子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

長引く咳

2007-09-30 16:14:22 | 雑記
昨日今日と肌寒い日となり、先週末の暑さがウソのようです。

以前にも書きましたが、昨日から今日にかけてはぜんそくの症状がでやすい天気ではないかと思います。

今からの季節、ぜんそくやアレルギー性鼻炎(秋の雑草による花粉症)などの体質的な要因で咳や鼻水が続くことが多い時期ですので、風邪(咳や鼻水)がなかなか治らない様な時には考慮する必要があると思います。

その他、長引く咳で薬でもなかなか止まらない様な時の原因として百日咳が注目されていて、特に成人で原因不明の長引く咳といった時には考えてみる必要があります。
また、これからの冬場にかけては、特に乳幼児ではRSウイルスによる咳や喘息様症状にも注意が必要となってきます。

感染症、体質、環境要因、気候など長引く咳は色々な原因で起こり、場合によってはいくつかの要因が混在しています。
咳がなかなか治らない時には、どうも風邪が治らないと漫然と様子をみずに、かかりつけ医に相談してみて下さい。

指しゃぶり

2007-09-23 02:50:08 | 雑記
「指しゃぶり」や「おしゃぶり」に対して、小児科医・小児歯科医・保育士など子どもに関わる専門職の間でもどうのように指導するか考え方に温度差があり、親を混乱させる要因となっていることがあります。

乳児期の「指しゃぶり」は、成長過程での生理的な行動なので制限する必要はない点では特に意見の食い違いはなく問題はないと思います。

問題は、年長の幼児の「指しゃぶり」に対してどのどうするかと言う点です。
小児歯科医師は、歯列・噛み合わせに対する影響を重視し「指しゃぶり」は直ぐに止めさせるように指導し、小児科医や保育士などは、精神的な安定を保つためとしていずれは自然に止めるだろうという寛容的な姿勢をとる傾向にあるように思います。
極端な例では、鼻呼吸や顎の発達を促すということで「指しゃぶり」や「おしゃぶり」を推奨している場合すらあります。

基本的な考え方としては、極端な歯列・噛み合わせの障害をきたさないために3歳頃までには「指しゃぶり」が止められるように心掛けてください。「おしゃぶり」は「指しゃぶり」よりは影響は少ないものの「指しゃぶり」に比べ長時間使用する結果になることが多く、「おしゃぶり」は「指しゃぶり」とは違い子ども自身の自発的行動ではなく与えられたものであり、安易に使用することは避け、少なくとも2歳頃までには使わずに済むように心掛けるようにしたいし、「指しゃぶり」の代わりに「おしゃぶり」を与えるようなことはしないようにして下さい。

ただ、「指しゃぶり」を止める様に、「おしゃぶり」も使わないで、と一言で言われても実際にはどうしたらいいのか途方に暮れてしまうのではないでしょうか。

どうしたらよいのかと言えば、それなりにお母さんお父さんの努力が必要になってきます。「指しゃぶり」をしている時や「おしゃぶり」を必要とする様な時に、お子さんに話しかけたり、遊んであげたり、絵本を読んであげたり、子どもとのふれあいを心掛けてあげてください。
ただ単に、無理矢理止めさせたり、注意したり、叱ったりするするだけでは、止めることすらできずに逆効果になってしまいますし、何が何でも止めさせなければと言うことではなく、日常的に子どもと関わる環境を作っていくことが大切だと思います。
年長になり聞き分けがでてくるような年齢であれば、少しずつでも言い聞かせながら、止める努力が見られた時には良く誉めてあげたりすることも必要だと思います。

じんま疹

2007-09-16 17:52:17 | 病気
「じんま疹がでたので何が原因かアレルギー検査をしてほしい」
「じんま疹がでたのだけれど、何の食べ物がいけなかったのかわからない」

じんま疹で受診される多くの方が、その原因として食べ物を主体としたアレルギーを心配されます。

実際には、じんま疹の原因として何か特定の物に対するアレルギーによるものは、じんま疹全体の数%~10%程度でしかありません。じんま疹の半数以上は、通常の診療では直接的な原因の特定できないもので、その他に温度差や圧迫といったような様々な物理的刺激が誘引になるようなものや、入浴や運動などの発汗刺激にともなうようなものなどアレルギーが関与しない原因で起こるものも少なくありません。

直接的な原因がはっきりしないようなものの中には、風邪などの感染症がきっかけであったり、身体的な疲労やストレスなどが誘引になっている場合があります。

じんま疹がでたからといって、アレルギーを検査しても何も分らないばかりでなく、何か検査で陽性にでてしまった場合には無用の心配をしなければならなくなるかもしれません。
今までの経過で、どうも同じ物を食べたりすると症状がでるなど疑われるものがあり、検査をしたらその物が陽性であれば、原因として確定できますが、特に当てもなくしたアレルギー検査で陽性にでたものが必ずじんま疹などの症状の原因とは言えません。検査して陽性だったからということだけで、不必要な制限や心配をするこのになりかねないので注意が必要です。

なので、じんま疹がでたからといってすぐに検査しましょうということはなく、お話を聞いて原因となりそうなものがあれば必要に応じて検査をしますが、そうでなければ検査をしませんし、検査を希望して受診された方には必要性のないことを説明して納得して頂くようにしています。

インフルエンザワクチンの値段

2007-09-09 01:52:32 | 雑記
数年前に比べインフルエンザワクチン接種を行う医療機関が増え、それに伴いワクチン接種の費用が医療機関ごとに異なっていることに疑問を持っている方もいるのではないでしょうか?

