1月 30日

2020-01-29 14:57:03 | Weblog
                    春近し・春隣・明日の春・春まぢか


     春近き研究室を明け渡す          栗田やすし


     春近しぼろ~パンを喰みこぼし       細見綾子


     隣り家に釘打つひびき春隣         沢木欣一


     松の葉に掛かる氷や春隣          河原地英武


     春近し赤木の瘤は銅の艶          矢野孝子


     砂利を掻く山葵田守や春近き        山下智子


     干蛸の足まで透くる春隣          国枝洋子


     師の句碑と聴きし波音春近し        奥山ひろみ


     馬頭琴の万馬の響き春近し         宇田鈴枝


     春隣鏡台に置く招き猫           市原美幸


     塩レモン漬けこむ瓶や春隣         福田邦子


     命名の和紙のうす紅春隣          金原峰子



          



     パンむしる手に春近き日ざしかな      久保田万太郎


     蛸の足三本買つて春隣           鈴木真砂女


     自転車で鮒来しよ春遠からじ        秋元不死男


     春近し薪割る音を地に溜めて        鷹羽狩行


     星空をまはす水車や春隣          市ヶ谷洋子


     マヌカンに恋のまなざし春隣        土生重次


     産科とふ名札はたのし春隣         中村汀女



          
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1月 29日

2020-01-28 13:29:26 | Weblog
                    侘助・侘助椿


     一般的には侘助は椿のうち花弁の数が少ない小型の花を付けて、
     あまり平開しない種類を言います
     侘助の名の由来は諸説ありますが
      江戸時代の茶人・千利休の下男(使用人)の庭男の名前「侘助」にちなむという説。
     彼はこの花を丹精こめて育てていた庭師で、千利休はこの花を茶室に飾って愛でたと
     言われています。(ころころはこの説をとりたいです。すべてネットからの知識ですが)



     侘助や妻着て一日富士眺む         栗田やすし


     侘助や表札いまも夫の名          梅田 葵


     侘助や寺に絵工の墓一基          澤田正子


     侘助や葵の紋の釘隠し           菊池佳子


     青竹に詫助一枝禅の寺           村瀬さち子


     侘助の落ち重なれり休め窯         豊田紀久子


     侘助やひび割れ深き楽茶碗         足立サキ子


     侘助や雪見障子の音軋む          大嶋福代


     侘助や酒蔵と母ともに老ゆ         金原峰子




          



     佗助の莟の先に止まる雪          松本たかし


     佗助や夢の切れ目を雪降れり        小檜山繁子


     侘助に風立つゆふべもの食べに       鍵和田釉子


     佗助にいつもの稽古はじめけり       車谷 弘


     佗助やちちの紬をははが着て        塩谷はつ枝


     侘助や褪せし葉書の男文字         谷口桂子




          
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1月 28日

2020-01-27 13:41:03 | Weblog
                    冬蝶・冬の蝶・凍蝶・蝶凍つる・越年蝶


     芥焼く煙のなかの冬の蝶          澤木欣一


     越冬の蝶の乱舞や御嶽口          栗田やすし


     紙切れのごとき籬の冬の蝶         清水弓月


     六道の辻に冬蝶見失ふ           横井美音


     地下壕を出れば真白き冬の蝶        斎藤真人


     冬の蝶日向の石に翅広ぐ          生田 愛


     地ならしの馬場にゆらりと冬の蝶      加藤裕子


     影の無き大日時計や冬の蝶         渡辺慢房


     草の葉と一枚になり冬の蝶         中川幸子


     冬の蝶御穂田へ来て果てにけり       中根多子


     冬蝶の舞ひ上がりたるしじまかな      桑原 良


     窯の屋根越ゆ瑠璃色の冬の蝶        山本光江



          



     記憶古りて凍蝶の翅欠きやすし        寺山修司


     心臓を押さえた形に冬の蝶          宇多喜代子


     アスファルトに死す冬の蝶乾ききり      大高翔


     凍蝶の上ると見えて落ちにけり        下村梅子


     旅立つや冬蝶たたす妻の影          秋元不死男


     たかだかと冬蝶は日にくだけたる       夏井いつき




          
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1月 27日

2020-01-26 17:43:05 | Weblog
                    蕗の薹
                   ≪季=春≫


     蕗の薹見つけし今日はこれでよし         細見 綾子


     蕗のたう屈みて摘めり石道寺           栗田やすし


     蕗の薹長くる信玄火葬塚             倉田信子


     小振りなる渋民村の蕗の薹            都合ナルミ


     風化仏くちの笑みのみ蕗の薹           山 たけし


     大富士を仰ぎては摘むふきのたう         谷口千賀子


     蕗の芽に光る雫や雨後の朝            武藤光晴


     万葉の径にほほけし蕗の薹            服部鏡子


     地震跡の崖の崩れに蕗のたう           上杉美保子


     ほほけゐし分水嶺の蕗のたう           河井久子


     蕗のたう沢音尖る峠道              山下善久


     能登の塩添へ揚げたての蕗の薹          二村美伽



          



