9月 1日 <関東大震災忌>

2019-08-31 14:21:00 | Weblog
              風の盆・おわら祭・八尾の廻り盆


      毎年9月1日から3日まで富山県八尾で行われる民族行事。
      風の神を鎮め豊作を祈り,胡弓の音にあわせて越中おわら節を
      躍る男踊り,女踊りの艶やかさは必見です



     街裏に瀬波の白き風の盆            沢木欣一


     飛騨やまめ焼きし母者よ風の盆         細見綾子


     編笠に後れ毛靡く風の盆            坪野洋子


     風の盆果てたる闇に水の音           奥山ひろみ


     雪洞の灯のやはらかし風の盆          武藤光晴


     網笠を買ふて加はる風の盆           山口登代子


     少年が真顔で踊る風の盆            沢田充子


     踊る手のしなやかに伸び風の盆         大石久雄


     簪のやや揺れてをり風の盆           三井あきを


     風の盆踊り果つ娘の幼顔            只腰和子


     手を合はす指しなやかに風の盆         新野芳子



          



     日ぐれ待つ青き山河よ風の盆           大野林火


     土不踏高く上らず風の盆             阿波野青畝


     加はりし胡弓の咽ぶ風の盆            清崎敏郎


     町裏の灯なき吊橋風の盆             野澤節子


     月の面に風の彩ある風の盆            岡本眸
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8月 31日

2019-08-30 15:53:29 | Weblog
             葡萄・葡萄棚・葡萄園


     語呂合わせでしょうか 8月31日は野菜の日とか 暑い日々ももう少しです
     また大雨の被害がこれ以上出ないことをお祈りします



     紫のぶだうを置いて雨の音            細見綾子


     熱の児に葡萄一粒づゝ与ふ           栗田やすし


     甘き香や修道院のぶだう棚           岸本典子


     夕映えの大地遙かに葡萄熟る          伊藤範子


     枯兆す葡萄畑へ弥撒の鐘            矢野孝子


     野ぶだうの海の色して遠流の地         国枝洋子


     一粒の葡萄甘しと母癒ゆる           野島秀子


     野ぶだうの鈴生り蒙古襲来地          八尋樹炎


     廃城の砦裾まで葡萄畑             小柳津民子


     葡萄棚駅舎に熟るる甲斐の旅          藤本いく子


     天山の水ほとばしる葡萄畑           山口登代子




          



     石狩乙女皿にもてくる黒葡萄           松崎鉄之介


     谷わたる葡萄畑や幾夕立             山口青邨


     葡萄園を来し泥靴を憚らず            安住敦


     葡萄食ふ一語一語の如くにて           中村草田男


     真直に少女の視線葡萄園             飯島晴子




          


     
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8月 30日

2019-08-29 13:49:31 | Weblog
            赤のまま・赤のまんま・犬蓼の花・蓼の花・穂蓼・桜蓼・大犬蓼




     赤ままの花の濃くして去り難し         細見綾子


     蓼の花少し残りて野川かな           細見綾子


     赤のまま慰霊の丘に吹かれをり         下里美恵子


     良寛の行乞の地よ赤のまま           伊藤旅遊


     花蓼や水凹ませて風渡る            矢野孝子


     陶土掘る泥にまみれし蓼の花          武田稜子


     師の句帳よりはみ出せり桜蓼          小島千鶴


     赤まんま子供神輿の通る径           武藤光晴


     高札の薄れし文字や赤のまま          鳥居純子


     彩色の残る観音蓼の花             神尾知代


     藍の花染工房の屋敷畑             夏目悦江


     ままごとのひとりあそびや赤のまま       菊山静枝



          

           藍の花



     料理屋に隣れば赤き穂蓼かな          河東碧梧桐


     うつむきて歩く心や蓼の花           石田波郷


     ゴム長を穿きてふるさと赤のまま        右城暮石


     川風や大蓼の花荒るゝほど           飴山實


     犬蓼にある明るさよ野草園           青柳志解樹
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8月 29日

