11月 13日

2019-11-12 15:08:15 | Weblog
                冬薔薇・冬の薔薇



     待つ人あり睫毛の影と冬の薔薇          沢木欣一


     冬薔薇日の金色を分かちくるゝ          細見綾子


     問診の女医は教へ子冬薔薇            櫻井幹郎


     保育器の嬰が微笑めり冬薔薇           横井美音


     下町や都電の柵に冬の薔薇            武藤光晴 


     グラバー園茎たくましき冬薔薇          矢野愛乃


     農学部冬薔薇束で売られをり           太田滋子


     日時計の影の薄さや冬の薔薇           渡辺慢房


     尼寺にひそと一輪冬薔薇             石川紀子


     寒の薔薇一輪挿しに開ききる           中山敏彦



          



     散るまへの光にゆだね冬薔薇            鍵和田釉子


     冬薔薇や仕事で逢ひて好きな人           岡本 眸


     三面鏡ひらきてふやす冬の薔薇           朝倉和江


     四季咲きの薔薇の小さき冬の色           今井千鶴子


     戴いてその日咲ききる冬の薔薇           池田澄子


     銀座には銀座の生活冬薔薇             高木晴子




         
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11月 12日

2019-11-11 13:13:23 | Weblog
                実南天・南天の実



     船倉の壁に影濃き実南天            栗田やすし


     ふるさとに南天の実と石路の花         細見綾子


     南天の実に惨たりし日を憶ふ          沢木欣一


     艶やかや馬籠峠の実南天            角田勝代


     実南天蔵に出入りの藁草履           栗田せつ子


     井戸蓋に難点の実の散りこぼれ         中山ユキ


     実南天綾子生家に蔵二つ            熊谷タマ


     酢の倉の庭に鳥居や実南天           幸村志保美


     実南天町家に残る屋敷神            日野圭子


     灯籠に触れて色濃き実南天           大津千恵子


     実南天朝日に紅を深めたり           関根近子


     四間道の低き軒端に実南天           伊藤登美江



         



     とやかくの家相を払ふ実南天          能村登四郎


     実南天鴎外旧居北向きに            松崎鉄之介


     存命の父母を軽んず実南天           正木ゆう子


     実南天十二神将眉あげて            野澤節子


     実南天二段に垂れて真赤かな          富安風生
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11月 11日

2019-11-10 15:56:29 | Weblog
                蜜柑・密柑山・蜜柑舟・蜜柑摘



     保線詰所窓に蜜柑を並べあり         沢木欣一


     食卓のみかんに日さす母の家         細見綾子


     きり出せしあとの沈黙みかん剥く       梅田 葵


     漓江下る船に寄りくる蜜柑売り        栗田せつ子


     蜜柑選る梁に電球付け足して         伊藤範子


     人の名の思ひ起せず蜜柑むく         上杉和雄


     鉄鉢へ蜜柑布施する朝市女          野島秀子


     索道で蜜柑降ろせり山の晴          中村たか


     生垣の蜜柑の熟るる紀伊の国         則竹鉄男


     日暮れまで草焼く煙みかん山         白鳥光江


     石組の高き輪中のみかん小屋         澤田正子


     潮騒や夕日まみれの密柑山          江口ひろし



          



     蜜柑盗みに山猿がくる雨がくる        秋元不死男


     海彦をときどき呼んで蜜柑摘         鷹羽狩行


     水軍の島より蜜柑船出づる          坂本孝子


     のこりものに福あるみかん一つかな      久保田万太郎



          
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11月 10日

2019-11-09 15:34:39 | Weblog
                山茶花 < 季=冬 >



     烈公の蟄居の庭や白山茶花              栗田やすし


     山茶花に遺影の眼鏡はし光る             沢木欣一


     句碑の背の白山茶花の白静か             細見綾子


     山茶花の闇へ火を噴く登り窯             朝生孝子


     山茶花や縁切状の女文字               矢野孝子


     山茶花の白こぼれつぐ瑠璃光寺            福田邦子


     山茶花のうすくれなゐや久女句碑           金田義子


     山茶花の冷たさに触れ父を恋ふ            倉田信子


     散り敷きてなほ山茶花の花盛り            熊澤和代


     白山茶花お百度石に薄日差す             菊山静枝


     湯けむりに濡れて山茶花艶めけり           前田昌子


     白山茶花かくれ信徒の水汲場             澤田正子



          



