6月 19日

2019-06-18 13:25:20 | Weblog
                 落し文・鶯の落し文




     落し文巻終らずに落ちてをり           細見綾子


     落し文ひとり暮しの落着きぬ           鈴木みすず


     巻初めてまださみどりの落し文          矢野愛乃


     落し文拾ふ参道気多詣              小長哲郎


     綾子句碑裏に拾へり落し文            市江律子


     落し文そつと拾ひて解きにけり          儀間千恵子


     鴨塚に吹き寄せられし落し文           弓野スミ子


     ポンペイの娼婦の部屋に落し文          野村君子


     手のひらに土のしめりの落し文          鈴木真理子


     落し文手に上りたる城の坂            長崎眞由美




          



     落し文遠山かけて山遠し              秋元不死男


     人に死の唐突と来て落し文             鈴木真砂女


     落し文ひろふやマリヤ地蔵の前           山口青邨


     西行の道みな細し落し文              鷲谷七菜子


     旧道は寺から寺へ落し文              上田五千石
コメント

6月 18日

2019-06-17 19:50:28 | Weblog
             百合・笹百合・鬼百合・透し百合・鉄砲百合・山百合・鹿の子百合




     佐渡の百合海の夕日の色なせり           栗田やすし


     バケツに百合煙草を買いに産屋より         沢木欣一


     百合咲きていまだ花粉をこぼさざる         細見綾子


     笹百合に風立ち木曽の雨上る           坪野洋子


     笹百合や棚田の水の響き合ふ           若山智子


     薬屋の百の抽斗百合の花             太田滋子


     喪の家の白百合の香とプッチーニ         奥山ひろ子


     山腹を覆ひて揺るる百合百花           横井正子


     故郷の山百合庭に開きけり            中村たか


     曲り屋の茅葺屋根に小鬼百合           山下智子


     黒百合は古九谷のいろ三つ咲く          山 たけし


     白百合や息詰めて読む兵の遺書          上杉和雄


     姥百合に埋もるる谷間一揆の地          上杉美保子




          

          鬼百合


          

          山百合


          

          鹿の子百合


          


          鉄砲百合


          


          透かし百合
コメント

6月 17日

2019-06-16 15:41:13 | Weblog
              さくらんぼ・桜桃・チェリー




     桜桃の艶や最後の一粒にも            細見綾子


     故里の味と母云ふさくらんぼ           栗田やすし


     アメリカ産ダークチェリーの悪女めく       小長哲郎


     湖の風に色づくさくらんぼ            北村美津子


     脚立より種とばし食ぶさくらんぼ         倉田信子


     桜桃の枝を介護の手土産に            長谷川雅子


     小さき手が数へて分けるさくらんぼ        熊谷タマ


     腕白の頬に涙よさくらんぼ            上杉和雄


     エフエムの正午の時報さくらんぼ         奥山ひろ子


     あめ色の古き腰籠さくらんぼ           近藤文子


     鵯群れて食べ尽くしたりさくらんぼ        関根近子


     金箔の弥陀に供ふるさくらんぼ          山口行子


     若き日の恋の話やさくらんぼ           熊澤和代




         



     樹よりすぐ摂りて満足さくらんぼ          高浜年尾  


     桜桃洗ふ五指ひらひらと泳がせて          安住敦


     くちびるに触れてつぶらやさくらんぼ        日野草城


     教室のぱつと明るいさくらんぼ           稲畑汀子
コメント

6月 16日 父の日

2019-06-15 17:08:50 | Weblog
                父の日 父子草




     夜勤の父待つ街裏に椎匂う              沢木欣一


     父の日の娘と酌み交はす赤ワイン            栗田やすし


     父の日にごろ寝枕の届きけり              矢野愛乃


     父の日に娘好みのシャツ届く             森垣一成


     父の日や昭和一桁集ひ酌む              山下帰一


     父の日や少し派手目のシャツ選ぶ             鈴木信子


     父の日や飴噛んで子に叱らるる            丹羽康碩


     父の日や軍服の父若かりし              安藤幸子


     父の日や嫁ぎ来る子に貰ふ酒             武藤光晴


     父の日や回転寿司の皿重ね              山本光江


     


          



