の客陰伴ひて入り来たる            夏目悦江


     芋名月添ふる団子の艶めける           山下智子



          



     名月をとつてくれろと泣く子かな         小林一茶


     名月のあたりに星を近づけず           鈴鹿野風呂


     十五夜の月はシネマの上にあり          横光利一


     先生に先生ありぬ望の月             宇多喜代子 


     川甚に渡舟で来たる月見客            吉原田鶴子


     夫在らば椅子はこの位置月今宵          福永みち子


     名月や門の欅も武蔵ぶり             石田波郷



          
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9月 30日

2020-09-29 14:00:44 | Weblog
                          新豆腐


     新豆腐固きを喰めば夜の鳥           沢木欣一


     山水がかけひ溢るる新豆腐           細見綾子


     奥美濃の水の底なる新豆腐           櫻井幹郎


     新豆腐母の齢の倍生きて            佐藤とみお


     五箇山の三角切りの新豆腐           矢崎富子


     穴多き新豆腐買ふ和紙の里           田畑 龍


     山の水引きたる桶に新豆腐           小田二三枝


     新豆腐馬穴に届く河原茶屋           森 靖子


     ふるさとの水やはらかし新豆腐         金田義子


     踊るごと湧き出る水や新豆腐          石崎宗敏


     竹で引く富士の湧き水新豆腐          柴田孝江


     新豆腐震えて沈む水の底            足立サキ子


     四間道の路地に曳き売る新豆腐         小柳津民子



          



     僧堂の飯の白さよ新豆腐            水原秋桜子


     沈むまで風に吹かれて新豆腐          今瀬剛一


     新豆腐ビルの谷間に商へり           堀之内和子


     百選の水が売りもの新豆腐           土田朱鷺雄


     洛北の杉山に雨新豆腐             角川春樹


     つきとめし病いとしむ新豆腐          石田あき子


     山国の竹箸太し新豆腐             茨木晶子



          
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9月 29日

2020-09-28 14:37:46 | Weblog
                         稲架・はさ・稲城・はさ木・田母木・稲棒


     稲架襖裾の越後の子守唄            細見綾子


     棒列ね屋根より高き稲架襖           栗田やすし


     稲架干しの稲の匂へる峡の晴          上杉和雄


     稲架襖抜けて小原の芝居見に          都合ナルミ


     どこからも海見ゆる隠岐稲架組めり       国枝隆生


     鉤の手に登呂田巡らす稲架襖          中村修一郎


     稲架干しの赤米濡らす小雨かな         谷口千賀子


     没日中谷戸の掛稲黄金さす           武藤光晴


     隠岐やいま風穏やかに稲架高し         磯田なつえ


     木曽谷や田毎に伸ぶる稲架の影         坪野洋子


     父母と稲架組みし日や伊吹晴          松永敏枝


     稲架一枚掛け終へて峡暮れにけり        中根多子



          

             棒稲架



     棒稲架や母には遠き衣川            岸風三楼


     稲架を組む男のおけさ夕日を呼び        福田甲子雄


     海光のあまねき稲架を組み進む         水原 春郎


     姨捨や田毎の稲架に後の月           林 翔


     荒縄の結び目揃ふ山の稲架           篠田悦子


     しばらくは新稲架として雨はじく        能村登四郎


     群稲棒一揆のごとく雨に佇つ          角川源義



          


     
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9月 28日

2020-09-27 18:44:46 | Weblog
                         新米・今年米・新糠


     手に受けて象牙の艶の今年米          栗田やすし


     湯気親し土釜で炊きし今年米          梅田 葵


     新米の一粒づつに艶持てり           藤田岳人


     桟橋に着く給食の今年米            栗田せつ子


     田の神へ先づ新米の一と握り          市川正一郎


     今年米檜の升に量り売る            奥山ひろ子


     飯盒の焦げ香ばしき今年米           中野一灯


     一人居の父と分け合ふ今年米          太田滋子


     新米と聞きて手を出す塩むすび         渡辺慢房


     産褥の娘に炊きたての今年米          清原貞子


     新米で炊く誕生の五目飯            佐々木千種


     新米を海女担ぎくる船着場           野村君子


     今年米積むたび蔵の床軋む           兼松 秀




          