     蕗の薹のせてピアノの蓋くもる          林 徹


     もう一つあれば鼎の蕗の薹            鷹羽狩行


     土すこし抱きし寒の蕗の薹            野澤節子


     ころげ出しごとくに一つ蕗の薹          片山由美子


     塀の外世の移りをり蕗の薹            大野林火


     ほろ苦き恋の味なり蕗の薹            杉田久女




          
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1月 26日

2020-01-25 20:14:58 | Weblog
                    ものの芽・草の芽・名草の芽 
                         ≪季=春≫


     観音に瀬音高まる芽木の里            栗田やすし


     海越えて芽ぐむものなき野のひかり        沢木欣一


     川べりの芽木にふれゆく男の子          細見綾子


     虎御前の墓を囲めり名草の芽           下里美恵子


     風木舎跡ほつほつと名草の芽           栗田せつ子


     ものの芽のみなやはらかし孔子廟         鈴木みすず


     ものの芽に光の雫とどまれり           国枝洋子


     竹馬で猿が踏みゆく名草の芽           谷口千賀子


     ものの芽の明るさに置く乳母車          福田邦子


     鉄砲狭間欠けし窪みに草芽ぶく          鈴木真理子


     靴も下駄も同じ片減り萩芽吹く          山 たけし


     ものの芽に撒くや閼伽井の残り水         内田陽子


     稽古着の舞妓触れ行く柳の芽           東口哲半


     韮の芽の雨に匂へり陶干場            山本光江



          



     ほぐれんとして傾ける物芽かな          中村汀女


     丸ビルの壁の割れ目に名草の芽          稲畑廣太郎


     草の芽にかゞみて母も素足なる          白澤よし子


     ものの芽のひしとかこみて元興寺         鷲谷七菜子 


     にわとりの忍び足なる名草の芽          永沼千代子


     ものの芽を散り敷くさまの狭庭かな        鷹羽狩行




          


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1月 25日

2020-01-24 18:47:41 | Weblog
                     寒月・月冴ゆる・冬の月


     寒月が鵜川の底の石照らす         栗田やすし


     祭壇のごとき山嶺月冴ゆる         河原地英武


     ジャズ聴いて寒月白く更けゆけり      矢野孝子


     冬満月忌を修したる安らぎに        国枝隆生


     寒月や起重機腕を上げしまま        関根切子


     榊鬼去りたる舞庭月冴ゆる         長崎真由美


     酒蔵の忍び返しや冬の月          新野芳子


     冬の月大利根川は黒き帯          武藤光晴


     白樺の細き枝先冬の月           奥山ひろ子


     寒月や干し藷切りのピアノ線        渡辺慢房


     露天湯に光こぼせり冬の月         長谷川つゆ子


     寒月に身震ひ一つ雨戸閉づ         千葉ゆう


     くつきりと浅間の嶺や寒の月        高橋幸子



          



     寒月に雲飛ぶ赤城榛名かな         河東碧梧桐


     冬の月黒き木仏木に戻り          宇多喜代子


     冬の月わたしの毛布照らしおり       大高翔


     同じ湯にしづみて寒の月明り        飯田龍太


     仏間はまた熟寝の間にて冬の月       鷲谷七菜子


     寒月に大いに怒る轍あり          秋元不死男


     長安の糸より細き冬の月          有馬朗人
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1月 24日

2020-01-23 14:25:09 | Weblog
                    マスク


     宝くじ売場にマスクして並ぶ        栗田やすし


     桃色の大きなマスク遅刻生         河原地英武


     挨拶をマスクの二人目で交はす       中山敏彦


     眉と目の賢く見ゆる児のマスク       服部富子


     白マスクはづして母の咳き込める      丹羽康碩


     終電車マスクばかりを吐き出せり      篠田法子


     女医さんの鼻を隠さぬマスクかな      兼松 秀


     マスクしてマスクの人に近づかず      小長哲郎


     マスクしたまま居眠りの三限目       荒深美和子


     マスクして駅長の目の良く動く       漆畑一枝


     時刻表見るときマスク外しけり       山たけし



          



