子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

母親の本能

2006-10-24 00:11:23 | 雑記
母親が子どもの変調を察知する本能的な能力はあなどれないと常々思います。
小児科で乳幼児の所見として「not doing well」というものがあります。これは「いつもと様子が違う」と言うことなのですが、誰がみても具合が悪いという以前に母親が「何かいつもの違う」ということで気付かれることが少なくありません。
男性には分からない、生き物として母親(女性)に備わった特有の感覚ではないかと思います。
この感覚が全て重大な病気を意味する訳ではありませんが、小児科医としては無視出来ない大切な感覚です。
おそらく身体的な病気だけでなく、成長に伴う様々な子どもの変化を敏感に感じ取るのが母親ではないかと思います。
ただ、このような本能的な感覚が徐々に失われてきているように感じることもあります。
今の世の中、育児や子どもに関して色々な情報が色々なメディアを通してあふれていますが、あまり情報ばかりに振り回されないで、母親としての自分の感覚も大切にしてください。

「いじめ」と管理体制

2006-10-18 16:04:51 | 雑記
最近ニュースなどで「いじめ」に関する話題が多く取り上げられています。
ここでは「いじめ」自体の本質など突き詰めた話は置いといて、学校等の社会の中での「いじめ」に対する管理体制について考えてみたいと思います。
テレビなどの報道を見ていると、学校での「いじめ」と医療機関での「医療ミス」は管理する上で似た面があるように感じました。
医療の現場では「医療ミス」に対する安全管理の基本は「医療ミス」は必ずある頻度で発生するものという立場に立って考えられています。ミスをおこり難い環境を整え、もしミスが発生しても重大な結果にいたらないような体制作りをする。そのためにミスをおかした人はミスを報告することで指導はされても原則罰を課さないようにして、ささいなミスがあっても全てを報告するようにし、各事例に対して分析をおこないます。ちょっと話がずれますが、ここでの「医療ミス」と「医療上の過失」は別と考えてください。
最近のテレビ報道などを見ていると、学校での「いじめ」に対する管理手法が間違っているように感じます。「いじめ」が存在することで、担当教師や校長の評定の対象となってしまう。当然現場では「いじめ」の本質に対し真正面から向き合うことなく実態が表面化しないような対応でなんとか済まそうとしてしまう。学校や教育委員会などの中での先生の評価などは抜きにして、「いじめ」に限らず学校の中でなにが起こっているのか、まず全てを把握する努力が必要なのだと思います。学校の先生も人間なのだから当然好き嫌いもあるはずです、一人の先生で多くの生徒に全て対応すること自体が無理なのかもしれません。
学校は子どもたちの成育に関わる重要な場所であるとは思いますが、一方で学校が全てでもありません。大切なのは、子どもたち一人ひとりが健やかに成長していくことだと思います。

早起き

2006-10-09 00:17:39 | 雑記
先日、空腹感で朝いつもより早く目が覚めました。
当然のことながら朝食もよく食べれ(そうでなくても食べれますが・・・)、英語で言うbreakfast(断食をやめる)を実感しました。
「朝起きれない」、「朝食が食べない(食べれない)」といった子どもが増えているとよく言われています。今の生活様式が夜型になり就寝時間が遅くなってきているなど様々な原因があるのだと思います。ただ、空腹で目が覚めたことを思うと、子どもたちの夕食の時間が遅かったり、夕食の後にも夜に何か飲んだり食べたり、などの問題もあるのではないかと思いました。
早寝・早起きなど、子どもには規則正しい生活をとよく言いますが、まず親なり社会の大人たちが子どもたちが子どもたちなりの生活リズムを整えられる様な環境を作ってあげなければならないのだと思います。
今の世の中をみていると、大人の生活リズムに子どもたちを巻き込み過ぎているように感じます。

喘息と気候の関係

2006-10-08 00:19:35 | 雑記
喘息の患者さんは、天気や季節と症状増悪の関連を体験として知っていることが多いと思います。
我々喘息を診療している側も、経験上喘息がでそうな天気というのはなんとなく感覚として持っています。
台風や低気圧が近づいてくると症状がでるということをよく聞きますが、確かにそういう時もありますが、かといって必ずと言う訳でもありません。何が影響しているのかはっきりとは解明されていないのが現状です。
ただ経験上、1年間の中では9月下旬から11月にかけてが一番喘息の症状がでる時期で、なおかつ症状も強くでる傾向があります。その次に症状がよくでるのは、春先から梅雨の時期ですが、秋より症状自体は軽い印象があります。
季節とは別に1日の天気では、雨が降って気温の上がらない日(特に午前より午後の方が寒い様な日)は喘息がでやすい印象があります。確かに台風接近の前後に発作がでることも経験されますが、全ての台風にあてはまる訳ではないようです。
喘息を含め喘息近縁の体質性の咳嗽症状も同様の傾向があります。
診察していて、最近の気候や今日の天気は咳がでやすい感じだから気をつけてとか、薬を続けて様子をみましょう、と言っても最初のうちは何を言われているのかピンと来ない患者さんもいるように思いますが、何を訳の分からない事を言っているんだと思わないで少し耳を傾けてみてください。

子どものけんか

2006-10-05 00:59:17 | 雑記
子どものけんかは、何が原因であるにしろお互いにそれぞれ言い分があるはずです。
大人が聞いてみて道理の通らない言い分でも、当人にとってはそれが動機なので「どうしてそんなことするの」と言われても大人が納得できる説明はできないのが普通です。
小さい子に、理屈で言い聞かせようというのも無理があるように思います。
あまり責めると、それが嫌で嘘をつくようになるかもしれません。
大人の理屈は別として、子どもは何をした時に誉められたのか、または怒られたのか、経験しながら学習し成長していきます。また、大人の行動も見て学習成長していきます。
子どもに「何故いけないの?」と聞かれることもありますが、必ずしも良い事・悪い事に言葉で説明できるような普遍的な理由があるとも思えません。その社会で生活している大人の考え方で、その社会の中での価値観は変わってしまいます。
大人自身がしっかりした行動をとる、子どもを適切に叱る・誉める、理屈よりも実際の行動が大切なように思います。
簡単そうですが、なかなか出来ない事です。
また、子どもたちが相手の気持ちを考えられるようになれればと思いますが、その前に大人たちが子どもたちの気持ちを考えてあげられるようでなければならないのではないかと思っています。