2019-08-28 13:25:22 | Weblog
             白粉の花・夕化粧・紫茉莉




     染め汁の虎色の川よおしろい花         細見綾子


     いとゞよく出づるおしろい花のそば        細見綾子


     おしろいの花島原の廓跡            伊藤旅遊


     白粉花散りしく杜国蟄居跡           澤田正子


     ぐづる児に白粉花を吹き鳴らす         長崎眞由美


     白粉花匂ふ広縁療養す             森田志げを



          



     本郷に残る下宿屋白粉花             瀧 春一


     おしろいの花の夕ベの船魂社           星野麥丘人


     白粉花の風のおちつく縄電車           河野南畦


     花白粉農の常口ひろやかに            石川桂郎


     おしろいの花の紅白はねちがひ          富安風生



          
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8月 28日

2019-08-27 14:19:34 | Weblog
              秋海棠・断腸花




     女去つて秋海棠の茎紅し             澤木欣一


     秋海棠映る池面に浪のしわ           清水弓月


     描き遺す妻の裸婦像断腸花           上杉和雄


     忌の近き子規の机に秋海棠           岸本典子


     秋海棠瀬音高まる城下町            早川文子


     秋海棠赤し足助の典籍屋            掛布光子


     子規の忌が近し病間に断腸花          小島千鶴


     秋海棠薄くれなゐの水走る           谷口由美子


     子規の庭秋海棠の咲き初むる          福田邦子


     秋海棠咲くばかりなり尼の寺          小栁津民子


     秋海棠子規自画像の口の紅           中村たか




          



     秋海棠蔓りて芒無りけり             河東碧梧桐


     秋海棠母を大事の家のさま            中村汀女


     障子濡れ秋海棠の花透かす            山口青邨


     秋海棠まだ降りたらぬ空の色           中野千代


     断腸花妻の死ははや遠きこと           石原八束




          
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8月 27日

2019-08-26 15:30:39 | Weblog
             葛の花・葛の葉・真葛・真葛原・葛かずら




     葛の蔓ひたすら垂れて地を探す          沢木欣一


     伊良湖岬蔓引けば寄る葛の花          栗田やすし


     葛咲いて紙漉谷をおほふかな          細見綾子


     丹波路の川を狭めて葛咲けり          岸本典子


     土手高き火薬庫跡や葛盛ん           都合ナルミ


     廃線路覆ひつくせり葛の花           奥山ひろみ


     木曾と美濃分かつ峠や葛の花          丸山貴美子


     葛の葉や石塔なべて兵の墓           伊藤旅遊


     刈り伏せて葛の匂へり狼煙崎          若山智子


     葛匂ふむかし一揆のありし地よ         小島千鶴


     真葛原紅き花穂の立ち上がる          近藤きん子


     井戸のこる離村集落葛の花           岡田佳子



          



     車窓ふと暗きは葛の花垂るる           富安風生


     葛咲くや嬬恋村の字いくつ            石田波郷


     葛の花まだゆきてみぬ崖の道           平井照敏


     葛咲くやいたるところに切通           下村槐太


     隠るるごと葉裏葛咲き奥石見           能村登四郎
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8月 26日

2019-08-25 13:12:08 | Weblog
          ばつた・精霊ばつた・きちきち・米搗ばった・はたはた




     塩田にきちきちばつた飛び込めり        栗田やすし 


     はたはたの飛びしうす羽の曇りかな       細見綾子


     ほの赤き飛蝗の腹の脈打てる          河原地英武


     夕暮れの鵜河原に跳ぶ青バッタ         小島千鶴


     ばつたとぶ羽黒詣の杖の先           栗田せつ子


     赤錆びの魚雷にばつた跳びつけり        武田稜子


     きちきちの草より淡き翅つかふ         梅田 葵


     腕白でありし故郷ばつた飛ぶ          武藤光晴


     足元を飛蝗跳び交ふ古戦場           上杉和雄


     ばつた跳ぶ草の雫をはねとばし         国枝洋子


     バッタ飛ぶ米軍基地に王の墓          平 千花子


     きちきちを夕日へ跳ばし畦ゆけり        米元ひとみ


     都府楼趾前後左右にばつた飛ぶ         谷口千賀子



          



