子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

暑い日の乳幼児の服装

2012-05-30 18:31:33 | 雑記
これから気温や湿度が高くなって来る時期、
診察や予防接種・乳児健診の時に、乳幼児(オムツがまだ取れていない時期)の服装が気になってしまい、診察には関係ないのに、ついつい小言のように口出ししてしまいます。
(たぶん、以前にも同じようなことを書いていると思います、、、)

オムツの上からロンパース・その上からズボン、またはロンパース2枚重ね。
更には、その服装でベビーキャリアで抱っこ。
(ベビーカーも、下からの照り返しで結構暑いと思います。)

もう、オムツの中はサウナ状態です。
汗をかいて肌荒れの原因にもなりますし、暑さで具合が悪くなりそりそうです。

ただでさえオムツで暑いのに、ぴっちりしたロンパースでは熱気の逃げ場がなくなってしまいます。
これからの時期ロンパースはやめてもよいと思うぐらいで、百歩譲って、ぶかぶかのロンパース1枚といったところでしょうか。
暑い日の外であれば、半袖シャツと短パン(自宅ならおむつだけでも、、)でよいと思います。

お腹が出てしまうのを心配するお母さんもいますが、お腹ぐらいでても何の問題もありません。

屋内で冷房が効いていて涼しいと感じる時には、上から1枚重ねてあげればよいと思います。

汗を吸うのからと、下着をと思うかもしれませんが、重ねて暑くなってはもともこもありません。
汗をかいたら、拭いてあげて、着替えればすむことです。

乳幼児は自分で暑いから寒いからと言って自分で服装の調節はできません。
お母さん・お父さんが状況にあった服装を心がけてあげて下さい。


日本小児科学会推奨の予防接種スケジュール

2012-05-27 14:31:01 | 雑記
「日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール」が更新されました。

3点の変更があります。

1、ヒブワクチン

 追加接種(4回目)の時期を、「添付文書では初回3回目の接種からおおむね1年あける」と記載されてますが、より早期に追加接種の効果をえるために、「追加接種(4回目)は生後12ヶ月から接種することで適切な免疫が早期にえられる」との1文が加えられました。

 ただし、今のところ各自治体の費用助成は添付文書通りに行われていることが多いので、おおむね1年経っていない追加接種費用の助成は受けられないと思われ、行政の速やかな対応が望まれます。


2、ロタウイルスワクチン

 現在接種が可能な1価ワクチン(ロタリックス:2回接種)に加え、まだ発売されていませんが5価(ロタテック:3回接種)のスケジュールが加えられ、どちら共に初回接種は「生後8週~15週未満を推奨する」とされています。


3、水痘ワクチン

 2回目の接種推奨期間が「5歳以上7歳未満」から「18ヶ月以上2歳未満」に変更されました。
 詳しい説明は原文を参照してもらえたらと思いますが、これによると水痘ワクチンの予防効果はいままで考えられていたより悪く、保育園など集団生活に入る予定でできるだけ水痘発症を予防するためには、早期に2回接種を済ませる必要があり、このことは我々現場の医療機関も早急に対応しなければと思います。


 この小児科学会推奨スケジュールは、適切な時期に接種を完了するために、同時接種を前提で考えられています。
 同時接種に関しては、日本以外の諸外国では当たり前に実施されている医療行為で、同時接種での各ワクチンの有効性に問題はなく、有害事象や副反応のリスクが増えないことも確認されており、日本小児科学会も「同時接種は、予防接種を効率的に行うために重要かつ必要な医療行為である」という考え方を2011年1月に発表しています。

 子どもたちをワクチンで予防できる感染症から守るために、すべての子どもたちが適切な時期にワクチン接種をうけられるように、同時接種が当たり前のこととして定着することが望まれます。

Hib・肺炎球菌・子宮頸がんワクチンの定期接種化

2012-05-17 20:21:23 | 雑記
今日、来年度より「Hib・肺炎球菌・子宮頸がんワクチン」の3種類のワクチンが定期接種となる内容の報道がありました。