     父の日の隠さうべしや古日記            秋元不死男


     父の日の触れてつめたき蘭の花           飯田龍太


     父の日の机上に肥後守と飴             鷹羽狩行


     日もすがら雨意あるもよし父の日は         能村登四郎
コメント

6月 15日

2019-06-14 19:30:57 | Weblog
               青田・青田風・青田道




     舷側の西日の透きに能登青田           沢木欣一


     老いまじき手元鯉切る夕青田           細見綾子


     家裏の青田水張り男子生る            栗田やすし


     信濃路や青田真中に村の墓            藤田岳人


     青田道押し行く母の車椅子            高橋幸子


     青田道隠れ聖徒の部落まで            服部鏡子


     青田風念佛衆の笠煽る              山口登代子


     母郷なる青田の風を深く吸ふ           山本光江


     風筋の生れては消ゆる青田かな          吉田明美


     引き水の音響き合ふ青田かな           横井正子


     実盛人形青田風来て燃え崩る           河合義和




          
コメント

6月 14日

2019-06-13 18:55:47 | Weblog
                  




     雨後の滝太き柱となりて落つ           栗田やすし


     滝の渦渦押してゆき青き淵            細見綾子


     護摩けむりたちまち滝を隠しけり         都合ナルミ


     雨あとの四十八滝轟けり             鈴木英子


     大滝の音が音追ふ岩に立つ            中村修一郎


     山伏の問答ひびく瀧開き             倉田信子


     目つむりてしばし滝音聴いてをり         福田邦子


     大滝やとぎれとぎれに友の声           兼松 秀


     一瞬は宙に留まり滝落下             伊藤旅遊


     山晴れて一条の滝輝けり             千葉ゆう


     滝の音鍾乳洞に轟けり              山口登代子


     滝壺の岩にはじけて水光る            石原進子


     束で落つ瀑布のしぶき浴びにけり         夏目悦江


    

     写真は数年前仲の良い友人と周った秋田・山形の旅の
                途中に寄った秋田県にかほ市象潟の奈曽の滝です
                鳥海山の伏流水で金峰神社境内内にある滝
                滝壺まで下りて写してきました
コメント

6月 13日

2019-06-12 18:39:50 | Weblog
                    青柿




     青柿に囲まれし家豆腐冷ゆ            細見綾子


     本棚に青柿二つ子規祀る             栗田やすし


     青柿に陶器の固さありにけり           河原地英武


     柿青し分教場に紙芝居              岸本典子


     青柿の転げ落ちたる音二つ            玉腰成子


     青柿や石垣粗き山の家              橋本紀子


     青柿の落ちて転がる陶干場            関根近子




          



     青柿をはねし雨粒文机に              山口青邨


     青柿のねむれぬ夜を共にゐし            平井照敏


     雷神と女陰を祀り柿青し              金子兜太


     隠し子のごとき青柿伊豆も奥            岡本眸


     狂人に青柿いくつ落つれば済む           飯島晴子
コメント

6月 12日

2019-06-11 17:32:47 | Weblog
                   烏瓜の花




     烏瓜の花よ鵜の巣の三番子            細見綾子


     一番星見えて咲きそむ烏瓜            国枝洋子


     咲ききつて夜目にも白し烏瓜           坪野洋子


     雨あとの瀬音や烏瓜の花             飯田蝶子


     烏瓜咲いて日食始まれり             磯田なつえ


     回り道して見るからすうりの花          石原進子


     山裾の暗みに烏瓜の花              山本法子


     断崖に烏瓜咲く隠岐の島             山下善久


     朝まだき牛舎に烏瓜の花             八尋樹炎


     烏瓜今宵咲かんとうすみどり           金原峰子


     花街の灯りに咲けり烏瓜 




          




     烏瓜咲ききはまつてもつれなし           深見けん二


     ほのぼのと泡かと咲けり烏瓜            松本たかし


     烏瓜の花しろじろと由布泊             松村越子


     烏瓜翁のごとく咲きにけり             阿波野青畝
コメント

6月 11日

2019-06-10 19:20:08 | Weblog
                月見草・待宵草・大待宵草




     月見草茎震はせて花ひらく            栗田やすし


     色深し波荒き日の月見草             下里美恵子


     月見草大きく月へひらきけり           米元ひとみ


     月見草足裏に痛き川原石             菊山静枝


     閉ざされし灯台囲む月見草            大石久雄


     夜泣きの子あやす声あり月見草          榊原昌子


     月見草白き一輪夕暮るる             今泉久子


     被災地の風にそよげり月見草           渡辺かずゑ


     月見草ふるさとの川細りたる           中山ユキ


     月見草川原の石に陽の温み            小長哲郎


     


          



     汽車煙熱きがかかる月見草             鷹羽狩行


     月見草霧の中より波つぶて             今瀬剛一


     月見草湾を距てて山灯る              中村草田男
コメント

9月 10日

2019-06-09 13:37:45 | Weblog
                 沙羅の花・夏椿の花・さらの花・ひめしゃらの花




     あはあはと沙羅の花びら空にあり         沢木欣一


     沙羅散るや鑑真廟の苔の上            角田勝代


     夏椿散りしく池の水澄めり            枡谷正子


     古備前の壺に一輪夏椿              鈴木みすず


     のびやかにひびく木魚や沙羅の花         中野一灯


     本堂に遠き潮騒沙羅の花             武藤光晴


     雨しとど沙羅の蕾の落ちるまま          小栁津民子


     晩鐘の響く棚田や沙羅の花            八尋樹炎


     初孫や日ごとふくらむ沙羅の花          新井由子


     磨崖仏の裂け目に咲きし夏椿           山崎文江


     夏椿縁切り状の墨薄れ              日野圭子




          



     木曾殿に一日花の沙羅白し            有働 亨


     騙されてまた人となる沙羅の花          宇多喜代子


     小雨中一花を灯し沙羅の花            西島美代子


     防人の碑に惜しみなき沙羅落花          町田しげき


     沙羅の花散りて苔庭浄土かな           山本登茂子


     


     
コメント