デジカメぶらりぶらり

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生物

2013-01-29 08:09:48 | Weblog
「雪は天からの送られた手紙である」とは、中谷宇吉郎博士の明言だ。雪の結晶の美しさに魅せられた博士は、どんな温度や湿度で、どういう結晶ができるかを調べ上げた。

それにより、雪の結晶を見れば、遥か上空の様子が分かるようなった。雪が天からの手紙なら、星からの手紙は光だ。光をプリズムに通すと、虹色の帯が見える。科学者はこの帯を読み解くことで、星はどんな物質でできているか、どう動くかを解き明かしてきた。

英国の作家サイモン・シンの好著『「宇宙創成」によると、19世紀ドイツの物理学者キルヒホフは、太陽の大気に金など重金属があることを確かめようとした。だが、取引の銀行家は研究に理解を示さない。

「地球にもって来られないというのに、太陽に金があったところで、何の役に立つのです?」。後に、その成果で金メダルを贈られたキルヒホフは銀行を訪れ言ったそうだ。「太陽から得たお金です」。

宇宙創成理論の権威・佐藤勝彦さんが率いる自然科学研究構想が、ハワイに巨大な望遠鏡を造って地球外生命体の探査に乗り出すことになった。地球と似た環境の惑星を探し出し、その星が反射した光を分析すれば、そこに光合成をする生物がいるか分かるのだという。

惑星からの手紙は、宇宙のかなたで生命が生まれていることを知らせてくれるだろうか、便りが、待ち遠しい。



サイコロ

2013-01-27 09:02:32 | Weblog
サイコロの1の目をピンと呼ぶのは、点や1を意味するポルトガル語のPintaが由来だ。そこから転じて、取り分の1割、さらに上前を跳ねること自体をピンハネと呼ぶようになったらしい。

本当の必要経費を差し引くことまでピンハネと決め付けたら真面目な業者に失礼だが、福島の除染現場で起きていることは、まぎれもないピンハネだろう。税金から支出される1日1万円の危険手当を除染作業員に直接渡さずに賃金に合算。

宿泊代や食事代を半ば強制的に天引きすることで、ゼネコンの下請け業者は実質的に作業員に日給千円程度しか支払っていなかったことが、明らかになった。作業員が泊まるのは、下請け業者が国から無料か安く借りた施設だ。

床の抜けた家に押し込められた男性は「人として扱われていない」と憤った。劣悪な環境で働く人たちと対照的なのが、敦賀原発などを所有する日本原子力発電だ。震災以降、原発は稼働していないのに、本年度上半期の純利益は過去最高の約209億円。

東京電力など電力5社の電力購入の契約が続き、基本料計760億円が入ったからだ。稼働していないから燃料費などの経費はかからない。利益だけが拡大するからくりだ。発電していない企業をぼろもうけさせる裏で、電力各社は料金値上げに踏み切ろうとしている。壮大なピンハネである。

最新鋭機

2013-01-21 09:26:54 | Weblog
<二兎を追う者は一兎をも得ず>のことわざが浮かんだ。低燃費で長距離飛行が可能という触れ込みで、日本の航空会社が世界に先駆けて導入した最新鋭旅客機ボーイング787が相次ぐトラブルに見舞われている。

昨秋から燃料漏れやバッテリー火災などが続出。16日には、山口宇部発羽田行き全日空692便が飛行中で煙が発生し、高松空港に緊急着陸した。重大事故つながりかねない深刻な事態である。

アルミニューム合金よりも軽くて強い炭素繊維などを使用し、機体は軽くなった。少ない燃料で長く飛ばすためにエンジンの設計も大幅に変更、油圧ポンプなど装置の多くを電気で動かすようになり、大容量のバッテリーが必要になった。

今回、出火したのは、電気系統のトラブルで昨年秋に交換したばかりのメーンバッテリーだ。「電気の化け物」と専門家が指摘する最新鋭機の弱点があらわになった。日本のメーカーが機体の35%を手掛ける「純国産機」だけに心配だ。

日航、全日空が当面の運航を停止にしたのに続き、米連邦航空局も米国内で運行する航空会社に安全性が確保されるまで運航を見合わせるよう命じた。航空会社の経営には大きな打撃となるが当然の措置である。

<進歩とは反省の厳しさに正比例する>と語ったのは本田宗一郎さん。徹底した原因究明なくして運航の再開はあり得ない。

部活

2013-01-19 07:53:30 | Weblog
<やってみせて/言って聞かせて/やらせてみて/ほめてやらねば /人は動かじ>。山本五十六が残した有名な言葉だ。

米ハワイの真珠湾を奇襲した連合艦隊の司令長官は、日米開戦を防ぐために、日独伊の三国同盟締結に体を張って反対した開明的な軍政家でもあった。百人いれば百通りの教育論がある。