     マスクして人に逢ひ度くなき日かな     稲畑汀子


     マスクして振り返るには来過ぎたる     岡本眸


     浮かぬ顔悟られまひぞマスクして      大宮良夫


     遠くよりマスクを外す笑みはれやか     富安風生


     マスクしてゐても猫にはわかるらし     北川沙羅詩


     咳こぼすマスクの中の貌小さし       吉田鴻司




          
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1月 23日

2020-01-22 20:26:30 | Weblog
                    白鳥・スワン・黒鳥・鵠(くぐい)


     八雲わけ大白鳥の行方かな         沢木欣一


     白鳥に到る暮色を見とどけし        細見綾子


     大白鳥飛ぶ漆黒の脚揃へ          栗田やすし


     逆立ちて白鳥池の底濁す          丹羽康碩


     白鳥の来てみづうみの蒼みたり       福田邦子


     白鳥を呼べりバケツの尻たたき       栗田せつ子


     大白鳥瓢湖の闇を鳴き合へり        上村龍子


     白鳥の和毛片寄る水田べり         山下智子


     ももいろの嘴の雫や子白鳥         近藤文子


     白鳥の浅葱色なる大卵           関 亜弥美


     千里来し白鳥の群昼眠る          平松公代


     白鳥の黒き葦だし着水す          丸山貴美子




          



     白鳥の飛来の余力頸にあり         能村研三


     白鳥は悲しからんに黒鳥も         高屋窓秋


     スワン来ぬ新樹ゆたかに影ゆれて      佐藤春夫


     雪空に黒鳥ひとつ渡りけり         中勘助


     抱く母はスワンの重さ冬の階        大木あまり


     白鳥の己れの白さ暮れなづむ        阿波野青畝


     黒鳥のあかき嘴餌を得たり         佐川広治
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1月 22日

2020-01-21 18:35:11 | Weblog
                    犬ふぐり  ≪ 季=初春 ≫


     栗畑に日だまりのあり犬ふぐり          細見綾子


     当麻寺へどの畦道も犬ふぐり           下里美恵子


     犬ふぐり囲む馬琴の墓所             佐藤とみお


     牛の仔の大き泪目犬ふぐり            井沢陽子


     犬ふぐりゆるびし鍬の楔打つ           中野一灯


     みどり児のかたこと楽し犬ふぐり         小栁津民子


     寅さんの座りし土手や犬ふぐり          武藤光晴


     ゆづり合ふ細き窯道犬ふぐり           水野時子


     犬ふぐり大の字に寝て空眺む           渡辺慢房


     高札の残る馬宿いぬふぐり            東口哲半



         



     片の捨靴ボートのごとし犬ふぐり         秋元不死男


     ひとつぶの花てのひらにいぬふぐり        山口青邨


     一花にも大空湛へ犬ふぐり            深見けん二


     犬ふぐり一つ見つけて百花ほど          佐々木六戈


     犬ふぐり跼めば子等も来て跼む          阿部美恵子


     日にふるへ風にきらめき犬ふぐり         藤陵紫泡
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1月 21日

2020-01-20 18:38:16 | Weblog
                   笹鳴・笹子・藪鶯・冬鶯

     ≪三冬≫山から下りてきた鶯が藪や生垣で舌打ちするような声で鳴くこと


     父眠る軍人墓地や笹子啼く         栗田やすし


     笹鳴や満月登る富士の肌          澤木欣一


     笹鳴のまことに稚し焼け山に        細見綾子


     笹鳴や家並見下ろす観世音         奥山比呂美


     奥宮へ七百余段笹子鳴く          矢野孝子


     息かけて拭く窓硝子笹子鳴く        清水弓月


     畑隅に捨て大根や笹子鳴く         武藤光晴


     笹鳴や句碑に夕日の移り来し        国枝洋子


     笹鳴や夕日射し込む藪の奥         磯田なつえ


     笹鳴や夕日明りの雑木山          伊藤旅遊


     笹鳴やみどり増したる句碑の苔       梅田 葵


     生垣に笹子来てゐる杓子庵         矢野愛乃



      尼寺のかんぬき太し夕笹子         中川幸子



          



     笹鳴の舌の強さよ藪の中          滝沢伊代次


     笹鳴や十能の火を書院まで         大峯あきら


     笹子鳴きふたゝび空はくもりけり      桂 信子


     笹子鳴く真昼やさしき甲斐の山       飯田龍太


     古園荒る冬鴬の端麗に           山口青邨


     川の名の信濃にかはる笹子かな       古舘曹人
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