     野沢菜の届きぬ炊けよ今年米          水原秋櫻子


     新米を炊くにも妻の声はづみ          福永耕二


     にぎはしく指の間を洩れ今年米         鷹羽狩行


     新米や十勝は水のうまき国           伊藤敬子


     新米やミルクのやうなとぎ汁も         辻桃子


     新米のレッテル光る配達車           西村美枝


     今年米たしかな杓文字触りかな         能村登四郎



          
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9月 27日

2020-09-26 13:18:39 | Weblog
                         自然薯・山の芋・大和芋・とろろ汁

          「山芋」は長芋・大和芋・自然薯を含むヤマノイモ科の芋の総称で、長芋・大和芋(いちょう芋)
          ・自然薯はそれぞれ別品種の山芋です。それぞれすりおろした時の粘りの強さが異なります。
          大和芋は扁平で粘りが強い山芋です。ひとつひとつ形が異なり、いちょうの葉の様な形を
          したものも多いことから、いちょう芋とも呼ばれます。
          自然薯は長さが60cm〜1mほどあり、収穫までに時間がかかるため、流通量が少ない品種の山芋です。
          すりおろすと、箸でつかめるほどの強い粘りがあるため、だしを加えてとろろにするのが一般的です。
          ( 今日もサイトのお知恵拝借致しました )



     箱詰めの自然薯を売る砂丘茶屋         栗田やすし


     山の芋雲母交りの砂こぼす           沢木欣一


     じねんじよの恵那の小石をこぼしたり      細見綾子


     自然薯を掘る陶工の日曜日           都合ナルミ


     とろろ汁すする旅籠の奥座敷          小島千鶴


     自然薯の髭のとび出す薦包み          清水弓月


     相席と弾む話やとろろ汁            小栁津民子


     自然薯のぽこりと土をこぼしけり        渡辺慢房


     山芋掘る朝日に髭根きらめけり         山田悦三


     とろろ汁女ばかりの旅の果て          中根多子


     とろろ薯擂るや生き甲斐ある如く        中村たか


     リュックより覗く自然薯大和道         小田二三枝



          



     これよりは自然薯掘りの鮑海女         鈴木真砂女


     山芋を掘る鍬として納屋に古り         能村登四郎


     とろろ汁鞠子と書きし昔より          富安風生


     自然薯の苦しきかたち掘り起す         三橋敏雄


     山芋括る七里の峡の醫師の土間         石田あき子


     とろろ汁宵に照り合ふ古柱           古舘曹人


     自然薯のものぐさ太郎掘り出さる        茨木和生 



          
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9月 26日

2020-09-25 13:28:51 | Weblog
                         栗・毬栗・虚栗・栗拾・笑栗


     満願寺仔猿飼はれて栗食めり          栗田やすし


     頂上に子と来て若き栗のいが          沢木欣一


     毬のまま栗を銀座で売りてゐし         細見綾子


     一袋焼栗買へり夜の駅             河原地英武


     近づけば城の隠るる栗拾ひ           櫻井幹郎


     毬栗を掌に転がせて句碑訪へり         国枝洋子


     毬栗の青きまま落つ不破の関          清水弓月


     大粒の栗の皮むく夕厨             太田滋子


     笑栗を置けば艶めく綾子句碑          梅田 葵


     竹炭と栗並べ売る無人小屋           松平恭代


     落ち栗の叩く小橋を渡りけり          中村修一郎


     向き合ひて女三代栗を剥く           安藤幸子


     丹波路や叩きて落とす栗拾ひ          石橋忽布



          



     栗焼けば寝そびれあそぶ末子かな        水原秋桜子


     栗の実が一途におちる闇の中          瀧澤伊代次


     栗を拾ひともにはにかむ父同士         林 翔


     栗剥きぬ父の帰りを待つやうに         櫂未知子


     焼栗やむかし丹波に鬼がゐて          大石悦子 


     笑栗の籠にあふれて厨口            田川つる女




          

            毬栗や冠者顔して木曽に入る        吉田鴻司
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9月 25日

2020-09-24 12:38:01 | Weblog
                       芋・衣被・里芋・芋の秋・芋畑・芋水車・芋煮


     粒選りの子芋ばかりを届けらる         栗田やすし


     芋水車流れの速き地蔵川            中山敏彦


     玄海の風に芋の葉折れ尽す           矢野孝子


     故郷の土の匂ひの衣被             渡辺慢房


     衣被つるりと母が頬張れり           荒深美和子


     衣被指三本で押し出せり            兼松 秀


     洗ひ場の程よき流れ芋洗ふ           磯田なつえ


     菊坂の露地の一隅芋育つ            石川紀子


     穏やかな峡の日差しや芋洗ふ          山本法子


     引退の間近な夫と衣被             金原峰子


     門川の水の疾さよ芋車             角田勝代


     山寺の小川に鳴れり芋水車           廣島幸子



          


