子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

休日の過ごし方

2006-04-30 01:28:52 | 雑記
ゴールデンウィークになりました。
ニュースで今年も成田から海外旅行に出かける人が過去最高などと報道されています。
長い休みの時にしか出来ない経験をして、心身ともリフレッシュするのも良いと思います。

ただ子どもを大人のペース(興味)に付き合わせるのは避けたいものです。

どこか出かけなくても、普段子どもたちがどんな遊びをして過ごしているのか、親が付き合ってみるも良いのではないかと思います。普段の生活圏内(近所)で子どものペースで楽しく余暇を過ごすことができるでしょうか?どこか出かけなければ過ごせなくなってはいないでしょうか?

出かけられない者の小言だと思って少し考えてみてください。

ゴールデンウィーク

2006-04-25 23:41:21 | 雑記
今週末からゴールデンウィークに突入です。

例年に比べ天気が不安定で寒暖の差も大きく、体調管理をしっかりしたいものです。

ゴールデンウィークは子どもたちにとって、4月から入園入学などを迎え、新しい環境で心身共に疲れのでてくる時期にゆっくり休める良い機会である一方、せっかく新しい環境に適応しペースをつかみかけてきたところに水を差す可能性も考えられます。

ゴールデンウィーク後は夏休み後と共に、色々な不調を訴えて病院を受診する子どもたちが増える時期です。

休みの間も日常のリズムを崩さないようにしながら、心身ともにリフレッシュできるよう心掛けてあげてください。

暖かくなってきました

2006-04-19 23:39:30 | 雑記
私の暮らしている松戸もやっと暖房の必要のない陽気になってきました。

今の時期、小学生ぐらいの頃何をして遊んでいたでしょうか?
まだ身近に田んぼがあり、オタマジャクシやザリガニなど採って遊んでいたような気がします。

今の子どもたちはそのような遊びをする場が身近には少なくなってしまいました。

その代わり、私たちが子どものころには存在なかったゲームや携帯電話などいろいろなマルチメディアを自由に操り、昔なら子どもが一人で出歩かない時間に電車に乗り塾に通う、などなど自分自身が子どもの頃には想像もできないような日常を今の子どもたちは送っています。大人の生活と子どもの生活の境が自分が子どもの頃と比べるとなくなってきているようにも感じます。

自分が子どものころとまったく違った環境で違った経験をして育つ今の子どもたちが大人になり社会に出て来たとき、物の考え方など全く違って当然なのかなと思います。

昔が良くて、今が悪い言う訳ではありません。今の日本はこのままどんな方向に向かっていくのか少し不安になることはあります。子どもたちを育てるのは、家庭であり社会全体です。子どもたちがどのような一人前の人間に育って欲しいのか、その前に我々大人がしっかりしなくてはならないのかなと自分自身は思っているのですが、なかなか自信はもてません・・・

ウイルス性胃腸炎

2006-04-16 21:59:14 | 病気
このところ、嘔吐・下痢の症状を主症状とする患者さんが多く診察にみえます。

診断は「ウイルス性胃腸炎」ですが、『感染性胃腸炎」「流行性嘔吐下痢症」「お腹の風邪」などと言われるものはみな同じ状態です。原因となる代表的なウイルスとして「ノロウイルス」「ロタウイルス」などがあげられます。

典型的な症状は、嘔気・嘔吐症状から始まり、その後下痢や発熱を認めるます。嘔吐は初期に集中して認められますが半日から1日ほどで治まってくることが多く、そのかわり下痢は数日続きます。

状態に応じて点滴による水分・ミネラル(主に塩分)や糖分の補給の適応となりますが、原因となるウイルスに有効な薬はなく、病気自体は自分自身の免疫力で自然と治るのを待たなければなりません。水分やミネラル(主に塩分)の摂取を心掛け、ゆっくり休養することが一番大切です。薬は病気自体を治すようなものはなく、吐き気や熱等つらい症状をある程度軽減する目的で使用されますが、薬が嫌いで薬を飲む事で吐いてしまうなどのことがあれば飲む必要はありません。下痢止めは小児科では胃腸炎の診断で原則的には使用しません。

ウイルスは、便中に排泄され症状が治まってからもしばらくは便中に排泄されています。人から人に感染しますが、手洗いを適切に行うことで感染予防ができます。

とにかく、様子をみながら少しづつでも適切に水分・ミネラル(主に塩分)が飲むことが可能であれば後は時間とともに状態は良くなっていきます。食事は、食欲がでてきたら食べられる範囲で吐き気を催さない程度に少しづつ開始してください。内容は脂っこいものや刺激のあるものでなければ、だいたいのものは大丈夫ですが、最初のうちは炭水化物を主体としたものが無難ではないかと思います。ただ、様子を見ながら吐かずに無理なく食べられるのであれば下痢が続くからと言う理由で食べ控えたり、内容の制限をする必要はありません。

また、水分補給の目的でイオン飲料を利用するのは構いませんが、病気が改善してからも日常的に水分補給のために使用し続けるのは止めてください。過激な運動や極端に汗をかいた時以外の日常的な水分補給には水が一番です。

熱がでたから病院へ?