現在は、平成13年の予防接種法改正により65歳以上(基礎疾患によっては60歳以上)の高齢者の方は、各地方自治体が接種を行う法定接種となり、各自治体ごとに一定の値段(おそらく4000円前後)が決められ自治体がその費用を負担し、その費用のうち1回1000円~2000円ぐらい(各地方自治体ごとで負担額は異なります)を接種する方が自己負担分として支払う形で接種が行われています。

それ以外の年齢では、医療機関が独自に設定した値段での任意の接種となっており、各医療機関ごとの値段は、1回1000円台から5000円前後の間といったところではないでしょうか。
当院では昨シーズンは1回3000円(消費税込み)で行いました。

ワクチン接種の値段は、ワクチンの仕入れ価格以外に、接種前の診察料・接種処置料・予約など事務手続きにかかる人件費・ワクチンの適正な保存にかかる費用などが加味されて決定されていることが多いのではないかと思います。

接種する方の負担を少なくし出来るだけ多くの子どもたちにワクチン接種を受けてもらいたいとは思っていますが、責任を持ってかつ安全を確保しながら接種をしなければならない立場から考えると、極端に低い価格設定も出来ないのが正直なところですし、現実的には一人の医師が接種できる人数にも限りがあります。

予約を取ってワクチンを確保する、体調等で接種予定を変更調整する、ワクチンを適正な温度で保管する、接種に際し状態を診察し適正な接種を行う、接種後の問い合わせに対する対応や何かあったときの対応、などなど、一見はみんな同じ様にワクチンの注射しているだけのことに思えるかもしれませんが、個々の接種ごとに実際の接種の場面だけでは見えないいろいろな付加価値があることも理解していただけたらと思います。

天候と喘息

2007-09-06 00:47:18 | 雑記
必ずではないけれど台風が発生すると喘息の調子が悪くなることがあります。

天候と体調の関係は経験的に知られており、喘息の調子も天候との関連が比較的はっきりしているものの一つですが、それでも何が影響しているのかといった科学的な解明はされていません。

台風も太平洋上の遠くにある頃に調子が悪くなることもあるし、通過の前後のこともあります。
気圧の変化かというと、飛行機で喘息発作が誘発されたという話をあまり聞かないので、単純に気圧の変化とも思えません。

台風だけでなく天候との関係で考えてみると、気温の急激な変化は比較的喘息の増悪と関係しているように思います。
ただし寒いのがいけないかというと、冬は風邪さえひかなければ比較的喘息は安定している時期なので、寒さだけでは誘引にはなりません。
季節的には、梅雨前線や秋雨前線が停滞するような時期に喘息の調子が悪いことが多く、どちらかというと秋の方が症状が重い傾向にあるようです。
春や秋の季節に曇りから雨の朝から肌寒い日で、日中にかけて気温が上がらず逆に下がってしまうような日は注意が必要です。

気温・気圧・湿度などの変化が複雑に影響して単純には予測できないとは思いますが、これから10月~11月にかけては喘息の症状が出やすい季節ですので、喘息で治療を継続している方は夏場に調子が良かったからと油断しないで、これからの時期に症状を繰り返さないよう予防的管理をしっかり継続するよう心掛けましょう。

発熱

2007-09-03 02:02:02 | 雑記
もう夏休みも終わりになってしまいました。
夏休みの期間は学校や幼稚園などで集団で生活する機会が減り、子どもたちが風邪などの感染症に罹る機会も減るため一般小児科は夏休み後半から新学期が始まってしばらくは1年で一番落ち着いた(暇)な時期となります。

ただ、そんな中でも高熱が数日続くような夏風邪はそれなりに流行っています。

高熱がでると、熱でどうにかなってしまうのではと心配で慌てて病院にかかることもあるのではないでしょうか。

風邪が原因であれば熱自体で何か身体的な障害の原因になることはまずありませんので、機嫌などの状態がよければ、熱だけを心配して夜間など慌てて病院を受診する必要はないことがほとんどだと思います。

熱の上がり始めは寒気がしたり頭痛や腹痛を訴えたりして心配になるかもしれませんが、慌てず少し様子をみてあげて熱が上がりきってしまうと、状態が落ち着くことも少なくありません。
熱の上がり始めのこのような訴えは熱の上昇に伴う生理的な反応なので慌てずに様子をみてあげることも必要です。

熱ばかりに気をとられないで、機嫌などお子さんの状態をよく見てあげて下さい。
熱以外の症状に注意して、意識がはっきりしない、けいれんを起こした、呼吸が苦しそう、咳が激しい、嘔吐を繰り返す、何か様子がおかしいなどなど、何か気になる時はすぐに病院にかかる必要があります。また、生後3ヶ月以下の時期の発熱は注意が必要です。

最初のうちは、なかなか病院受診するタイミングの判断は難しいかもしれませんが、まずは心配があれば病院を受診してください。何度かお子さんの熱を経験するうちに様子もわかってくると思います。