子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)接種に関して

2016-04-21 00:24:34 | 雑記
HPVワクチンは2013年4月に定期接種化されましたが、接種後の有害事象をめぐり2013年6月に厚生労働省は積極的な接種勧奨の中止を決め現在に至っています。

接種の中止ではありませんので、現在でもHPVワクチン接種の希望があれば定期接種として接種はできますが、接種を希望される方はほとんどいないのが現状です。

HPVワクチン接種勧奨が中止されている状況は、世界的に日本だけの特殊な状況となっています。


あまり報道されていませんが、4月19日に日本小児科学会を含む17医学関連学会がHPVワクチン接種推進に向けた共同見解を発表しています。

「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)接種推進に向けた関連学術団体の見解」(PDF)

昨年12月には名古屋市が独自にHPVワクチン接種調査を行い、ワクチン接種の副反応が疑われる症状についてワクチン接種者と非接種者で接種者に有意に多いわけではないとの結果を公表しています。

子宮頸がん予防接種調査結果(速報)
→名古屋市により削除され現在は生のデータが公開されています「子宮頸がん予防接種調査の結果を報告します(名古屋市)」

WHOは、昨年12月にHPVワクチンの安全声明を出しています。

Global Advisory Committee on Vaccine safety Statement on Safety of HPV vaccines
17 December 2015


その中で、HPVワクチンの積極的な接種勧奨が行われていない日本の現状を憂慮するコメントが含まれています。

定期接種の対象者は「小学校6年生から高校1年生相当年齢の女性の方(12歳の誕生日を含む年度当初から16歳の誕生日を含む年度末まで)」で、3回接種で3回目は標準では1回目から6ヶ月間隔をあけて接種します。

ヒトパピローマウイルス感染症(子宮頸がん)予防ワクチンについて(松戸市)


今後行政がどのような判断をするのかわかりませんが、参考になればと思います。