2006-04-12 22:05:40 | 雑記
子どもが急に熱をだすと、慌ててしまう方も多いのではないでしょうか。

「高い熱でどうにかなってしまうのでは?」、「何か重大な病気では?」などなど

子どもの熱は、ウイルスや細菌などの感染に対する体の反応のことが多いので、今回は感染症による熱を前提にお話します。

熱自体は外敵の感染に対する生理的な反応であり、熱が直接的な原因でなにか障害を起こすことはありません。
脳の体温調節機能が破綻しない限り身体に障害をきたすような熱はでません。(温調節機能が破綻するような熱の原因は、熱中症や脳炎・脳症、頭部外傷など限られます。)

熱の高さに惑わされないで、熱以外の状態に気をくばってください。

笑顔がみられたり少し遊ぶ元気がある、水分を十分とることができる、などであれば少なくとも慌てる必要はありません。

熱の上がり始めは、不機嫌になりいろいろな訴えをすることがありますが、少し様子をみて熱が上がりきってしまうと落ち着くことが多いのでその場合も慌てることはありません。
熱の上がり始めにすごく不機嫌なのですぐ病院に行ったけれど、病院に着いた頃には熱はあるけど少し元気になってしまったという経験はないでしょうか?

反対に、「生まれて3ヶ月以内の発熱」、「咳がひどく苦しい」、「繰り返し吐く」、「水分が十分にとれない」、「顔色が悪いなど何か様子が変」、「4日以上高熱が続く」などはすぐ病院に行き診察を受ける必要があります。

ここで書いたことが全てではありませんし、文字の知識だけで実際にいろいろ経験しなければ大丈夫なのかの判断は難しいとも思います。

ただ、「熱がでたから病院に行って薬さえもらえば何とかなる」という思いだけで病院を受診しないでください。

我々医師は、診察をして熱の原因を考え、それぞれの状態に応じて対処します。いわゆる風邪(感冒)の原因の多くはウイルス感染で、インフルエンザや水痘など限られたもの以外にウイルスに対して効果的な薬は存在しません。全身状態が良く、熱以外に気になる症状がなければ、薬の必要もない場合も少なくありません。風邪で病院で薬をもらって良くなったと思っていても、薬はまったく関係なく自然の経過のことも多いと思います(薬がなくても同じ経過と言うこと)。
「せっかく病院に来たのに薬もでなかった・・・」と思わないで下さい、医師は重い責任を背負った上でどのように治療経過観察が必要か専門的な判断をしているのです。

子育てについて(1)

2006-04-06 23:07:45 | 雑記
子どもを一人の自立した人間に育てると言うことは、親だけでなく社会全体の責任であり真剣に取り組まなければならないことは言うまでもないことです。

大前提としてこの社会が健全なものでなければならないし、その為には大人がしっかりしなければならないのは当然のこととして、子どもを育てる過程で、子どもたちをこの社会の望む良い方向へ導いていく為にはどうしたらよいのでしょうか?

子育ての方法として、「怒らない・叱らないで」子育てをするということを耳にすることがよくあります。

子育てに関わる親や大人がその子どもにとって最終的に信頼できる絶対敵な存在であれば、それも可能であると思われますが、
そのような親・大人がそのような存在になる過程で「怒る・叱る」ということは必要なことではないかと思います。
ただ、適切な「怒る・叱る」ということが出来なければなりません。
時にはしょうがないかもしれませんが、自分の都合・感情で「怒る・叱る」ことは極力さけなければなりません。

「怒る・叱る」ことをしないでなんとか子どもを躾けようと苦労し、その結果子どもに主導権を握られてしまってはいないでしょうか?

この限られたブログで語り尽くすことはできないし、かならずしも一つの正解しかないような問題でもないと思います。

ただ、どう子育てしていけばよいのか悩んでいる方も多いと思いますし、親にかぎらず多くの人が真剣に取り組まなければいけない問題です。

最近読んだ本で、『読んで学べるADHAのペアレントトレーニング(むずかしい子にやさしい子育て)』シンシア・ウィッタム著、中田洋二郎 監訳:明石書店 があります。(注:ADHA=注意欠陥・多動性障害)
原著は特にADHAの親のために書かれてものではなく、一般的な子育ての場でも非常に参考になるものだと思います。
一般の方には、ADHAが表題になっているため取り付き難いかもしれませんが、内容は難しいものではなく実践に即した非常に簡潔で分かりやす内容の本ですので一つの子育ての方法論として読んでみるのも良いのではないかと思います。

こどもの救急

2006-04-02 19:07:19 | 雑記
小児の夜間・休日の時間外診療に対する社会的要望は小児科医療の重要な課題です。

私の診療している松戸市でも、松戸市立病院と医師会の協力で4月1日から松戸市夜間小児急病診療所が稼働し始めました。

小児科医と立場から現在の救急診療についてみなさんに考えてもらいたいことがあります。

救急と診療の違いを考えてみて下さい。
「救急は時間を問わず、病院の診察が必要な状態」
「診療は緊急性のない病気の診察」

時間外の小児救急の大半は、救急ではなく時間外診療になっているのが現状です。

緊急性のないものであれば、夜間などの時間に具合の悪いお子さんを病院へ連れて行くこと自体子どもも辛く、自宅でゆっくり休養していた方が良い場合が多いと思います。
また当たり前のことですが、時間外より病院の診療時間内の方が十分な体制で診療できます。

ただし最近感じることは、子どもが何か具合が悪くなった時に、その状態が様子を見れるのかそうでないかのある程度常識的な判断が出来ない親(大人)が増えてきたということです。
確かに知識は多いのですが、逆にそれが不適切な不安材料になっている場合があります。

そう考えると、判断を親に任せるのも小児科医として不安もあり、
救急ではなく時間外診療もしかたないことなのかとも思います。

日本小児科学会が「こどもの救急ホームページ(http://kodomo-qq.jp/)」を開設しています。
お子さんが具合が悪くなったときの参考してみるのもいいのではないかと思います