7月 31日

2019-07-30 19:09:02 | Weblog
                    冷奴・冷豆腐




     妻の留守昼は冷奴で済ます            栗田やすし


     冷奴胡坐で父と酌みし日よ            国枝隆生


     物忘れ重なる夕べ冷奴              梅田 葵


     冷奴柾目の著き利休箸              佐藤とみお


     看取り来て一人の夕餉冷奴            福田邦子


     すててこが似合ふ齢なり冷奴           山原勇人


     冷奴かえでの一葉添へにけり           利行小波


     冷奴くづして食ぶる一人の餉           山本法子


     染付の鯉の箸置き冷奴              山下帰一


     居酒屋で子と汲む酒や冷奴            大橋幹教


     子等去つて夫と無言の冷奴            牧 和代



          



     冷奴隣に灯先んじて                石田波郷


     古妻のほろりと酔ひぬ冷奴             日野草城


     箸とめて次の語を待つ冷奴             村山故郷


     遠山に一の燈二の燈冷奴              上田五千石



      東京は29日に梅雨が明けたら一気に猛暑です
          皆様には熱中症など気を付けてお過ごしください
          きっと今夜の食卓には冷奴があがっているのでしょうね
          ・・・ころころが唯一苦手な食べ物がこれなんです    

     
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7月 30日

2019-07-29 19:30:44 | Weblog
                  打水・水を打つ・水撒く




     水打つて誓子多佳子の句碑濡らす         栗田やすし


     打水のあとの静けさ花街跡            河原地英武


     打水の泥に汚せし新鼻緒             丹羽康碩


     路地挟む蔵元水を打ち合へり           佐藤とみお


     水打つて夜の始まる神楽坂            矢野孝子


     寺男延命水を打ち水に              都合ナルミ


     打水や路地に灯の入る先斗町           丹羽一橋


     旧街道朝の水打つ理髪店             谷口千賀子


     打水や腹立つときは遠くまで           櫻井幹郎


     水打つて法善寺横丁匂ひけり           福田邦子


     来客を待てり二度目の水を打ち          八尋樹炎


     石畳空映るまで水打てり             坪野洋子



          



     能登人や言葉少なに水を打つ            前田普羅


     背信に時効はあらず水を打つ            鈴木真砂女


     球場に水撒く小気味よき作業            右城暮石


     水打つて温泉の門坂夕かげり            富安風生


     
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7月 29日

2019-07-28 15:03:59 | Weblog
                   鶏頭・鶏頭花



     鶏頭を三尺離れもの思ふ                 細見 綾子


     鶏頭のくれなゐ黒をきはめたる              沢木欣一


     いま漉きし紙鶏頭の庭に干す               栗田やすし


     鶏頭のひときは朱き母の墓                上杉和雄


     鶏頭の火の付きさうな一揆村               坪野洋子


     槍鶏頭洗ひざらしの空を突く               熊澤和代


     空青し美瑛の丘に鶏頭燃ゆ                太田滋子


     倒れたる鶏頭の紅鮮やかに                小田二三枝


     鶏頭に雨降る父の七七忌                 小島千鶴


     子規庵の錆びし庇や鶏頭花                鈴木みすず


     種こぼす引込み線の鶏頭花                大島知津


     山車蔵の板目あせたり鶏頭花               溝口洋子


     抽んでて鶏頭燃ゆる子規の庭               金田義子



          



     わがために径に縁なす槍鶏頭                 山口青邨


     命美し槍鶏頭の直なるは                   石田波郷


     お長屋や黄に紅に鶏頭花                   河東碧梧桐


     鶏頭の影地に倒れ壁に立つ                  林 徹


     恋果てゝ鶏頭の紅にも無心                  鈴木真砂女
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7月 28日

2019-07-27 18:12:24 | Weblog
               台風・颱風・台風裡・台風過  (季=秋)



     颱風一過女がすがる赤電話            沢木欣一


     颱風の余波が那須野のきび畑に         細見綾子


     台風裡赤シャツを着てかしこまる        栗田やすし


     台風裡駅で靴より水こぼす           河原地英武


     台風裡水飲んでまた眠りたる          下里美恵子


     台風圏江戸川の波さかのぼる          玉井美智子


     颱風の逸れし日脚や雨戸繰る          坪野洋子


     籠の鵜の身じろぎもせず颱風圏         藤田岳人


     台風裡塩の効きたるにぎり飯          幸村志保美


     台風過ぐビルの谷間に献血車          丹羽康碩


     来て直ぐに経誦む僧や台風裡          加藤元道



          



     神父必死颱風の傘うちすぼめ            加藤秋邨


     看護婦の肘のまろさよ颱風過            石田波郷


     吃る蝉をり台風の来つつあり            秋元不死男


     颱風のさ中の闇の仔猫たち             飯田龍太

     
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7月 27日

2019-07-26 20:32:57 | Weblog
               土用灸(焙烙灸)・土用鰻・鰻




     荒涼と荒川鰻裂いて貰ふ             細見綾子


     就活の天王山や鰻食ふ              河原地英武


     骨の音鳴らし一気に鰻割く            鈴木みすず


     焙烙灸熱し念仏自づから             神尾朴水


     支へ持つ腕のしびれや焙烙灸           安藤幸子


     路地裏に漂ふ鰻焼く匂ひ             鈴木真理子


     鰻屋の夫婦揃ひの丸眼鏡             足立サキ子


     鰻裂く湖風渡る外流し              野島秀子




          



