子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

はしか(麻疹)

2007-04-30 03:36:42 | 雑記
ニュースなどでご存知かもしれませんが、麻疹が首都圏で流行しています。
千葉県内でも中学で集団発生の報告がありました。

以前からお伝えしているように、麻疹は予防接種を徹底して行うことで撲滅可能な感染症です。

ただし、現在の日本では接種が徹底して行われてこなかったため、集団の免疫が不十分なため流行が起こってしまい、流行してしまうと予防接種をしていても(特に接種後年数がたっている場合)麻疹に罹ってしまう人も出て来てしまいます。発生状況をみていると、小学生以上成人を含めた年齢で麻疹の罹患歴がなく麻疹ワクチン接種1回だけしか受けていない場合には再接種をお勧めします。当然、1歳のお誕生日を迎えてまだ接種の済ませていない場合には出来るだけ早く接種(この場合は通常では麻疹・風疹の混合ワクチン)するようにしてください。また、今以上流行が広がるようなら、1歳未満(生後6ヶ月~10ヶ月以降)の乳児でも任意の麻疹ワクチン接種を考慮する必要があるかもしれません(この場合本当なら行政が緊急接種を行ってもれえればよいのですが・・・)。

連休で、人ごみにでる機会が多くなるので、流行が拡大しないか少し心配です。

タミフルと異常行動

2007-04-26 01:28:12 | 雑記
インフルエンザの流行もほぼ終息したようですが、まだ当院小児科外来には1日に1~2人ほどインフルエンザの患者さんが確認されます。

25日に厚生労働省がタミフル服用後に異常行動を起こした例が、今年の3月21日以降新たに59例報告され2001年の販売開始から合わせて186例の報告があったとの発表をしました。

何故この短期間に急に報告が増えたのか?
おそらく、一連の報道により患者さんも医師も敏感になり、今までは気にしていなかったり様子をみて済ましていたような症状を報告するようになったためではないかと思います。

ここで少し気になるのは、異常行動の報告の仕方やその結果の報道発表の仕方が、異常行動がタミフルの副反応であるといったことを前提として行われ、評価が偏ってしまっているように感じることです。
異常行動を評価するにあたっては、タミフル内服の有無に関わらずインフルエンザ全例に対して行わなければならないのだと思いますが、実際にはタミフル内服していない場合での異常行動の正確な評価は出来ていないのが現状だと思います。

インフルエンザ自体は、多くの健康な方にとっては自然治癒する感染症なので、タミフルに副反応の可能性があるのであればその評価がはっきるするまでタミフルの使用を限定的にすることは必要だと思います。

ただ、最近のタミフルの一連の報道などをみていると、情報が一方的すぎて操作されているように感じてしまうのは私だけでしょうか?

予防接種:日本は後進国

2007-04-22 03:00:00 | 雑記
4月20日から23日まで日本小児科学会学術集会があり、
20日に1日だけですがお休みをいただき参加してきました。

最近の話題に接する貴重な機会であると同時に、
以前いっしょに仕事をしていて久しく会わなくなってしまった先生に会う機会でもあります。
当然、観光をかねて参加している先生も多いと思います。

それはさておき、
以前に病院広報誌にも触れた事があるのですが、
日本は予防接種の後進国という話題が学会のなかでも話されました。

国や行政の問題もありいろいろな不満もあるのですが、現状で早急な国や行政の改善を期待する事は難しく、現場である我々が今できることをしっかりと行い、現場の力で国や行政に働きかけながら全ての子どもたち(国民)にとってより良い予防接種環境を作りあげていかなけれはならないのだということを再認識しました。

予防接種の必要性、予防出来る病気は積極的に予防する姿勢、予防接種の有益性を無視するような予防接種の副反応に対する過剰反応、行政機関とワクチン製造企業の日本の現状、などなど多くの問題を含んだ話題でここで詳細に紹介できなのが残念ですが、小児科医だけでなく予防接種を受ける側のみなさんにこそ知っておいて欲しい話題でした。

新年度

2007-04-17 12:29:00 | 雑記
4月も中旬になってしまいました。
小児科の外来は、春休み以降落ち着いた状態が続いています。

この時期になっても若干まだインフルエンザの発生がみられますが、数的には少なく心配するほどではありません。

ちょっと気になるのは、都内で麻疹の集団発生(中学・高校など)が報告されており、
これから時期的に麻疹が増えてこないか少し心配です。

幼児期に麻疹のワクチンを接種していても、学童期以降に麻疹に罹患してしまう事例が増えてきており、
麻疹の根絶に向けて昨年度から小学校就学前に麻疹と風疹の混合ワクチンの接種が新たに開始されました。
ただし、接種率は思ったほど良くない印象があり、接種しないまま定期接種としての時期を逃してしまった方も多いのではないでしょうか?

定期接種としてでなくても任意の接種として麻疹の予防接種はできますので、小学校以上の年齢(成人も含め)で麻疹の予防接種をしていない方は、予防接種を受けれことを推奨します。
詳しくは小児科ホームページに麻疹の予防接種について公開していますので参照してみてください。