このことは、これから継続的にこの3種のワクチンを接種する機会が確保されたことになり、日本のワクチン行政の一歩前進と捉えることができます。

ただ、その他の「水痘・おたふくかぜ・B型肝炎・ロタウイルス」に対するワクチンの位置づけはどうなのか。
なんとなく、上記の3種に比べ必要性が低いのかと思われてしまわないか心配になります。



上記の定期接種化の提言を決めた会議(民主党の厚生労働部門会議)では、

1.基本方針:「WHO(世界保健機関)が推奨するワクチンは原則、定期接種化を目指す」

WHOが推奨するワクチン:
BCG、B型肝炎、ポリオ、DPT(ジフテリア、百日せき、破傷風混合)、Hib、小児に対する肺炎球菌、ロタウイルス、麻しん(はしか)、風しん(三日ばしか)、ヒトパピローマウイルス(子宮頸がん)の10種類。

2.安定した財源確保の上で定期化をめざす:水痘、おたふくかぜ、成人用(高齢者)肺炎球菌

3.エビデンスを集めて定期接種を検討:B型肝炎

4.評価・検討したうえで定期接種化をめざす:ロタウイルス

といったことになっているようです。



小児科医の立場としては、水痘・おたふくかぜを差し置いて子宮頸がんの定期接種化には納得がいきませんし、「エビデンスを集め/評価・検討したうえで」とは今更何を言い出すのかと言った印象は否めません。

以前にも書きましたが、定期接種/任意接種という枠組みは、行政上(費用負担や副反応に対する救済制度など)の枠組みで、ワクチンの必要性とは直接関係はありません。
ワクチンで予防できる病気から子どもたちを守るためには、接種適応のある全てのワクチンを全ての子が平等に受けられる体制の早期確立が望まれます。

今回の定期接種化で、日本の予防接種が世界標準に近づいたように印象付けようとしているようにも感じますが、水痘・おたふくかぜワクチンは米国などでは2回接種となっており、B型肝炎ワクチンはほとんどのWHO加盟国で定期接種が行われ、肺炎球菌ワクチンは日本で7価ワクチンが導入された時には米国では13価ワクチンが導入されていますし、9月に開始が決まった不活化ポリオワクチンに至っては海外承認後30年経過してやっとのことで、まだまだ諸外国に比べて見劣りする状況ではあります。



健康なからだづくり(4) ー 出生前(胎内)要因 ー

2012-05-03 18:48:51 | 健康なからだづくり
先日、赤ちゃんの平均出生体重が30年前より250g減少しているとの調査結果(平成22年)を新聞で目にしました。先進国の中でも出生体重が減り続けているのは珍しいということです。

出生体重と将来の生活習慣病(肥満・高血圧・糖尿病など)の発生リスクは、逆相関しており、出生体重が小さいと将来の生活習慣病のリスクが高くなることが分かっています(ただ、大きければ良いかと言うと限度があると思います)。

出生体重の減少の要因は色々な要素が複合した結果だと思いますが、妊娠中(妊娠前も)の体重増加を気にしての食事生活の不適切な管理(制限?)や妊娠中の喫煙(受動喫煙も含む)などが要因の一つではないかと指摘されています。

出生体重とは別に、最近になり2~3ヶ月の乳児に予防接種・健診などをしていて、赤ちゃんの皮膚のトラブル(乾燥や皮膚炎)が増え、赤ちゃんの1日の排便回数が減ってきた印象があります。

これも、胎内~出生後の生育環境が影響している可能性もあるのではないかと思っています。

まず思いつくのは、母親(母体)の栄養状態が要因の一つではないかということです。
母親(母体)自身が、体重の増加を気にしすぎて、過剰(不適切)な(量的または質的な)食事の制限をしてしまってはいないでしょうか。

糖分・脂肪・タンパク質などバランスよく摂取することが必要ですが、いわゆるダイエット食といってバランスの悪い食事(ダイエット食=健康的な食事ではありません)をしていたりしないでしょうか。

あくまで推測の域をでない話ですが、健康的な母体(良い胎内環境)ということをよく考えてみる必要はあるのではないかと思います。