     土用鰻店ぢゆう水を流しをり           阿波野青畝


     鰻の日なりし見知らぬ出前持           後藤夜半


     いかなこと動ぜぬ婆々や土用灸          飯田蛇笏


     耐へて居し声を洩らしぬ土用灸          高橋利雄


     
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7月 26日

2019-07-25 18:53:53 | Weblog
                 梅雨明け・梅雨あがる・送り梅雨




     梅雨明けの夕日丹沢山に落つ           細見綾子


     嬰に会ひに妻梅雨明けの海渡る          栗田やすし


     病む妻へ玉子粥炊く梅雨の明           石原筑波


     梅雨明や義歯はめて終ふ旅仕度          丹羽康碩


     若冲の鶏の白さよ梅雨明くる           栗田せつ子


     母の髪手櫛で梳きぬ送り梅雨           村瀬さち子


     仔狸が畑に顔出す梅雨あがり           右高芳江


     癒え兆す夫の笑顔や梅雨明くる          前田史江


     病名のまたひとつ増え梅雨の明          丹羽一橋


     茹卵つるりと剥けて梅雨明くる          篠田法子



          



     僧房の障子あけあり梅雨月夜            大野林火


     百姓の大きな声に梅雨明くる            木村蕪城


     庭石に梅雨明けの雷ひゞきけり           桂信子


     男の自炊梅雨あけのパン花輪型           飴山實
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7月 25日

2019-07-24 15:15:30 | Weblog
                  甘露忌・不死男忌


     7月25日は俳人秋元不死男の忌日です
     明治34年11月3日~昭和52年7月25日 横浜市生まれ
     本名 不二雄 旧号 地平線~東京三~戦後不死男と改める
     昭和16年俳句事件にて検挙、投獄される。
     昭和23年「天狼」創刊同人。24年「氷海」発行主宰


     甘露忌の運河に黒きもの浮かぶ          栗田やすし


     罅割れのトマトは畑に不死男の忌         武藤光晴




          



     一天に雷神あそぶ不死男の忌            三田きえ子


     不死男忌や木の瘤は木の知恵袋           鷹羽狩行


     甘露忌の一番星を湖の上              長田等


     不死男忌の不意に鳴き出す牛蛙           後藤秋邑


     走馬灯廻らぬもあり不死男の忌           堀内一郎




      ころころが好きな不死男の俳句五選 


     寒や母地のアセチレン風に欷き


     冷されて牛の貫禄しづかなり


     三月やモナリザを売る石畳


     顔入れて冬シャツは家の匂ひする


     ちらと笑む赤子の昼寝通り雨             秋元不死男

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7月 24日

2019-07-23 20:53:39 | Weblog
                氷水・夏氷・かき氷・氷いちご・氷金時
                  ( 7月25日はかき氷の日 )



     一本の木もなき街の氷水             細見綾子


     参道に椅子はみ出して氷水            河原地英武


     三輪山に白き雲立つ氷水             清水弓月


     小さき手にそつと手渡すかき氷          太田滋子

     
     はんなりと抹茶に染まるかき氷          奥山比呂美


     天守より降りて一人のかき氷           山口耕太郎


     六道の辻で飲みたる氷水             尾関佳子




          



     削氷を掌もて押ふること親し            富安風生


     氷店の鏡に午後の波頭               桂信子


     宇治金時みどりの水となりにけり          辻桃子


     正面と思ひてくづす氷水              今瀬剛一


     音たててこの世揺れをり氷水            長谷川櫂
     
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7月 23日 大暑

2019-07-22 16:53:50 | Weblog
                  大暑



     洗ひ場の鯉が跳ねたる大暑かな          栗田やすし


     能登さざえ生きて届きし大暑かな         細見綾子


     送電線弛みきつたる大暑かな           国枝隆生


     ボンエットバスで往き来や島大暑         岸本典子


     増水の川ぎらぎらと大暑なる           谷口千賀子


     山並みの歪みて見ゆる大暑かな          伊藤旅遊


     裏打ちの糊に水足す大暑かな           長崎真由美


     蛇口みな上向いてゐる大暑かな          篠田法子


     靴底に小石くひこむ大暑かな           国枝洋子


     腕に水かけて大暑の刀鍛冶            幸村富江


     樅の木に鴉鳴き合ふ大暑かな           荻野文子


     前髪の額にはりつく大暑かな           市原美幸


    



         



     水晶の念珠つめたき大暑かな            日野草城


     夜の大暑垂らす喪服の裾に臥て           桂信子


     遠くまで海揺れてゐる大暑かな           飯田龍太


     大津絵の鬼の朱色の大暑かな            能村登四郎


     びんづるはやぶ睨みなる大暑かな          阿波野青畝
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7月 22日

2019-07-21 15:40:29 | Weblog
                汗・汗ばむ・玉の汗・汗水




     塩一石汗一石砂積み崩し             沢木欣一


     十二神将汗のまなこに打ち仰ぐ          細見綾子


     汗の児のやうやく懐く別れ際           栗田やすし


     ピアスして若き左官の玉の汗           鳥居順子


     珠洲の塩味見て汗を拭ひけり           佐藤とみお


     予科練の名残の痣ぞ汗拭ふ            矢野孝子


     気前よくまけて汗拭く七味売           鈴木みすず


     再会の汗ばむ肩をたたき合ふ           奥山ひろ子


     汗の玉散らし腕振る測量士            三井あきを


     汗ばめり地下道長き大手町            伊藤範子


     太鼓打つ女に汗の力瘤              森 靖子


     雨の日の赤子抱く腕汗ばめり           小島千鶴


     溶接工汗の上汗滴らす              こころ



          



     汗しらずうなじに残し稽古海女           西上禎子


     甲子園汗にじむ砂玉として             加古宗也


     汗のシャツぬげばあらたな夕空あり         宮津昭彦


     ほのかなる少女の髭の汗ばめる           山口誓子


     八人が育ちし乳房汗を拭く             千田とも子



     
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