子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

ポリオワクチン

2011-05-29 17:12:48 | 雑記
先日、ポリオ不活化ワクチンの承認が早くても(早ければ?)来年度(平成24年度)になる見通しとの厚生労働省の見解が報道されました。

昨今のポリオ不活化ワクチン早期導入への強い要望に対する対応かと思われます。

報道の対象となっているワクチンは、国産の4種混合(DPTとポリオの混合)ワクチンで、承認されてもいつから実際にいつから接種可能になるか、接種対象者がどのようになるのか(今接種を見合わせて待っていても承認後接種開始されても接種対象者にならない可能性もある)など詳細は不明です。

DPT接種済の子どもたちのために、ポリオ単独の不活化ワクチンの必要性も議論されているようですが、導入については不透明なままです。

個人個人の判断で国内未承認の外国製不活化ワクチンを接種する方も増えてきており、国民の健康を守る責任のある国は、新型インフルエンザワクチンの時のように、速やかに外国製品を承認することを考える必要もあると思います。

今回の報道を見て、当然ながら、不活化ワクチンが開始されるまで生ワクチン接種を控える方がでてきてもおかしくないと思います。
1~2年の事であるのなら、自然感染のリスクの高い場合を除いて、いっそのこと生ワクチン接種を中止してもよいのではないかと言う考え方も出来るかもしれません。

不活化ワクチンの承認の見通しだけ発表されても、子どもの親や接種をしている現場では色々な思惑が交錯し混乱するだけなので、国は同時に今後のポリオ不活化ワクチンへ移行への具体的なスケジュールを示さなければならないのではないでしょうか?

以前に、当クリニックでは国内未承認のポリオ不活化ワクチン接種は行う予定はなく、生ワクチン接種を推奨する投稿をしていますが、未承認の不活化ワクチン接種を行う予定がないことには変わりありませんが、比較的早い時期に不活化ワクチンが導入されるのであれば、生ワクチン接種を積極的に推奨することには疑問を感じます。

ただ、あまりにも今後の見通しについての情報が少なく、不確定な部分が多いので、責任をもって皆さんにどうしたらよいか提言できないのが正直なところです。

とにかく、ポリオ接種について今どうするべきかという見解を国がはっきりと提示してほしいものです。



麻しん(はしか)

2011-05-11 08:53:35 | 雑記
GW前まで、インフルエンザB型の発生がいくつかの施設で見受けられましたが、GWが明けてからは落ち着いた印象です。

4月に東京都区西南部を中心に麻しんの発生報告が増えています。
現在ヨーロッパで麻しんが流行しており、海外渡航者から国内に持ち込まれたと思われます。

今後の麻しん発生状況には注意が必要です。
MR(麻しん風しん)予防接種の対象年齢で接種を済ませていない場合は、出来るだけ速やかに接種をすませるようにして下さい。

また、WHOなどでは、海外渡航予定のある10代~成人の方で、麻しんの免疫状態がはっきりしない方は、渡航前に麻しんの予防接種を1回済ませるよう推奨しています。