子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

今週も終わり

2011-10-22 19:01:56 | 雑記
1週間診療終了、雑用も終わり帰宅です。

ニュースなどでRSウイルス感染症が流行っていると報道されてから、RSウイルス感染症を心配する保護者の方が増えました。

当クリニックの診療圏では、RSウイルス感染症は7月頃から多く見受けられ、最近は減少してきた印象です。千葉県内の先週の集計でも、その前の週より報告数は減少しています。

RSウイルス感染症は、今まで一般にあまり認知されていませんでしたが、新しい感染症ではなく毎年冬季に流行する感染症で、以前にもこのブログでも取り上げています。
乳幼児期の間に、ほとんどのお子さんが1度は罹る感染症で、生まれて初めての冬に全乳児の2/3が感染するとされており、乳児や高齢者で重症化のリスクが高くなりますが、感染した乳児の1~3%が重症化して入院を要すると言われています。

インフルエンザに対する薬のような、RSウイルスに効果のある薬は残念ながらありません。症状に応じた投薬や処置を行い、自然の経過で治癒するのを待つこととなります。

乳幼児で、咳がひどく、呼吸がぜーぜーするような時にRSウイルス感染症を疑います、テレビなどで極端な例が紹介されたりしていますが、状態に応じ適切に対処すれば問題なく治りますので、過度の心配は不要です。

保護者の予防接種同時接種についての不安、、

2011-10-10 14:14:39 | 雑記
当クリニックでは、適切な時期に子どもたちが予防接種を受け損ねないように、予防接種の同時接種を積極的に行っています。

一つ一つの予防接種で僅かながらでも予測できない重篤な副作用がないかと問われれば、全くない訳ではありませんが、同時接種することで何か問題が発生するかと聞かれたら、それはないと言えます。

日本以外の諸外国では、同時接種が当たり前のこととなっており、日本でも適切な時期に適切な予防接種を機会を逃す事なく行っていくには、同時接種は欠かせません。

このような思いで予防接種をしていて、同時接種に対する漠然とした不安が保護者の中に「うわさ」として広まっているように感じることがあります。

「サトウタツヤ 2004 うわさとパニック 「立命館人間科学研究」No. 7」の中で「うわさ」の特徴として「真か偽か(ホントかウソか)分からないのにもかかわらず,『ホントっぽい』と思われて流れる情報だ」と書かれていました。
この中で、「うわさ」のメカニズムについて記載されていますが、「重要」かつ「曖昧(あいまい)」で,「流言集団(同じ興味をもっている人たち)」を形成しやすいことは「うわさ」になりやすいとされています。

重要=予防接種(同時接種)
曖昧=副作用があるのでは?
流言集団(同じ興味をもっている人たち)=保護者

と「うわさ」が流れるのにはもってこいの状況です。

また、1つの「うわさ」を一回聞いただけでは信じないのに,数回にわたって複数の人から聞くことによって信じ てしまうようなプロセス(キャリーオーバー効果)のことも書かれており、予防接種に関しての負の情報(必ずしも正しいとは限らない)が取り上げられることが多いのに比べ、正しい情報の発信源が少ない(もっと行政などが啓蒙するべき)のも影響しているのではと思います。

この中で最後に、「無用なうわさを防ぐには」として以下の3点を挙げています。
1 すぐに伝えたくなるような時にこそ,一呼吸おいて考える。
2 考えもしないのにホントだと思うことこそ要注意。
3 決まり文句に注意 → うわさ話にも目印がある。それは 「友だちの友だち」 「必ず伝えましょう」 「すぐに伝えて」 のようなものであり,そういうフレーズが話の中に出てきたら,一呼吸おくことが必要である。

今の世の中、情報があふれており何が正しいのか見極めるのが困難な場合もあると思います。子どもたちが、無用な「うわさ」で予防接種を受ける機会を逃さないようによく考えてみて下さい。


ポリオワクチン~厚生労働省のお知らせ~

2011-10-05 18:04:28 | 雑記
「ポリオ予防には、ポリオワクチンの接種が必要です。」
という厚生労働省のお知らせが厚生労働省のサイト内で掲載されています。

不活化ワクチンの導入は来年度(平成24年度)の終わりになる見通しと共に、それまで生ワクチンの接種を控えることはしないように、と言う内容です。

ポリオの接種率を下げないようにしなければならないので、現状で生ワクチン接種の推奨はやむを得ないと思います。
個人の判断で行われている不活化ワクチンの接種だけでは、全体での高い接種率を維持できないので、今の状況では、多くの子どもたちをポリオから守る手段は生ワクチン接種しかありません。

ただ、日本でのポリオ不活化ワクチンの導入が遅れた責任はどこにあるのでしょうか?

個人輸入によるポリオ不活化ワクチン(国内未承認)の一部医療機関による接種という事態を黙認しながら、今の状況について厚生労働省はどのように考えているのか憤りを感じている方も多いのではないでしょうか。