デジカメぶらりぶらり

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偽薬

2014-04-29 07:52:50 | Weblog
18世紀末、フランス国王ルイ16世は、当時注目を集めていた「画期的発見」の真偽を確かめるよう、科学者たちに求めた。
天体から発して神経などに作用する「動物磁気」なるものがあって、その乱れで病が起きる。そんな説を提唱した医学者メスメルが、磁気を使った治療の実演を繰り返し、世間を驚かせたていたからだ。
検証にあたった科学者らは、この医学者の治療法を再現してみた。喘息の患者に「磁気を帯びた木」を抱いてもらうと、なるほど発作が起きた。だが実は、これは磁気など帯びさせぬただの木。
再現実験で確かめられたのは「プラセボ(偽薬)効果」だった。「薬と思って飲めば、かたくり粉も効く」とはよく言われるが、たしかに病気によっては偽薬が驚くほど効果を発揮するそうだから、「景気の気、気分の気」と言われる経済ならなおのことかもしれぬ。
黒田東彦総裁の下、日銀が「異次元緩和」に乗り出して1年。株価は上がり、デフレ脱却も・・・とは聞くものの、上がったのを実感できるのは、物価と税金だけ。
痛みが増した気すらするのは、どうしたことだろう。医者が痛みを訴える患者に共感して、きちんと向き合えば、偽薬の効果も増すというのだ。さて黒田医師、安倍医師の手腕は如何。

STAP

2014-04-12 09:56:19 | Weblog
STAP細胞の大発見が公表された時、英国のある科学者はこんな疑問を呈していた。「ではなぜレモンやコーラを口にしても、細胞の初期化は起こらないんだろうか?」

冗談めかした疑問だが、これは根本的な問題提起だ。紅茶程度の酸に浸したりするだけで、どうして万能細胞ができるのか。そんな奇跡のようなことが起きる生命の神秘の深さ。

本当にわくわくする謎への扉を開け、「生物学の常識を覆した」とも称されたSTAPだったが、残念ながらその「世紀の論文」作成のありようは、非常識なまでにずさんだったようだ。

ずさんどころか、実験結果のでっち上げまでもが疑われている。難病に苦しむ患者さんたちに希望をもたらすはずの再生医療に貢献するはずの研究室で、研究倫理そのものの再生が求められるような事態が起きてしまったことは、悲しいしか言いようがない。

西欧の格言に曰く「成功には多くの父がいるが、失敗はみなしごである」。今回の失態を孤児にしてはいけない。

ユカタン半島

2014-04-05 07:34:00 | Weblog
恐竜絶滅という地球史の大事件発生は六千五百五十万年前。被害者は恐竜はじめ動植物の種の五割以上。容疑者は巨大隕石で、直径180キロのクレーターが見つかったメキシコのユカタン半島が現場だ。

では、なぜかくも多くの生き物が一気に死に絶えたのか。千葉工業大学の大野宗祐さん(36)らが実験で確かめた「手口」は衝撃的だ。衝突現場には硫黄を含む岩石が豊富にある。

この岩に隕石と同じ速度で金属の弾を撃ち込むと、硫酸になりやすいガスが生じることを突き止めた。衝突の数日後からタンパク質を溶かす強烈な酸の雨が降り注ぎ、海も酸性化して食物連鎖を下支えするプランクトンすら死滅させたというのだ。

隕石はたまたまユカタン半島に落ちたにすぎない。他の所に衝突していたら、酸性雨は降らず、恐竜の世が続き、人類も生まれなかったかもしれない。今海は炭酸ガスのため酸性化が進んでいる。新たな大量絶滅の危機ともいわれる。この現在進行形の「殺人事件」の犯人がだれかは、捜査するまでもない。