子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

日本脳炎

2006-11-20 01:42:39 | 雑記
昨年5月に日本脳炎ワクチン接種の積極的接種推奨の差し控えが厚生労働省から通知がだされ、その後今後の見とうしについての通知もなく現在にいたっています。
私自身の日本脳炎ワクチン接種に対する考え方は、病院小児科ホームページを見て下さい。
今の日本では、日本脳炎患者の発生数は年に数人程度で、生活環境の変化から日本脳炎に感染する機会も少なくなってきているなどの理由から日本脳炎ワクチンの接種自体の必要性を疑問視するような立場の意見も見受けられます。また、厚生労働省の通知を日本脳炎ワクチン接種はしなくてもよいと取り違えているかたもいるようです。
日本脳炎患者の発生数が少なくなって来ているのは事実ですが、これは日本脳炎ワクチンが実用化された1954年以来、積極的にワクチン接種が行われてきた結果であることを忘れてはいけないと思います。確かに、田園農村型の生活から都市型の生活にシフトしたことで日本脳炎感染の機会が減って来たこともあると思います。
ただし、毎年行われているブタの日本脳炎抗体保有状況などから、夏期を中心に北海道や一部東北地方を除き全国的に日本脳炎ウイルスとそれを媒介するコガタアカイエカの存在が確認されており、日本脳炎に感染するリスクは潜在的に存在しつづけています。今年も夏以降から九州地方を中心に日本脳炎患者の発生が数例報告されたいます。40歳代以降の年齢での発生がほとんどで、今までのデーターではワクチン接種歴のない場合が多いと言われています。(今年は1991年以来なかった幼児での発生の報告が1件ありました。)
日本脳炎ワクチン接種の現状は、親の判断や実際に接種を行う医師の考え方に任されている状態です。多くの人(子ども)たちが安心して予防接種を受られるように、厚生労働省は今後どのような予定で日本脳炎ワクチンの実施を考えているのか具体的な通知をだすべきだと思います。

「水ぼうそう」「おたふくかぜ」の予防注射

2006-11-16 01:32:27 | 雑記
任意の予防注射である「水ぼうそう」「おたふくかぜ」について、受けた方が良いのかどうかよく質問されます。

一般的な小児科医の立場として、ワクチンを接種することをお勧めしています。

「水ぼうそう」「おたふくかぜ」の予防接種を受けていても、周りで流行があるとどうしても接種したかたの中から2割程度のかたが感染発症してしまいます。それでも、8割のかたは発症を阻止され、また発症しても軽症化が期待出来ます。

「水ぼうそう」はかかっても治療薬があるし、「水ぼうそう」「おたふくかぜ」はかかってしまった方が免疫もしっかりついて良いのではと考えているかたもいるかもしれません。でも、実際にかかってしまうと学校など集団生活や行事などは休まなくてはならなくなりその時になりどうにかならないかと言われるかたも少なくありません。また発症を予防することだけでなく、「水ぼうそう」にかかったことで後々に「帯状疱疹」を発症してしまうリスクは、予防接種で「水ぼうそう」を予防する事で確実に減らす事ができます。「おたふくかぜ」に関しても、「おたふくかぜ」の髄膜炎や難聴といった合併症のリスクを減らすことができます。

「水ぼうそう」「おたふくかぜ」の予防接種も、多くの人が接種することで流行の発生を阻止することができます。現状では「水ぼうそう」「おたふくかぜ」の予防接種を受けている人の方が全体の中では少数ではないかと思います。

「水ぼうそう」「おたふくかぜ」の予防接種も定期接種として多くの子どもたちが接種できるようになればいいのですが、今の日本の予防接種行政の状況ではなかなか実現しそうにありません。

文化の日

2006-11-03 11:35:14 | 雑記
今日は「文化の日」です。
「文化の日」は今の日本国憲法が公布された日で、「自由と平和を愛し、文化を薦める」ことを趣旨とした国民の祝日です。

子どものこととは関係ないと思うかもしれませんが、子どもたちが健やかに成長していくために日本がどのような国であるべきなのか考える上で、憲法はその国の向かう方向性を決める最も重要な要素ではないかと思います。

多くの人にとって、日本国憲法は学校の社会の授業で聞いた程度の関心しかないかもしれません。
とりあえず今の日本で暮らしていると、憲法の事など考えずにそれなりに平和に暮らしていけるからではないでしょうか。そういう意味で、現在の憲法は非常に良く出来ていたのではないかとも考えられます。

国際情勢の変化などにともない憲法改正といったことが現実味を帯びて来ています。
これからの子どもたちのために、日本がどのような方向へ向かって行くのか?
後になってこんなはずじゃなかったと思う事のないように、より多くの人が憲法に関心を持って議論していく必要があるのではないかと思います。