子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

予防接種:定期接種と任意接種

2015-03-11 17:20:11 | 雑記
定期接種と任意接種の違いって?
なんとなく任意接種は定期接種ほど必要性が低いイメージがあるのではないでしょうか?

確かに、流行が発生した時に社会的影響の大きいものから優先して定期接種になっているとは思いますが、感染症から子供たちを守るという観点では定期接種も任意接種もその必要性に優劣はありません。

定期接種は予防接種法という法律に基づいて、行政が費用負担し施行されるので、予防接種による費用対効果など考慮し、予算の中で社会に与える影響の大きいものが優先されて定期接種になってきました。

ここ数年日本でも、行政の子供たちを感染症から守る必要性への認識が高まり、効果安全性の再確認をし(ワクチンが承認された時点で確認できているとは思うのですが)、予算確保・法改正など事務的な手続きを経て、今まで任意接種だったものも順次定期接種化きています。

これから、兄弟などで上の子の時は任意の接種だったので接種していなかったワクチンが下の子では定期接種となり、下の子は接種したけれど上の子が接種していない状態(すでに定期接種の対象年齢外)という事態が起こると思います。お金がかかってしまいますが、是非上の子にも接種できるワクチンがあるのであれば接種を考えてあげて下さい。

皆がワクチンを行うことで、ワクチンにより予防される感染症の発生が少なくなってくると、その感染症が発生しないことに慣れてしまい、ワクチンはもう必要ないのではと勘違いしてしまいがちですが、みんながワクチンを行うことでその状態が維持されていること(ワクチンの効果)を忘れないで下さい。

ワクチンで感染症を予防することは、接種した本人のためであると同時に、病気などでワクチン接種ができない、かかってしまうことで重篤な状態になってしまうリスクが高いなどの人たちを守ることにもなります。

定期・任意と言う行政による区分にとらわれることなく、ワクチンのことを考えてみて下さい。

年度末期限のワクチン接種

2015-03-11 17:08:52 | 雑記
そろそろ卒園卒業シーズンになりました。

4月から新しい年度が始まりますが、今年度末(3月31日まで)に接種期限のワクチン接種は済ませているでしょうか?

4月に小学生入学(3月に卒園)のお子さんは、麻しん風しん(MR)混合ワクチン2期の接種が3月31日までですので、接種していない場合にはすぐにかかりつけに相談して接種を済ませましょう。

水痘ワクチンの3歳から5歳未満のお子さんに対する経過措置による接種の期限も3月31日までですので、今一度確認してみて下さい。

花粉症

2015-03-04 18:34:17 | 雑記
インフルエンザA型の流行はほぼ終息し、今の所B型の流行の気配もありません。
感染症では、溶連菌感染症が多くなっています。

感染症以外では、花粉症症状での受診が増えてきました。
昨年は飛散量が少なかったため症状が軽かった印象ですが、今シーズンは比較的飛散量も多いのでこれから飛散もピークを迎えますので注意が必要です。

今更ですが、花粉症は花粉が原因(アレルゲン)のアレルギー性鼻炎・結膜炎のことで、
花粉症の特別な薬があるわけではなく、抗アレルギー薬などアレルギー性鼻炎・結膜炎の薬で対症的に治療します。

以前にも書きましたが、抗アレルギー薬とは別に昨年10月にスギ花粉症に対する舌下免疫療法の薬が保険適応となっています。ただしこれは今出ている症状を急に治す治療ではなく、花粉飛散シーズン以前から治療を開始し数年に渡って継続することで根本的な体質から改善をする治療で、シーズン以外の時期も症状に関わらず根気よく毎日最低でも3年間(可能ならさらに長期)継続が必要です。
効果は100%ではありませんが、効果がでれば花粉症から解放されます(効果があっても治療中断後再発の可能性もあります)。
毎年強い症状に悩ませれている方が治療を考えてみてもよいのではないかと思いますが、発売後1年間(今年の10月まで)短期処方(14日分)しかできませんので、現実的にはそれ以降の治療開始がよいのではないかと思います。