子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

タミフル(2)

2007-03-22 00:32:55 | 雑記
厚生労働省の緊急発表により製薬メーカー(中外製薬)から緊急安全性情報として
「10歳以上の未成年インフルエンザ患者に対するタミフルの処方の原則差し控え」
が医療機関に向けて配布されることになりました。

中止(禁忌)ではないので、保護者の同意のもとでの処方の余地は残されていますが、
これにより実質的には10歳代のインフルエンザ患者に対してタミフルの処方は出来なくなった状況です。

インフルエンザでタミフル内服後に発生している異常行動に関しては、
タミフルとの因果関係がはっきりした訳ではありませんが、
一つの要因としてタミフルが疑われており、因果関係がはっきりするまで現状で異常行動で事故にいたるリスクの高い10歳代に対する処方を差し控えることになったのだと思います。

インフルエンザは多くの健康な方にとっては、薬を使用しなくても自然に治癒する感染症なのでタミフルが使えないからといって心配する必要はありません。
しかし、異常行動に関しては2月28日にも書いたようにタミフルだけが原因と言う訳ではないので、タミフルを内服していないからといって注意を怠らないようにしなければならないと思います。

タミフル以外のインフルエンザ薬としてリレンザがありますが、元々生産量も少ないところに異常行動のことがあり処方が多かったために現在欠品状態になっているところが多いと思います(メーカー在庫もありません)。
また、A型インフルエンザに対して以前使用していたシンメトレルという薬もありますが、現在はこの薬に対して耐性を持った(効果が期待出来ない)インフルエンザウイルスが多く、この薬も薬による興奮性の問題を指摘されており現在はほとんど使用しなくなっています。

ただ、いつものことながら厚生労働省の発表の仕方は医療現場にしてみると唐突で、我々医師もテレビや新聞の報道で始めて知り、正確な発表内容を確認しようと厚生労働省のホームページを見ても休日のためか何も記載はないような状況で、ますます行政に対しての不満が積もります。

小学校就学前のMR(麻疹・風疹)ワクチン接種

2007-03-18 18:39:31 | 雑記
今春に小学校入学となるお子さんのMR(麻疹・風疹)ワクチン接種は済ませましたか?

今度小学校入学となるお子さん全てが接種対象者となります。
過去に麻疹や風疹の予防接種を受けているお子さんも対象者ですので、もう接種してあるから受けなくてもいいと思っている方も多いようですが、接種歴にかかわらず必ず受けましょう。
ただし、過去に麻疹や風疹にかかったことのある場合は、かかったことのない風疹または麻疹の単独ワクチンの接種となります。
定期接種の期限は3月31日までなので、4月以降になって接種希望される場合は任意(費用がかかる)の接種となってしまいます。

もうすでに小学校以上の年齢のお子さんは定期接種の対象ではありませんが、任意の接種として接種は可能です。
小児科医としての個人的な考えとしては、対象者でなくても麻疹の2回接種をお勧めします(麻疹の根絶に向けて世界的に2回接種が標準となっています)。

接種に際しての詳しいことは、地方自治体ごとに多少の違いがある場合もありますので、各地方自治体担当またはかかりつけ医に相談してさい。