9月 16日 敬老の日

2019-09-15 15:56:56 | Weblog
             自然薯・山の芋・とろろ汁



     箱詰めの自然薯を売る砂丘茶屋         栗田やすし


     山の芋摺りしすりこぎ谷水に          沢木欣一


     新藁に埋もれて着きし山の芋          細見綾子


     自然薯を掘る陶工の日曜日           都合ナルミ


     とろろ薯擂るや生き甲斐ある如く        中村たか


     自然薯の髭のとび出す薦包み          清水弓月


     山芋掘る朝日に髭根きらめけり         山田悦三


     自然薯のぽこりと土をこぼしけり        渡辺慢房


     とろろ汁すする旅籠の奥座敷          小島千鶴


     リュックより覗く自然薯大和道         小田二三枝


     相席と弾む話やとろろ汁            小栁津民子


     とろろ汁女ばかりの旅の果て          中根多子



          



     これよりは自然薯掘りの鮑海女          鈴木真砂女


     とろろ汁鞠子と書きし昔より           富安風生


     相悪き自然薯にして旨かりし           能村登四郎


     自然薯掘だんだん膝の揃ひけり          石田勝彦


     とろろ汁宵に照り合ふ古柱            古舘曹人

コメント

9月 15日

2019-09-14 15:00:35 | Weblog
             棗・青棗・棗の実・なつめ



     初なりの三つの棗青きかな          細見綾子


     師と語る卓に三粒の熟れ棗          栗田やすし


     棗落つ庭の箒目崩さずに           国枝隆生


     朝の日を弾きて風の棗かな          矢野孝子


     海峡の風に色づく棗の実           倉田信子


     修院の午後の閑けさ棗の実          梅田 葵


     棗熟れ空一片の雲もなし           中村修一郎


     飴色に棗煮上がる匂ひかな          二村美伽


     師の庭にひとつ残れり棗の実         森 靖子


     船津屋の熟れ残りたる棗の実         廣島幸子



          



     長い棗円い棗も熟しけり            河東碧梧桐


     敦煌の十字路どこも棗熟れ           松崎鉄之介


     棗熟れ枝しらじらと湖の家           大野林火


     棗ふくみて山荘の客帰る            飯田龍太


     墓多き河口の村に熟れ棗            飴山實


     竿をもて棗をたゝく巡査かな          高野素十
コメント

9月 14日

2019-09-13 17:31:22 | Weblog
             十五夜・良夜・名月・月見・望月・仲秋の名月



     仲秋名月海にただよふ島に来て          細見綾子


     みまかりし師と語りゐる良夜かな         栗田やすし


     しなやかに猫が溝飛ぶ良夜かな          下里美恵子


     月見餅少し歪に蒸しあがる            矢野愛乃


     良夜かなスカイツリーは水色に          鈴木みすず


     満月へ開け放たれし写経堂            横井美音


     名月や越の酒飲む夫の留守            長谷川郁代


     どの家も明かりこぼれて望の月          市原美幸


     芋名月添ふる団子の艶めける           山下智子


     声明の法螺の音やさし観月会           古田富美子


     名月を中天に見る夜更けかな           石原進子


     月の客陰伴ひて入り来たる            夏目悦江



          



     田にいただく望月のほかみな空家         清水径子


     十五夜の月はシネマの上にあり           横光利一


     川甚に渡舟で来たる月見客             吉原田鶴子


     十五夜の月を忘れて寝てしまふ           小坂 順子


     望月の海を離るる櫂の音              野田口あや 



     
コメント

9月 13日

2019-09-12 14:01:40 | Weblog
            栗・毬栗・虚栗・栗拾・笑栗



     頂上に子と来て若き栗のいが          沢木欣一


     家裏の栗落つ音の昔のまゝ           細見綾子


     満願寺仔猿飼はれて栗食めり          栗田やすし


     一袋焼栗買へり夜の駅             河原地英武


     近づけば城の隠るる栗拾ひ           櫻井幹郎


     毬栗の青きまま落つ不破の関          清水弓月


     笑栗を置けば艶めく綾子句碑          梅田 葵


     毬栗を掌に転がせて句碑訪へり         国枝洋子


     大粒の栗の皮むく夕厨             太田滋子


     山の日の豊かや栗の落つる音          前田史江


     落ち栗の叩く小橋を渡りけり          中村修一郎


     丹波路や叩きて落とす栗拾ひ          石橋忽布


     竹炭と栗並べ売る無人小屋           松平恭代



          



     毬栗や冠者顔して木曽に入る          吉田鴻司


     山びこのひとりをさそふ栗拾ひ         飯田蛇笏


     山栗や少年の日の土の橋            鷹羽狩行


     笑栗の籠にあふれて厨口            田川つる女
コメント

9月 12日

2019-09-11 15:56:16 | Weblog
            秋の日・秋日・秋日向・秋日影



     眼前に秋日まみれの竹生島            栗田やすし


     十二神将怒り秋日を強めたり           細見綾子


     秋日沁む獣の骨のちりぢりに           沢木欣一


     教室の隅のオルガン秋没日            河原地英武


     師の買ひし木曽の煙草や秋日濃し         国枝隆生


     ごんぎつね来さうな三和土秋日濃し        野島秀子


     ひよつとこ面仲見世で買ふ秋日和         角田勝代


     蔵に据う千貫神輿秋日映ゆ            鈴木みすず


     音たてて秋日に乾く檜桶             奥山ひろ子


     秋日濃し汐引く川の澪標             武藤光晴


     秋日透く障子明りに技芸天            磯田なつえ


     乾ききる干蛸秋の日が透ける           若山智子


     秋日入る鰊御殿の塗廊下             金田義子



          