     また逢へた山茶花も咲いてゐる            種田山頭火


     山茶花の咲くだけ咲いて星出づる           永井龍男


     山茶花に入日を惜しむ時津風             飯田蛇笏


     山茶花の咲くか散るかの目白押し           武田和郎


     山茶花の散るとき人の起ちあがる           林 徹



         
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11月 9日

2019-11-08 17:27:46 | Weblog
                枇杷の花・花枇杷 < 季=冬 >



     妹病めりガラス戸越しの枇杷の花          沢木欣一


     歳月の屋根のなだれを枇杷咲けり          細見綾子


     裏木戸に人来る気配枇杷の花            下里美恵子


     杷の花久女の里の昏れはやし            栗田せつ子


     寺屋根に緑青浮けり枇杷の花            清水弓月


     寄木屋の木屑の匂ひ枇杷の花            国枝洋子


     ふるさとの路地に迷へり枇杷の花          矢野孝子


     一葉の柔き筆あと枇杷の花             武藤光晴


     枇杷の花荷役揃ひて体操す             野島秀子


     明治より続く醫院や枇杷の花            中根多子


     車なき島の暮らしや枇杷の花            斉藤陽子


     枇杷の花捨て来し畑のこと想ふ           近藤文子



          



     病む妻に嘘いくつ言ふ枇杷の花            能村登四郎


     枇杷咲きぬ面影知らぬ生母の忌            林 翔


     無住寺に人来る日あり枇杷の花            大峯あきら


     風の音空にかたまり枇杷咲けり            滝川 壺風


     鉄橋の影が白洲に枇杷の花              飯田龍太



     
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11月 8日 立冬

2019-11-07 13:59:52 | Weblog
                立冬・冬立つ・今朝の冬・冬に入る



     冬来れば母の手織りの紺深し             細見綾子


     立冬のことに草木のかがやける           沢木欣一


     師と並び反古焚きし庭冬に入る           栗田やすし


     誓子見し沖にタンカー冬に入る           国枝隆生


     撒餌して雀呼びけり冬立つ日            梅田 葵


     風紋にわが影長し冬に入る             栗田せつ子


     立冬や老いたる母の水仕事             伊藤旅遊


     立冬やブーツで歩く石畳              関根切子


     手の甲に伸ばすクリーム今朝の冬          太田滋子


     立冬の薪割る音の響きけり             加藤けい子


     金魚田に水黒ぐろと冬に入る            竹中和子


     米を研ぐ水の硬さや今朝の冬            山本悦子


     水門の銹たる手摺冬来る              藤田映子



          



     冬が来る隙間だらけの深山より            飯田龍太


     顔に水押しあて洗ふ今朝の冬             鷹羽狩行


     ガスの炎の力揃ひて冬に入る             岡本眸


     この湖の蜆美し今朝の冬               村山故郷


     まどゐして雨夜をたのしむ冬来たり          森澄雄



          
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11月 7日

2019-11-06 15:42:21 | Weblog
                大根・大根畑・大根売・大根引く・煮大根 < 季=冬 >



     うつし世をかなしみゐたる大根煮て     細見綾子


     綾子師の風呂吹大根甘かりし        栗田やすし


     目が合ひて狸逸れゆく大根畑        清水弓月


     二畝の大根育て硯彫る           栗田せつ子


     景品の葉付大根に長き列          小栁津民子


     農学生泥大根を持ち帰る          太田滋子


     泥大根提げて観音参りかな         上田博子


     幼子の掛け声ばかり大根引く        市川克代


     だぶだぶの長靴をはき大根引く       川口敏子


     弁柄に置屋の名残大根売る         森 靖子


     母の文ひらがな多し泥だいこ         こころ



          