自分の経験が基にあるだけに、信念は簡単には曲げられない。ほめるよりも、叱る方が教育的な効果がある、と信じている人も少なからずいるだろう。大阪市桜宮高校のバスケットボール部の主将が先月自殺したのは、部活の顧問の男性の体罰が原因だった。

自殺の前日には3,40回殴られた、と心配していた母親に明かした。顧問がしたことは教育的指導などでなく、明らかな犯罪行為だ、閉鎖的な学校空間が暴力のはびこる実態を外から見えにくくしている。

複数の教員が体罰を目撃していたが、黙認していたという。過去のいじめ事件から何を学んできたのだろうか、自殺する前日、顔を腫らせて帰ってきた時も、「弁当おいしかった」と母親を気遣う優しい子だった。

主将でなければ、強豪校でなければ、常軌を逸した暴力にもっとサインを出せたのではないか。そう考えると、やりきれない、ほめられ、叱咤されて伸びる才能はあろう。踏みにじられて伸びる芽はない。

記者

2013-01-17 10:06:43 | Weblog
その昔の中国では、身分の高い人々は不老長寿の薬と信じ、水銀化合物を服用していたようだ。毒を体内に取り込んだ唐代の歴代皇帝20人のうち、水銀中毒で命を縮めたという。

「現代の皇帝」ともいえる総書記が頂点に君臨する中国共産党にとって、自由な報道は体制を揺るがしかねない毒なのだろう。広東省の週刊誌「南方週末」の記者たちが、同省共産党委員会宣伝部に対する抗議ストライキに踏み切ったのは、記事の差し替えがきっかけだ。

新年特別号に記載される予定だったのは、憲法に基づく民主政治の実現を訴える記事だった。宣伝部の支持を受け、中国の発達を強調する内容に差し替えられたという。共産党の管理下にある中国メディアで、記者が抗議ストに踏み切るのは異例中の異例だ。

「記者は皆、怒りに震えている」。記者を支持する市民も近くに集まり、「われわれには言論の自由が必要だ」などと訴えた。共産党中央宣伝部は、海外の敵対勢力が介入しているという通知を出し中国メディアを牽引したが、彼らを突き動かしたのは、ジャーナリストとしての矜持(きょうじ)だろう。

ストは収束に向かい、記者は処分されないという。自由な報道は体制維持には毒であっても、長い目で見れば良薬である。

無罪

2013-01-15 08:06:03 | Weblog
想像するのも難しいが、少し考えてみていただきたい。あなたは独裁政権によって、あらぬ罪を着せられ、死刑判決をうけた。

重い病にも苦しんでいる。監禁先の病院を突然、外国人が訪れて言う。「ここに、あなたを死刑にするなという趣旨で、世界中から集めた署名があります」。地獄に垂らされた糸を見る思いになるだろうか。

いずれにせよ冷静ではいられないはずだ、反骨の哲学者・鶴見俊輔さん(90)が言っている。「もし私だったら、サンキュー、サンキューぐらいが関の山でしょう」。

だが、その無実の死刑囚は違った。彼は思わぬ訪問者に驚きつつも片言の英語でこう語ったという。「あなたたちの運動は、私を助けることはできないだろう。しかし私は、あなたたちの運動を助けるために、署名に参加する」。

鶴見さんが1970年代、独裁政権下の韓国を訪れた時に、体験した話だ。どんなに絶望的な状況でも、冷静に、こびずへつらわず、礼儀と相手を思いやる心を忘れない。この死刑囚こそ、韓国民主化運動を象徴する抵抗詩人・金芝河(キムジハ)さん(71)であった。

その詩人が死刑宣告から39年ぶりに、かつて自分を弾圧した朴正熙(パク・チョンヒ)大統領の娘、朴槿恵(パククネ)さんが新大統領に選ばれた直後の無罪判決。恩讐から和解へ、時代の針が進んだのだろう。

所得税

2013-01-13 07:24:15 | Weblog
ソ連時代のロシアに確か、こんなアネクドート(小話)があった。あの世の下見に出掛けた男の話だ。

何とそこでは、品のなさで批判が悪かったソ連のフルシチョフ首相が、「フランスのマリリン・モンロー」と称される女優ブリジット・バルドーさんと楽しくやっている。

男が「何てことだ、フルシチョフでさえ天国にいけるのか!それなら俺でも」と言うと、あの世の番人がたしなめた。「勘違いするな。ここは男の天国ではない。女の地獄だ」。

78歳になったバルドーさんが、“ロシア亡命”を考えていると聞いたら、あの世のフルシチョフ氏も仰天するだろう。動物愛護活動家として知られるバルドーさんは、仏リヨンの動物園で飼われている象が病気のため殺処分されるのに怒って、「象を殺すなら、動物の墓場と化したフランスを去り、ロシア国籍を取る」と、息巻いている。