     み仏のめつむりながき秋日かな          桂 信子


     金の箔おくごと秋日笹むらに           上村占魚


     防波堤秋日をかへす稚魚の群           内田 芳子


     仙石線待ちて秋日の箒売             横山房子


     波の上に金の秋日の貼りつける          西村和子




          
コメント

9月 11日

2019-09-10 14:26:42 | Weblog
             燕帰る・帰燕・帰る燕・去る燕



      去る燕水に幾度も触れゆけり         細見綾子


      四阿に石の円卓燕去る            沢木欣一


      丹沢の夕日に向ひ帰燕かな          栗田やすし


      雲ひとつ燕帰りし城の空           梅田 葵


      ひとしきり群れて明日去る燕かも       下里美恵子


      飛鳥寺の鐘ひびく空燕去る          栗田せつ子


      出撃せし沖へ帰燕の盛んなる         国枝隆生


      峡の空帰燕の群の飛び巡る          清水弓月


      国後の見ゆる峠へ去ぬ燕           若山智子  


      岬鼻は帰燕の空となりにけり         丹羽一橋


      土管坂越えて帰燕の空広し          野島秀子


      去ぬ燕米屋に二つ巣を残し          福田邦子


      去ぬ燕見送る月山八合目           山本悦子



          



      燕去る鶏鳴もまた糸のごと          飯田龍太


      むらさきの山河残して燕去る         鷹羽狩行


      絶壁に波打つ別れ燕去る           池内友次郎


      安房一島置きざりにして燕去る        佐川広治
コメント

9月 10日

2019-09-09 14:29:22 | Weblog
             無花果・青無花果




     家探す薄暮無花果小指ほど           沢木欣一


     まだ青き無花果に触れ田舟過ぐ         栗田やすし


     いちじくを山ほどくれし野分あと         細見綾子


     無花果の匂ふ路地来て朝のミサ         玉井美智子


     無花果の風や仔牛の耳動く           鈴木真理子


     窓越しに庭の無花果祖父に見す         工藤まみ


     口中に解ける無花果大夕日           山 たけし




          



     無花果や八百屋の裏にまだ青し          正岡子規


     うつくしき無花果むざと割りくるる         辻桃子


     無花果を手籠に旅の媼どち             飯田蛇笏


     無花果や娶るなやみの一教師            能村登四郎


     葉にのせていちじくを売る朝の市          八巻絹子


     無花果割る親指根元まで入れて           小澤實
コメント

9月 9日

2019-09-08 13:29:20 | Weblog
             数珠玉・ずずだま・とうむぎ



     数珠玉を政子産湯の井にこぼす          栗田やすし


     数珠玉を一輪挿しに鴫立庵            下里美恵子


     数珠玉を押し分けて乗る潮来舟          都合ナルミ


     おかつぱの掌に光りたる数珠の玉         菊池佳子


     数珠玉や川風通る糸干場             関根近子


     数珠玉や湧き水の鳴る寺の径           漆田一枝




          



     ずずだまの穂にうすうすととほき雲         長谷川素逝


     数珠玉を直に活け仏在すごとく           山口青邨


     数珠玉や野川ここより北へ急く           石田波郷


     数珠玉の枯れて現る一水路             冨田みのる


     日照雨して数珠玉は実のうらわかし         石田いづみ



          
コメント

9月 8日

2019-09-07 18:04:31 | Weblog
             白露(処暑の後15日目、9月8日頃)




     本棚に古白遺稿や白露の日           栗田やすし


     髪染めて出稽古に行く白露の日         小島千鶴


     蔵壁を白露の夕日移りゆく           清水弓月


     墨の香に部屋を潤す白露かな          松平恭代


     山畑に人影動く白露かな            中川幸子


     奈良町で茶粥を食ぶる白露かな         武田明子


     ひそやかに藍の息継ぐ白露かな         小田和子


     城仰ぐ句碑に白露の風渡る           尾関佳子


     鐘の音の湖にひびける白露かな         関根近子


     空海の霊泉を汲む白露かな           長崎眞由美


     ていねいに筆先洗ふ白露かな          鈴木真理子



          



     漬梅の紅のひと粒白露の日            飯田龍太


     白露の籬をへだてて桂川             石原八束


     鰡切つて白露の水を荒使ふ            小泉八重子


     白露かなミサの歌ごゑ昂ぶるに          笹沼秀夫


     白露に阿吽の旭さしにけり            川端茅舎



          
コメント

9月 7日

2019-09-06 13:28:27 | Weblog
             鳳仙花・爪くれない・つまべに・つまぐろ




     鳳仙花赤散る雨の降りはじめ          細見綾子


     病癒え髪梳く母や鳳仙花            田畑 龍


     荒磯の風に弾けし鳳仙花            小原米子


     蛸壺に海女の育てし鳳仙花           長江克江


     鳳仙花はじけてゐたり祖母の墓         横森今日子


     鳳仙花自我に目覚めし少女の眼         上村龍子


     鳳仙花襁褓干しある島の路地          内田陽子


     はじけ飛ぶ三年二組の鳳仙花          近藤文子



          



     鳳仙花がくれに鶏の脚あゆむ          福永耕二


     降り足らぬ砂地の雨や鳳仙花          杉田久女


     母に似ぬ子の福耳や鳳仙花           水原春郎


     鳳仙花はぜる木曽路の細格子          上田千登子


     鳳仙花触れずに弾ぜし陽の匂ひ         松浦静香




          
コメント