子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

男児の鼻血は危険??

2007-06-07 15:36:51 | 雑記
鼻出血を繰り返すことを心配して病院をする方に中に、「男の子の鼻血は良くないと聞いたことがあるので」という話をされる方がよくいらっしゃいます。
どこから出てきた話なのかはわかりませんが、理由は別として話だけ一人歩きしてしまい、余計な心配を振りまいているように思います。

まず鼻血は、「繰り返す回数」ではなく「その都度の鼻血が止まりにくい」という場合に注意が必要です。

一度鼻血がでると、鼻の粘膜に傷がついている訳ですから、その傷が治るまではちょっとした刺激(いじってしまう、くしゃみなどでいきんでしまう、など)で出血しやすい状態が数日は続くので、単に繰り返すからというだけで多くの場合は心配はありません。
鼻血が出た時その都度適切に止血処置をしても出血が止まらない(通常長くても5分以内には止まる)ような時には、血液が固まりにくいなどの病気の存在を疑います。ただ、そのような病気の時には、鼻血だけでなくケガをした時にも血は止まらないし、知らないうちにアザができたりなど他にも症状があるのが普通です。

そこで、なぜ男の子かと言うと、血が止まりにくい病気に血友病があるのですが、この病気は遺伝性形式からほとんど男に発症するために、男の子が話にでてきたのではないかと思います。

「男の子の鼻血は良くないと聞いたことがあるので」も完全に間違いではないようですが、理由を考えれば不要な心配をしなくて済むことなので、今回の鼻血の話だけでなく不確実な情報に変に惑わされないように気をつけましょう。

子どもが子どもらしくいられる世の中

2007-06-06 23:06:26 | 雑記
以前にも書いた覚えがあるのですが、いろいろな意味での子どもと大人の境界が私が子どものころに比べると不明確のなってきているように感じます。

大人が子ども化しているのか、子どもが大人化しているのか、おそらく両方ではないかと思います。

子どもの生活に大人の基準を適応し過ぎてはいないでしょうか?
反面、大人は自分勝手に子どものような振る舞いをしてはいないでしょうか?

子どもが子どもらしく生活できる社会ためには、まず自分自身(大人)がしっかりしないといけないと思ってはいるのですが、現実的にはなかなか難しい気もします・・・

日本脳炎

2007-06-04 23:42:10 | 雑記
麻疹の話題で忘れられそうな日本脳炎の予防接種ですが、結構どうしたらいいのか困っている保護者の方も多いのではないでしょうか?

平成17年5月に現行ワクチンでの積極的接種の差し控えの処置が厚生労働省によりとられ、その後何の動きのないまま現在に至っています。
2年前の差し控え施行時に予定されていた新しいワクチンによる接種の再開も、当初1年程度と言われていましたが現在はっきりした見とおしがたっていないのが現状で、最低でもあと2~3年はかかるのではないかと言われています。

一番の問題は、ワクチン接種を1回ないし2回受けた後に差し控えとなり途中で接種が中断している方や定期接種の対象年齢を新しいワクチンによる再開を待っていると過ぎてしまいそうな方ではないかと思います。
当院では、感染リスクが高く接種を希望される方以外にも、「接種が途中で中断しているような方」、「接種対象年齢を過ぎてしまいそうな方」、「小学4年生の2期接種の方」などには現行のワクチンで接種をしたらよいのではないでしょうかとお話して接種をしている場合が少なくありません。

行政は、単純に新しいワクチンによる接種が再開されるまで待つようにと言っていますが、少なくとも実際に色々な接種状況や年齢にある子どもたちそれぞれにどのように行政として対処する予定なのかはっきりしてもらいたいと思います。

再び「麻疹(はしか)」

2007-06-02 22:24:12 | 雑記
今回の麻疹流行に関して、みなさんは何を感じたでしょうか?

「自分は大丈夫か心配」、「子どもが罹ってしまったらどうしよう」などなど、自分や家族の心配をするのは当然だと思います。ただ、どうして欧米等の国では麻疹の流行はほぼ制圧された状態なのに、日本ではいまだに流行が繰り返されているのか不思議に感じた方はいないでしょうか?

新聞やテレビなどの報道を見ていてもあまり話題にはなりませんが、今回の麻疹の流行は日本の予防接種行政の不備によるところが主要因だと思っています。麻疹の流行は、あくまで問題が表面化した行政不備の一角にすぎません。日本の予防接種に関する状況は以前から指摘しているとおり、国際的に見て最も遅れている(いわゆる発展途上国よりも)のが現状です。

海外で子育てをされた方や留学された方などはご存知だと思いますが、子どものときに行われる予防接種の種類や回数が日本では少ないのが現状です。
最近の厚生労働省の予防接種に対する対応を見ていても、わずかでも起こりうる予防接種の副反応に対して過敏になりすぎ自ら責任を取らなくて済む様に国が推奨する予防接種の接種機会を故意に狭めて消極的になっているように感じます。予防接種を受けやすい環境をつくり門戸を広く開けて多くの子どもたちができるだけ予防接種を受けらられるように、国は責任をもって予防接種行政を改善していってもらいたいものです。
ただし、予防接種を受ける側も予防接種の必要性などを十分理解し、受け身の姿勢ではなく逆に国に予防接種行政の改善を要求するぐらいであってもよいのではないかと思います。