一足先には、俳優ジェラール・ドパルデューさん(64)が、仏新政権の富裕層増税に反対してロシア国籍を申請、プーチン大統領に歓迎されている。仏の富裕層への税率は75%で、ロシアの所得税13%。

ロシアの副首相は「金持ちの欧州人がどんどんロシアに来るだろう」とほくそ笑む。かつてソ連の反体制文化らは自由を求め、西欧に亡命した。今や西欧の金持ちがロシアに逃れる。事実はアネクドートより奇なり。

年末年始

2013-01-11 09:29:39 | Weblog
年末年始、東京の鉄道の車内や駅で妙なポスターがあるという。2020年の夏季五輪を東京に招致できたら、これをやります、というスポーツ選手やタレントの決意表明である。

<招致できたら、銀座のホコ天でサッカーの試合をやっちゃいます>(女子サッカーの澤穂希選手)<8年後、止められても出ます>(女子レスリングの吉田沙保里選手)はともかく、テリー伊藤さんの<欧米人に負けないよう、胸毛を植毛します>は笑えないギャグだ。

9月に結論が出る招致レースはいよいよ本番に突入した。20年の五輪開催を目指す招致委員会は先日、猪瀬直樹都知事らが記者会見し、開催計画を説明する「立候補ファイル」を公表した。

最大のライバルはイスタンブール(トルコ)。「イスラム圏で初の開催」という大義名分はかなり手ごわい。東京は選手村から半径8キロ圏内に競技会場の85%を収めるなど、費用を抑えたコンパクトな五輪を打ち出した。

開催意義として、東日本大震災からの復興は以前ほど強調してはいないが、サッカー1次リーグを宮城県のスタジアムでも実施するという。<東京招致を実現させて、スポーツのチカラで日本の子ども達を元気にします>。

猪瀬知事は招致ポスターでそう誓っていた。今回も最大の課題は世論の支持である。あのポスターが逆効果にならなければよいのだけれど。

2013-01-09 07:28:46 | Weblog
20人の児童を含む26人が犠牲になったコネティカット州ニュータウンの銃乱射事件。事件の直後、銃規制に強く反対する全ライフル協会(NRA)が、「二度とこういうことが起きないよう、有意義な貢献する準備がある」との声明を出した。

ついにNRAも規制に与する時が来たかと思っていたら、違った。事件から一週間後に記者会見したNRAの幹部は言った。「銃を持った悪人を止められるのは、銃を持った善人だけだ」「全米のすべての学校に、銃を持った警備員を配置すべきだ」。

NRAの頑なな態度の背後にあるのが、銃を規制しょうとするのは、それこそ独裁者の所業という主張である。日本人には理解しがたいが、米国は銃を持った市民が先住民たちから土地を奪い、独立戦争を闘って、礎を築いた国。銃は、まさに独立と自由の象徴なのだろう。

だが今、自由を守るという名目で、不必要なまでに高性能な銃が得られ、子どもたちまでもが次々犠牲になっていく、銃の犯罪を防ぐために、より多くの銃があふれ、武器産業が潤う。ニュータウンの悲劇は、そんな米国の歪んだ姿を変えられるのだろうか。

憲法

2013-01-07 09:09:00 | Weblog
父親が反対したら、好きな人とも結婚できない。自分から夫に離婚を申し出ることもできない。貧しい農家では、家族のために少女が身を売っている・・・。

世界的なピアニストを父に持ち、5歳から15歳まで戦前の日本で暮らしていた米国人の女性は、家制度に縛られた日本女性の苦しい立場をよく理解していた。連合国軍総司令部(GHQ)民政局に配置された憲法草案制度会議の一員として、日本の新憲法の起草にかかわり、草案翻訳にも通訳として加わったペアテ・シロタ・ゴードンさんである。

当時22歳。唯一の女性スタッフだったゴードンさんが任されたのは、男女平等や社会福祉に関する条項の起草だった。男女の平等は「日本の文化に合わない」と主張する日本側と激論の末、個人の尊厳と両性の平等を定めた24条として結実したことはよく知られている。

晩年にしばしば来日し、憲法制定にかかわった自らの役割を明らかにしてきたゴードンさんが昨年暮れ、ニュヨークの自宅で亡くなった。89歳だった。2000年5月に参院憲法調査会に招かれ、意見陳述した際、長く沈黙を守った理由を、「憲法を改正したい人たちが私の若さを盾にとって改正を進めることを恐れていた」と語っていた。

だれが起草しょうとも、24条はすでに普遍的な理念として、私たちの中でしっかりと息づいている。