デジカメぶらりぶらり

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遠隔操作

2012-10-30 07:49:11 | Weblog
<警察・検察の方へ、遊んでくれてありがとう>。「犯行声明」の結びの言葉に、かつて社会を震撼させたグリコ・森永事件の犯行グループを重ねた人も少なく無いだろう。

「かい人21面相」を名乗るグループが毒入り菓子をばらまいて、企業に脅迫状を送ったのは30年近く前。警察を翻弄したこのグループは最初の挑戦状で「けいさつの あほうども え・・・」と挑発した。

他人のパソコンを遠隔操作して、犯罪予告を送り付けた真犯人は「『警察・検察を嵌めてやりたかった、醜態を晒させたかった』という動機が100%です」と犯行声明に書いた
捜査機関を嘲笑する態度は、かい人21面相とよく似ている。

冤罪をつくらせた後、自ら報道関係などに名乗り出て威信を失墜させるー。そのもくろみは当たった。神奈川県警などに続き、警視庁も先日、刑事部の幹部が福岡市の男性に誤認逮捕を謝罪した。

真犯人しか知らないはずの詳細な動機を上申書に書いた人もあり、ずさんな捜査が白日の下にさらされた。匿名の海に逃げ込んだ者を特定する捜査は困難が予想され、ほくそ笑む真犯人の姿が浮かぶ。

個人の要求を満足させるため他人を踏み台にする。そんな卑劣な犯罪は許してはならない。同時に、かくもたやすく市民を冤罪に巻き込む捜査機関の体質は、第3者の目によって厳しく問われなくてはならない。  



テミス

2012-10-28 06:47:54 | Weblog
ギリシャ神話の女神テミスは正義を司る。右手に剣、左手に天秤。正邪を厳密公正にはかり、断を下す。司法の象徴として、その像は最高裁の大ホールにも鎮座している。

さすがに、その秤の傾きのひどさに、腹を据えかねたのだろう。最高裁が、前回の参院選での一票の格差は「違憲状態」だと断じた。何しろ、鳥取と神奈川では、一票の重さが5倍も違う。

どんな秤で量っても同じ重さとはいえまい。選挙のやり直しまでは命じなかったが、都道府県を選挙区にする制度自体見直しにまで踏み込んだ。少数意見ながら「このままなら次の選挙は無効」とまで指摘した判事もいた。

慎重居士の最高裁が珍しく踏み込み、その剣先を、国会議員の首筋で寸止めしたような様相だ、参院選での格差もすでに、違憲状態だと断じている。立法府がまるごと「ほぼ憲法違反の体」というのは、余りにたちの悪い冗談だ。

加えてややこしいのは、この異常な事態を解消しうる権限を持つのも、違憲状態の選挙で選ばれた議員たち、ということだ。「国会は国権の最高機関」と憲法は謳う。『字通』によれば、「権」という字には元来、秤のおもり、という意味がある。

国の「おもり」がいい加減では、適確な判断も期待できな。国会議員がこのまま選挙制度の秤を正さねば、司法の剣が、議員の首を断つことになる。

漁船

2012-10-26 06:49:06 | Weblog
巨大な漁船は今も、港から500メートルも内陸に乗り上げたままだった。津波で宮城県気仙沼港から流された巻き網漁船「第18共徳丸」。周囲にあった大量のがれきは撤去され、雑草の中でコスモスが秋風に揺られていた。

教訓を伝える震災遺構として、漁船を保存し一帯を復興記念公園にする構想もあるが、所有者は解体したい意向を伝えている。つらい記憶がよみがえる、という反対意見も根強い。

震災で建物が損壊し、来年4月に2年ぶりに全面開館するリアス・アーク美術館は、気仙沼市と南三陸町の被災地で収集した「被災資料」を展示する常設展の準備を進めている。ねじ曲がったH形鋼、折れた電柱、泥まみれのぬいぐるみ、土砂が詰まった洗濯機・・・。

津波の破壊力を伝え、暮らしの記憶がにじみ出る約250点を学芸員が集めた。「私たちには“がれき”ではない。何を失ったのかをはっきりと語りかけてくる被災資料なのです」。

自身も自宅を流された学芸課長の山内宏泰さんは語る。見つめていると、その家族の物語が浮かび、涙がでることもあったという。震災の翌日から撮り続けてきた約2万8千枚の写真の一部も常設展で展示する。

被災地を覆い尽くしたがれきが消えた今、貴重な展示である。失われた暮らしを確認し、世代を超えて津波の記憶を伝えてゆく使命を美術館が担おうとしている。

ニート

2012-10-24 07:59:44 | Weblog
ニート。仕事もせず、教育も職業訓練も、受けていない若者らのことだ。数年前に流行語になったが、今は『現代用語の基礎知識』にも載っていない。

