子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

これからのワクチン事情

2010-01-24 19:07:29 | 雑記
子宮頸がん予防ワクチンについて前回投稿しましたが、その他の今後のワクチン事情についてお話します。


これから4月までには、乳幼児を対象とした肺炎球菌ワクチンがやっと日本でも導入されることになりました。
肺炎球菌は、髄膜炎といった重症の感染症から比較的一般的な中耳炎といった感染症の原因菌として主要な細菌です。抗生剤に対する耐性を持つ場合には治療に苦慮する場合もあり、肺炎球菌ワクチンは小児科医として待望していました。

実際の接種方法などについては、今後ホームページなどでお知らせしていく予定ですが、このワクチンもヒブワクチンと同様に今のところは任意の予防接種で、費用はヒブワクチンの1.5倍程度になる見込みです(早い時期に定期接種になることが望まれます)。

今後は、DPT・ヒブワクチン・肺炎球菌ワクチンを同時に接種することが標準になっていくと思われます。


もう一つは、来年度(平成22年4月以降)から第1期日本脳炎ワクチンの積極的勧奨接種が再開されることが決定されています。
第2期の接種や平成17年以降続いていた積極的勧奨接種の差し控えにより接種せずに対象年齢を過ぎてしまったお子さんに対する方針はまだだされていません。
大きなニュースにはなっていませんが、昨年(平成21年)は3例の日本脳炎発症報告があり、内2例は小児:1歳(四国)と7歳(九州):でワクチン接種歴はありませんでした。


日本のワクチン実施状況は、世界の中で後進国となっており、できるだけ速やかに国際標準での接種が行われるように多くの小児科医は望んでいます。

子宮頸がん予防ワクチン(サーバリックス)

2010-01-22 21:00:16 | 雑記
子宮頸がん予防ワクチン(サーバリックス)が、昨年12月に発売され、当クリニックでも接種できるようになりました。

なぜ小児科で子宮頸がんのワクチン??と思われる方いるのではなかと思います。

子宮頸がんは、主に発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因となって発症します。
このウイルスにはいくつかのタイプが存在しますが、この中でも子宮頸がん発症の原因として頻度の高い16型と18型の感染を予防するために作られたのが今回のワクチンです。

接種対象年齢は10歳以上の女性で、このウイルスの感染は性的な行為で感染するため、セクシュアル・デビュー(初交)前に接種することが重要と考えられており、11歳~14歳(おおむね中学生)での接種が強く推奨され、小児科での啓蒙・接種実施が重要となってきます。

セクシュアル・デビュー(初交)後の接種に関しても、無意味ということではなく、接種年齢の上限はありませんが接種による免疫獲得状況や子宮頸がんの発症年齢などを考慮し45歳程度までの接種を学会などでは推奨しています。

接種回数は計3回(初回接種、初回後1ヶ月、初回後6ヶ月)で、肩への筋肉内注射となります。
費用は当クリニックでは1回17000円(計51000円)となります。
費用負担は大きいと思いますが、子宮頸がんの発症のリスクを確実に減らせる効果を考えてみて下さい。

ただし、このワクチンで子宮頸がんを完全に予防出来る訳ではないので、がん発症年齢(20歳以上)になったら子宮頸がん検診を受けることも重要になります。

ワクチン接種はお子さんに限らず、お母さんもご希望があれば接種を行いますが、子宮頸がん検診を必ず並行して受けるようにして下さい。

子宮頸がんについては、ワクチン発売元の製薬会社の子宮頸がん情報サイトに詳しく説明がありますので参考にして下さい。

新型インフルエンザワクチン

2010-01-20 10:07:22 | 雑記
県より、1月21日より接種希望者の方全員が接種対象者となる通知が送られてきました。

1歳未満のお子さんにも、十分な効果は期待できないとしながらも希望者には医師の判断で接種が可能という見解も同時に出されました。

明らかにワクチンが余ってきているためなし崩し的な通知と思われます。

状況に応じ方針が変わるのは仕方ないこのだと思いますが、今回は行政が現場の状況を十分に把握出来なかったための結果だと思います。

当クリニックでは、出来る範囲で接種を受け付けていますのでお問い合わせ下さい。
(妊婦の方・65歳以上の高齢者の方の接種は行っておりません)

新型インフルエンザの流行は現在落ち着きを見せていますが、新年に入りまた多少増加する傾向も見受けられます。また、時期は予測できませんがもう一山流行がくる可能性が指摘されています。
来シーズン以降の事を考えても、今接種して全く無意味ということはありません。

危機管理ということを考えれば今接種することが必要ではないかとも思われます。

スギ花粉症

2010-01-17 18:59:55 | 雑記
学校などの集団生活が始まり、インフルエンザで受診されるお子さんが少し増え、今後の動向が気になります。
また、相変わらずウイルス性胃腸炎が流行っています。

そんな中、ちょっと早いようですがスギ花粉症も気になる時期になってきました。
スギ花粉のせいか判りませんが、私自身(スギ花粉症)は鼻水くしゃみが時々でるようになってきました、、、

スギ花粉飛散の情報をみてみると、花粉飛散開始の条件は満たしていない程度の僅かな量ですが、日によって花粉が記録されている地域が関東でも見受けられます。

今年の飛散量は例年の半分程度と予測されていますが、花粉症を起こすには十分な量ではあるので油断は禁物です。2月初旬には飛散開始の報告がされる思いますが、例年症状がひどい方はそろそろ薬を開始する等準備が必要と思います。

インフルエンザの動向

2010-01-13 13:10:20 | 雑記
新型インフルエンザの発生報告は、全国的に減少傾向が続いています。

ただ、沖縄では現在も流行が続いています。
沖縄では、8月に一度流行のピークがありその後一時減少してから、徐々に増加が続き、またここに来て流行のピークを迎えています。

沖縄の状況をみていると、全国的にも新型インフルエンザの流行が、もう一山あるのではないかとも考えられます。

一方、季節性インフルエンザは今の所世界的にみても影を潜めているようです。

年が明けて

2010-01-08 20:35:07 | 雑記
新年からの診療もほぼ1週間となりました。

インフルエンザは、今の所すっかり影を潜めてしまった状況です。

嘔吐下痢を主症状としたウイルス性胃腸炎が多くなっていますが、外来は非常に落ち着いたスタートとなっています。

新型インフルエンザワクチン接種は、現在までの希望者の1回目接種の目処もほぼたち、2回目の連絡を順次行い始めました。

これから予防接種に関しては、任意になりますが2種類の新しいワクチンの導入を予定しています。
1つは子宮頸癌予防のワクチンで、10歳以上の女性が対象となります。もう一つは、乳幼児を対象とした肺炎球菌ワクチンが春までに登場予定となっています。
当院でも導入予定ですので、準備が整い次第ホームページなどでお知らせをしてきます。