子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

ポリオワクチン

2012-04-25 14:26:16 | 雑記
単独の不活化ポリオワクチン接種が9月1日から定期接種として開始される見通しです。

使用されるワクチンは、海外ではすでに1982年に承認使用されているサノフィパスツール社(フランス)の製品となります。30年経ってやっと、、、今まで何をしていたのかと言った気持ちにはなります。

その後、11月には国産の4種混合(DPT+不活化ポリオ)ワクチンが導入される予定になっています。

不活化ポリオワクチンの接種は計4回の接種となり、生ワクチンを1回接種している場合には3回接種となります。生ワクチンを2回接種している場合には、接種の必要はありません。

ポリオワクチンの接種率は、千葉県では70%を切っており、今回の発表でさらに接種を控える方が増えると思われ、9月から接種が開始されるまで(正確には接種開始されてからしばらくの間)に接種率の低下が予想されます。

接種率の低下で、野生株・ワクチン株を問わずポリオ感染の流行が起こらないかということが危惧されます。
ポリオ生ワクチンによる麻痺の問題を無視する訳には行きませんが、極端な接種率の低下(生ワクチンを接種しない)ということは、より大きなリスクを選択してしまっているとも考えられます。
不活化ポリオワクチンの接種が軌道に乗るまで、何事も起こらないことを願うしかありません。

松戸市のポリオ生ワクチンの接種は、5月中旬~6月初旬に集団で行われますが、今回の集団接種が松戸市が行う生ワクチン接種の最後になると思われます。
1回接種を済ませている場合には、2回目をこの機会に済ませた方がよいのではないかと思いますが、1回も接種していない場合は、9月まで待つか、1回でも接種しておくかは、それぞれのリスクを考えて保護者の方の判断になります。

今後、詳しいスケジュールなど分かり次第掲載していきます。

ワクチン事情

2012-04-11 15:16:41 | 雑記
世界的標準から遅れていた日本のワクチン実施状況でしたが、2008年12月ヒブワクチン・2010年2月肺炎球菌ワクチンが開始され、ここ2~3年で急速に世界的標準に近づきつつあります。

ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンは、広く認知されるようになり、接種費用の公費負担などもあり多くのお子さんが接種するようになってきました。それでも、千葉県では費用の全額負担制度にもかかわらず、昨年秋頃の集計では接種率が40%程度だったようです。

未だに、定期接種と任意接種と言う枠組みのためか、今のところは任意接種の扱いであるヒブワクチン・肺炎球菌ワクチンの必要性が定期接種より低く思われている方もいるようで、そのために接種率が思ったより低いのかとも思います。
任意接種だからといって必要性が低いということはなく、乳幼児をヒブや肺炎球菌の重症感染症から守る為に、ぜひとも適切な時期(生後2ヶ月以降できるだけ早い時期)に接種をして欲しいワクチンです。

ただ、全ての乳児を対象に適切な時期に接種をするために、医療機関側の受け入れ態勢が現状では十分といえないのも実情です。

昨年末にはロタウイルス感染症に対するワクチンが日本でも開始、B型肝炎ワクチンも乳児からの接種が推奨され、生後2ヶ月~6ヶ月の時期に接種が出来るワクチンの種類が多くなり、適切な時期に全てのワクチンを接種するためには、今までと同じ態勢でワクチン接種をしていたのでは、今のワクチンスケジュールを全てのお子さんに適切な時期に提供することが出来なくなってきています。

当クリニックでは、現在のワクチン事情に対応しつつ生後2ヶ月から適切な時期に接種を完了できるよう、スタッフの協力のもと可能な限り受け入れる態勢を整え臨んでいますので、宜しくお願いいたします。