     伊勢大根斎宮趾に肥えにけり        阿波野青畝


     野の池や大根あらへる今日の波       水原秋櫻子


     大根おろし御飯にかけて山暮し       金子兜太


     大根の青首のぞく安宅関           伊丹三樹彦


     大根の湯気をゆたかに煮て喪中        鷹羽狩行



          


     
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11月 6日

2019-11-05 14:08:09 | Weblog
                茶の花 < 季=冬 >



     茶の花に届きてゐたり窯の影          栗田やすし


     日を恋ふるこれからか茶の花を挿し       細見綾子


     茶の花のほつほつ咲いて事無き日        下里美恵子


     茶の花が咲けり芭蕉の故郷塚          小島千鶴


     夕闇の迫りて白しお茶の花           中山ユキ


     茶の花や絵馬剥落の舞楽殿           近藤文子


     茶の花や淡き朱唇の観世音           大島知津


     茶の花や打ち解けやすき湯治客         朝比奈照子


     茶の花のほのと香れる宇治の寺         松平恭代


     茶の花の咲きつぐ垣や尼の寺          廣島幸子


     茶の花や旗屋に墨の匂ひ立つ          服部鏡子


     茶の花や寺に百円寄進の碑           武山愛子



         



     茶の花に暖かき日のしまひかな          高浜虚子


     蝶低くさらに低きをお茶の花           渡辺桂子


     茶の花にほのとゆくての夕がすみ         飯田龍太


     五六軒づつの山家やお茶の花           竹中 一藍


     茶の花のかなた夜明けの桜島           佐川広治
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11月 5日

2019-11-04 14:38:12 | Weblog
                欣一忌・沢木欣一の忌日・風木忌



     灰皿に三粒の棗欣一忌             栗田やすし


     お湯割りの泡盛酌めり欣一忌          中山敏彦


     白鳥の便りぼつぼつ欣一忌           都合ナルミ


     欣一忌書棚に辺戸の蘇鉄の実          国枝隆生


     欣一忌すぎて冬めく下駄の音          栗田せつ子


     糸ほどの月が低きに欣一忌           矢野孝子


     南天の少し色づく欣一忌            武藤光晴


     子を連れて大白鳥来欣一忌           近藤文子


     大菊きはだつ白さ欣一忌            鈴木真理子


     抱瓶の朱の色深し欣一忌            中川幸子


     艶極む南天の実や欣一忌            佐藤とみお


     欣一忌雨に滲める断腸花            小野千恵子


     抱瓶を書棚に飾る風木忌            角田勝代




          

          平成13年11月5日 ご逝去   82歳


     師はみまかれり秋冷の十二階          栗田やすし


     風木舎立ち去り難く冬日浴ぶ          下里美恵子


     
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11月 4日 

2019-11-03 17:19:31 | Weblog
                 菊人形



     飾られて菊人形の冷たき手           栗田やすし


     人形の兜被りて菊師来る            伊藤旅遊


     菊人形姫の胸より小蜂飛ぶ           鈴木真理子


     信長の肩へ背伸びの老菊師           牧田節子


     侍女とても姫と同じに菊衣           篠田法子


     濃姫の胸に白刺す老菊師            兼松 秀


     藁舐めて菊師つくろふ姫の衿          河村惠光


     菊人形鯱も小菊をまとひけり          河井久子


     宗春の菊人形に蜂潜む             幸村富江


     横たはる菊人形の胸の骨            服部鏡子


     雑兵は白ばかり着る菊人形           田畑 龍


     木曽殿の首抱へ来し老菊師           石原筑波



          



     菊人形莟ばかりの青ごろも           能村登四郎


     菊人形逢瀬を照らし出されたる         大串章  


     蛇口あり菊人形の傍らに            奥坂まや


     陰謀の場を煌々と菊人形            鷹羽狩行


     向き合ひて遠まなざしの菊人形         西村和子



          


     
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