     蝗ばつた彼岸の野川流れたり           臼田亞浪


     ばつた翔つ弧の入りまじる中をゆく        八木絵馬


     はたはたに蹴られて風のたなごころ        秋元不死男


     大名ばった千姫の墓つかみをり          稲荷島人


     きちきちに骨の音する山河晴れ          野澤節子   
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8月 25日

2019-08-24 13:49:28 | Weblog
                色鳥




     色鳥や父母の墓ある雑木山           栗田やすし


     色鳥やむかしかがいの御幸原          沢木欣一


     鷹の道色鳥藪で騒ぎけり            細見綾子


     色鳥や音立て乾く蛇の目傘           小原米子


     色鳥や森の中なる交差点            幸村志保美


     色鳥にふくらむ杜の大樹かな          栗生晴夫


     色鳥の声降り来たり神ノ島           小柳津民子


     色鳥や間伐材の椅子のつや           中川幸子


     色鳥の声の華やぎやすし句碑          武田稜子



          



     色鳥を待つや端居の絵具皿            松瀬青々


     色鳥の映ることあり山葵沢            瀧澤伊代次


     色鳥が小首に枝を見上げたる           中村草田男


     色鳥やわが靴のいつ磨かれし           福永耕二


     色鳥や一夜に晴れし神の山            深見けん二
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8月 24日

2019-08-23 14:21:21 | Weblog
             野菊・野紺菊・紺菊・野路菊・油菊


         暦の上では23日が処暑、東京では暦通りに久しぶりにクーラーを
         使わないで過ごせました
         近くの区立植物園では野紺菊・野路菊が咲きだしています



     谿流が石噛むところ野菊咲く           細見綾子


     分校を浸せるダムや野紺菊           山たけし


     大滝の上はせせらぎ野菊咲く          加藤百世


     せせらぎの万葉古道野菊晴           武藤光晴


     野紺菊一輪絵島の文机に            橋本紀子


     洗ひたるジーンズ硬し野菊晴          櫻井幹郎


     落人の里や野菊の吹かれをり          福田邦子


     匂ひ濃き畑の野菊を刈り残す          藤田岳人


     端座する良寛像や野菊晴            小栁津民子


     野菊咲く古き砦のかまど跡           熱海より子


     親牛に仔牛寄り添ふ野菊晴           大津千恵子



          



     雨粒のときどき太き野菊かな          中村汀女


     野菊摘む奴国金印出しところ          野見山朱鳥


     野菊はや咲いて露けし墓參道          杉田久女


     窯元をたづねむ丘の野菊踏む          阿波野青畝


     朗々と深山野菊の花の渦            飯田龍太



          




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8月 23日

2019-08-22 14:05:33 | Weblog
              秋桜・コスモス




     コスモスの白が終わりのやうに咲く       細見綾子


     咲きのこる白コスモスに山の風         栗田やすし


     海よりの風にコスモス弾みけり         河原地英武


     星の夜のコスモス色を失へり          櫻井幹郎


     秋ざくら母と遊びし夢ばかり          玉井美智子


     黒潮を越えて嫁くる秋ざくら          栗田せつ子


     隠れ里畑一面に秋桜              山本光江


     幼子の声コスモスの迷路より          上杉美保子


     コスモスの地に伏してなほ吹かれをり      関根近子


     蛸壺にコスモス活くる漁師宿          志知祥子


     占ひは待ち人遠し秋桜             奥山ひろ子


     川風にコスモスの色混ざり合ふ         鈴木真理子



          



     コスモスに静の里を見すごしし         阿波野青畝


     風去れば色とり戻す秋桜            稲畑汀子


     コスモスの花の上行く肩車           大高時子


     コスモスのまだ触れ合はぬ花の数        石田勝彦


     コスモスの花ゆるがせて鼓笛隊         大河原一石
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