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死刑囚

2013-06-05 06:10:00 | Weblog
死刑囚にとって、平日の昼食は、単なる食事ではない。死刑囚は、午前中に執行される。だから、昼食が配られるということは、その日は絞首台に上がらずに済むということだ。

1961年に5人が死亡した名張毒ぶどう酒事件で、半世紀余もの間、無罪を叫び続けている奥西勝死刑囚(87)は、80歳を前に出した再審請求の意見書で訴えた。

<よく人は地獄を見たとか言いますが、私は確定判決以来、地獄の連日で、この33年間の生活は・・・午前中に処刑や獄死を2桁余りも見送るという目にあいました・・・昼食の配給があるとホッとし、それ以外の時間帯は、地獄の中で生きているようなものです>

奥西死刑囚はその安堵の昼食すら、もうまともにはとれない。一年前に肺炎を患ってからは食べ物が喉を通らず、経管栄養に頼る。先月初めには痰がのどに詰まって窒息し、危篤に陥った。

持ち直したのは奇跡的という。命はかろうじてつながれたが、酸素吸入の管を挿入する手術を受けたため、話せなくなっているという。「自分はやっていない」と訴え続けてきた、その声を失ったのだ。

有罪の根拠とされた数々の物証を突き崩してきた弁護団は、裁判のやり直しを速やかに決めるように最高裁に求めている。冤罪の人だけでなく、過ちを犯した司法をも救いうる機会、その機会が永久に失われるかもしれない。