     
     芋の露連山影を正しうす            飯田蛇笏    


     芋秋や汽車ゆるやかに境線           鈴鹿野風呂 


     里芋の赤芽大吉丹波から            大石悦子


     月山の見ゆと芋煮てあそびけり         水原秋櫻子 


     くさびやや甘き鍬にて芋掘りに         能村登四郎


     子にうつす故里なまり衣被           石橋秀野


     水痩せてしぶしぶ廻る芋水車          穴井子龍



          
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9月 24日

2020-09-23 15:49:46 | Weblog
                         萩・白萩・こぼれ・萩の宿・萩の花


     驟雨来て瑠璃岩盤に萩散りぬ          沢木欣一


     白萩の触るるたび散る待ちて散る        細見綾子


     暗がりに子規の小机萩咲けり          栗田やすし


     丹波いま萩咲く頃か空青し           下里美恵子


     起き抜けに使ふ水櫛萩の花           矢野孝子


     大寺の渡り廊下や萩の風            鈴木みすず      


     筆となる鹿毛の温み萩の花           栗田せつ子


     洞出でて胸に吸ひこむ萩の風          武藤光晴


     寺普請源平萩の散りはじむ           角田勝代     


     文字白き茶屋の看板こぼれ萩          新井酔雪


     山晴れて作務衣の乾く萩の寺          高橋幸子


     幾重にも山車の轍や萩の辻           高橋悦子


     風抜けて萩のトンネル膨らみぬ         ころころ



          



     散りごろの萩にやさしき雨ひと日        能村登四郎


     眼に溜めて風の色見ゆこぼれ萩         福永 耕二


     浅草に舟宿のあり萩月夜            黒木千代子


     萩咲くや馬籠に古りし石だたみ         相馬 遷子


     駄菓子屋の木箱に萩の咲きそめし        三枝正子


     山仕舞ひたる白萩に月夜かな          福田甲子雄



          
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9月 23日 

2020-09-22 14:02:37 | Weblog
                         茸・茸山・茸飯・茸汁・茸狩り


     石山寺くらげのごとき毒茸           栗田やすし


     肉親や雑茸汁の湯気の中            細見綾子


     茸とり大きな籠を笑はるる           小長哲郎


     妻と飲む和田の峠の茸汁            梶田遊子


     幕間の桟敷にひろぐ茸飯            奥山ひろみ


     ふる里に集ふ一夜やきのこ汁          松本恵子


     紅茸の傘の全し二条城             井上 梟


     縄ゆるぶ縛り地蔵にほこり茸          近藤文子


     毒茸生ふ信玄の砦跡              森 靖子


     山上湖見むとリュックに茸飯          角田勝代



          



     月夜茸山の寝息の思はるる           飯田龍太


     湯の花も掻きて取り来し菌狩          茨木和生


     茸狩の競ふ心になりをりぬ           上野 泰


     透析の疲れ引きずり茸狩            朝倉和江


     茸狩やけものの道の急ぎやう          秋元不死男


     笑ひ茸食べしごとくに野の帰り         文挟夫佐恵 


     月山の茸づくしの三の膳            黒田杏子




          
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9月 22日

2020-09-21 14:06:31 | Weblog
                         稲刈り・田刈・収穫・稲車・稲束

     水漬く稲陰まで浸し農婦刈る          沢木欣一


     山水を引きて稲刈鎌をとぐ           細見綾子


     風生れて大和の稲田刈り急ぐ          栗田やすし


     稲刈つて輪中の空のがらんどう         国枝隆生


     田を刈りし足跡深き千枚田           小田智子


     稲を刈る畦にいびつの大薬缶          大橋 良


     刈稲を積んで田舟の大揺れす          篠田法子


     稲刈や浅間に太き煙立つ            高橋幸子


     稲を刈る母の鎌音確かなる           幸村志保美


     堂守の稲刈りゐたり渡岸寺           中村たか



          



     稲舟の棹さしつらね十二橋           鈴鹿野風呂


     稲刈って鳥入れかはる甲斐の空         福田甲子雄


     庄内は稲の刈りどき虹立てり          鷲谷七菜子


     稲刈の海に出るまで雄物川           森 澄雄


     国道を無事横切りし稲車            甘中房恵


     稲束を抱き学童に声をかけ           西村和子


     西山は雲を置き初め稲を刈る          瀧澤伊代次



          


     
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