子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

睡眠について

2014-05-25 19:14:25 | 健康なからだづくり
春の運動会シーズン真っ只中、外来診療は落ち着いています。

今回は睡眠の大切さについて少し考えてみたいと思います。
睡眠は人が健康に生き・質の高い活動をするために欠かせない生物学的な現象です。
寝ている間は何もしていない無駄な時間ではなく、心身の状態を整える活動が寝ている間に行なわれています。
睡眠不足は、高血圧・糖尿病・肥満・免疫能力の低下や活動中の注意力低下などのとの関連性が証明されています。
また、成長過程における小児期に睡眠が疎かになることで、発達や情緒などへの影響も懸念されます。

現代日本は、世界的にみても子どもの就寝時間が遅く、睡眠時間も短く、もっとも睡眠を疎かにしている国の代表格となっています。

しかし、ただ寝れば良いかと言うのではなく、良い睡眠を取ることが大切です。
人間は生来昼行性の生き物なので、夜睡眠を十分とり、明るくなったら活動をするのが自然の姿です。
人に備わっている体内時計は24時間より少し長いのですが、朝に日光の光を浴びることで24時間に同調させています。
生まれたばかりの頃にはまだ昼夜の区別がありませんが、朝に日光の光を浴びながら、昼行性の心身のリズムを形成していきます。

朝日光の光を浴びて、早起きをして、日中(特に午前中)しっかり活動をし、夜は早く寝るという習慣を乳児期から身につけることが健やかな子どもの発達を促すのに非常に大切なことだと考えられています。

大人の生活様式(夜型)に子どもを巻き込まないように、今一度子どもの生活リズムを見直してみて下さい。

何をしてきたのか、

2014-05-11 17:21:16 | 雑記
5月10日(土)は休診をいただき、日本アレルギー学会に行ってきました。

今回の学会参加主目的は、「舌下免疫療法講習会」を受けることでした。

舌下免疫療法って何ですかと言うと、
アレルギー性鼻炎などの治療法として、減感作療法というスギ花粉やダニなどいった原因が特定されている場合に、原因となっているスギ花粉やダニなどの抗原物質を持続的に投与することで原因物質に対する体の過剰な反応を起こさなくする治療法があります。
今までは皮下注射しか投与方法がありませんでしたが、今回スギ花粉に対して舌下投与(舌の裏に2分ほど溜めてから飲み込む)での薬が承認され保険適応されることになり、この舌下投与法の減感作療法のこを舌下免疫療法と言います。

この治療法で効果が得られれば、花粉症の症状が軽減し抗アレルギー薬の減量や中止といったことが期待できます。
一方、花粉の飛散時期以外でも持続して治療を続ける必要があり、より良い効果を得るためには出来るだけ長い期間(最低でも2年)治療を継続する必要があり、口のかゆみや腫れといった比較的軽度なものから希ですがアナフィラキシーといった副反応の可能性などいろいろと注意しなれければならない点もあります。

当院でも実施経験がありますが、皮下注射法は初期の段階で頻回の通院して注射する必要があり簡単に行なえるものではありませんでしたが、舌下投与は最初の投与時以外は原則自宅で可能なため注射法よりは敷居が低くなったと思います。

今後ダニなどのスギ花粉以外の薬もでてくると思われますが、この舌下免疫療法の薬を処方できる医師には条件があり、講習会の受講がその一つでした。

実際に保険で治療が出来るようになるのは秋以降になる見込みです。