そのニートが世界で6億人以上もいるという。かつてのベストセーラー『世界がもし100人の村だったら』にならえば、100人のうち9人ほどがニートだ。村の将来はどうなるのか、心配な数字だ。

世界銀行が先日、各国の労働実態をまとめた。失業中で職探しをしている人は、2億人、失業していて職探しをあきらめた人は、20億人近く。つまり100人のうち31人は仕事がない。

1億人以上の子どもが危険な環境で働かされ、2千万人は強制労働の犠牲になっている。世界保健機関(WHO)が出したデータにも驚かされた。世界で、少なくとも3億5千万人が、うつ病の患者とみられるという。

100人のうち5人がうつに苦しんでいる。世界で毎年100万人近い人が自殺し、その半数以上が、うつ病患者だともいう。『世界がもし・・・』には、こんなことも書かれている。

100人のうち20人は栄養が十分でなく、1人は死にそうなほどだ。なのに、15人は太りすぎ。村で大学に行けるのは1人だけで、14人は字が読めない。矛盾に満ちた世界村の100人のうち日本人は1,8人にすぎない。

しかし、なすべきこと、できることは、たくさんあるはずだ。

戦闘

2012-10-22 07:07:30 | Weblog
人間が人間を撃つ。おぞましい行為だ。敵を撃ち殺すことを任務とする兵士にとっても、それは変わらない。元米陸軍士官学校教授のグロスマン氏の著書『戦争における「人殺し」の心理学』には、信じ難いデータが載っている。

第2次大戦中の戦闘で米軍のライフル銃兵ののうち敵に発砲していたのは、5人に1人しかいないというのだ。軍にとって由々しき事態だ。多くの歴史研究がなされた。しかし、南北戦争や第一次大戦でも、傾向は一だった。兵の多くが、あるい発砲せず、あるいはわざと的を外したとしか思えない殺傷率だった。

戦場においてすら、人の心は、人を撃つことに抗うものだ。だが、ベトナム戦争では10人のうち9人以上は発砲するまでになった。訓練法を変えたからだ。野原に置かれた円形の的が、物陰から飛び出す人型の的になり、ただちに成績が示されるようになった。

反射的、瞬間的に人を撃つことをたたき込んだ。要するに、この訓練の原理は、ある種のテレビゲームと同じだと、グロスマン氏は指摘する。<ベトナムで発砲率を4倍以上に高めるのに使われたのと同じ道具が、いま一般社会で広く使われている>。

米国留学中の高校生、服部剛丈君が射殺されて20年。人が人を撃つことへの心の壁。それを壊す術を、子どもが家庭で身に付けてしまう時代になってしまった。

ガラス

2012-10-20 06:51:00 | Weblog
今から百年ほど前、フランスの科学者が実験室で、ニトロセルロースという化学物を入れたフラスコを落とした。破片は飛び散らなかった。彼はただ、それを棚にしまい込んだ。

この化学者がある日、事故を目撃する。当時の車には板ガラスが使われていて、若い女性が砕けたガラスでひどい傷を追っていた。研究室に戻った彼が、例のフラスコを取り出し考えたのが、割れても飛散しない安全ガラス。

多くの人の命を救う技術の誕生だった(『天才科学者のひらめき36』創元社)失敗を、糧にする。目の前で苦しんでいる人がいたら、役立つ技術を考えようとする。多くの科学者、技術者たちは、そうやって偉大な成果を挙げてきた。

「脱原発は日本経済にマイナス」と、大企業を束ねる経団連は主張し続けるが、愛知中小企業家同友会のアンケートでは、6割が脱原発支持だ。「原発ゼロは日本経済にプラス」と、答えた人も3割超。多くの経営者たちが、今こそ新エネルギー技術開発の好機とも考えている。

安全ガラスは割高なため、なかなか車に装備されなかった。自動車王フォードが新車の開発に取り組んでいた時、部下がガラス片で大けがをした。経営者が事後をわが身のことと考えて、ようやく導入された。

日本の大企業経営者は、福島の惨事を、まだ他人事と思っているのだろうか。

マララ

2012-10-18 06:49:15 | Weblog
14歳のマララさんは、パキスタンで一番有名な少女だ。新聞の一面に、その名前と写真が載っている。先日、北西部スワト渓谷にある学校で、生徒らを乗せたバスに男が乗り込んできた。

「どの娘がマララだ?」。男は彼女と友だちに銃弾を浴びせた。スワトは「東洋のスイス」と呼ばれた美しい地だった。だがイスラム原理主義勢力のタリバンが勢力を伸ばし、政府軍との戦場になった。

11歳だったマララさんは「矢車草」というペンネームで、ブログを書き始めた。戦火におびえる生活。女子教育を禁止するタリバンの支配でも消えない学習への意欲。国内外で、反響を呼んだ。

有名になったマララさんを、タリバンは標的リストに入れた。しかし、「怖いけど立ち向かっていく」と屈しなかった。スワトや隣接するアフガンでは、女子校が焼き打ちされたり、生徒らに硫酸がかけられる事件が絶えない。

