デジカメぶらりぶらり

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棚田

2013-06-03 07:24:19 | Weblog
日本海を見下ろす能登半島の斜面に、数えきれない小さな田んぼが、幾何学的な模様を描きながら連なっている。畳一枚分に満たない田んぼにも、青い苗が風に揺れていた。

石川県輪島市の白米千枚田は、2年前に世界農業遺産に指定された「能登の里山里海」を象徴する場所だ。地すべりに悩まされた斜面を階段状に分けて水田に利用した。

稲作にかれる執念と知恵が美しい棚田に結晶した。国の名勝に指定されたのは1千4枚。高低差50メートルの棚田は人力が頼りだ。田植えや稲刈り、雑草取りには全国からボランティアが駆けつける。

田んぼのオーナー制度も始まった。能登、トキと共生する稲作に取り組む新潟の佐渡に続き、静岡、熊本、大分の3地域が世界農業遺産に登録されることになった。

静岡(掛川市など5市町)では、茶畑の周りの採草地で刈り取ったススキなどを有機肥料に活用する伝統的な「茶草場農法」が高く評価された。「植物は人間がいなくても少しも構わずに生活するが人間は植物が悪くては生活の出来ぬ事である」「つまり人間は植物に向こうてオジギをせねばならぬ立場にある」。

「日本の植物学の父」と呼ばれる牧野富太郎はこんな言葉を自叙伝に残した。農業遺産の共通点は、生態系を次世代に継承しょうとする姿勢である。そこには植物に生かしてもらっている、という謙虚さがある。