アフガン女性課題省で働いた経験がある、国際協力機構の久保田真紀子さん(43)は「それでも、タリバンの目を逃れひっそり開かれる寺子屋のような女子校が無数にある。声が出せなかった女性たちが、少しずつ声を出すようになっている」と話す。

少女の容体は、危険な状態にある。マララという名は、侵略者との闘いで、戦士を鼓舞し続けた伝説の女性にちなむという。小さなヒロインの回復を祈る。

宇宙の旅

2012-10-16 07:02:59 | Weblog
世界的に活躍する英ソプラノ歌手サラ・プライトマンさん(52)モスクワ市内で記者会見し、ロシア宇宙船ソユーズに搭乗し、国際宇宙船ソユーズに搭乗し、国際宇宙ステーションへの観光旅行をすると発表した。

ブライトマンさんの事務所によると、プロの歌手として初めて宇宙から歌声を地球に届ける予定。会見に同席したロシア 宇宙庁幹部は「2015年10月」に出発し10間ほど滞在する可能性が高いと述べた。

ブライトマンさんは「宇宙への旅がしたいという極めて強い思いを、長い間抱いていた。私は単に夢見る人ではなく、夢を追う人間だ」と述べた。また、自身の宇宙飛行は地球環境問題に対する啓発や女性の自然科学分野への進出、教育の促進といった意義があるとの考えを示した。

米スペースシャトルが昨年退役した後、ソユーズはステーションに行く唯一の手段で、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられる。ブライトマンさんは、今夏、モスクワの宇宙飛行士訓練施設で飛行訓練を受ける上で健康上、問題ないとの承認を得た。

これまでにソユーズで同ステーションに行った観光客は女性1人を含む計7人。ロシア通信は、観光費用は3千万~4千万ドル(約23億~31億円)で、船外に出る“オプシヨナルツアー”は千5百万ドルの追加料金がかかるとしている。
 

DNA

2012-10-14 06:53:06 | Weblog
DNA型は指紋と同様、個人を識別する確実な手がかりだ。現在では、4兆7千億人に一人以上の確率で識別可能らしいが、操作に導入された当初は鑑定の精度は低かった。

そのころ起きた冤罪が足利事件である。血液型が同じ条件で一致する確率は800人に1人。「最新の科学鑑定」と過信した操作の誤りによって、無実の17年間も獄中につながれた。

2人の男性が今、サイバー犯罪の操作で冤罪に巻き込まれている。パソコンの「住所」であるIPアドレスを特定し、警察は逮捕に踏み切ったが、第三者が二人になりすまし、殺人予告メールなどを送信した疑いが浮上したという。

パソコンは「遠隔操作型ウイルス」に感染、外部から乗っ取られた可能性が強い。空き巣が悪さをしたのに住人が犯人にされたという構図だ。大阪府警に逮捕された男性は著明なアニメ演出家で容疑者として実名報道された。

赤の他人のパソコンを意のままに動かし、殺人予告メールの犯人に仕立て上げる。専門知識を悪用した卑劣な犯罪の被害者に、誰がなってもおかしくない。持ち主が特定される自分のパソコンを使って、殺人予告メールなどを送るのだろうか。

捜査員だって素朴な疑問を抱いたはずだ。サイバー犯罪の操作は技術の進歩といたちごっこだ。捜査能力への過信は冤罪の温床になると、肝に銘じてもらいたい。



官僚

2012-10-12 07:25:16 | Weblog
日本官僚は本当に賢い。もちろん、その前に「ずる」という接頭語がつくのではあるが。一見、分かりにくい法律や行政文書の中に短い文書を忍び込ませ、我田引水の解釈をすることなど朝飯前だろう。

被災地の再建とは無関係の事業まで、復興予算が使われた実態が次々に明らかになってきた。核融合エネルギーの研究費に42億円、調査捕鯨業に23億円、東京の国立競技場の補修に3億3千万円・・・。被災地以外の官庁の庁舎補修にも、巨額の費用が投じられたようだ。

これも、政府が昨年7月にまとめた復興基本方針に「豊かで活力ある日本全体の再生を実現する」という短い文言が加えられた成果である。復興予算は、各省庁が分捕り合戦をする草刈り場と化した。

被災した中小企業を支援する補助金の交付を求めたグループの約63%が、「国の予算が足りない」などの理由で申請を却下された、と報じられている。本当に必要な資金が被災地に回らなくて、なのための復興予算なのか、本末転倒である。

25年間に及ぶ増税を国民が許容したのは、予算が被災復興に絞って使われると信じていたからだ。官僚は「政府方針の通り」の一点張り、誠実さのかけらもない。国の役人に誠実さを求めるのは、八百屋で魚を求めるようなものかもしれない。

官僚のやり放題を許している政治の責任は重い。