デジカメぶらりぶらり

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スマイル

2012-07-31 17:17:00 | Weblog
「スマイル五輪」があれば、この人は金メダリストだろう。アーチェリー女子団体で、銅メダルを射抜いた蟹江実貴さん(23)の笑顔は何とも、ほんわかしている。

相手が先行し迎えた3位決定戦の、心のわずかな揺れが勝負を左右する最終盤。テレビを見ていても顔が強ばるような緊張の場面で、柔らかい笑みが浮かぶ。そのえくぼを見ていると、こちらまで肩の力が抜ける。

「力のある選手を集めただけでは勝てない。この3人には助け合う精神があった」と監督。その象徴がミスをしても笑顔で励まし合う姿だった。「笑って終わろう」と言い続け、銅メダル。

夏の朝、日本中に勝利の笑顔をおすそ分けしてくれた。重量揚げ女子53キロ級の八木かなえさん(20)は、初出場で12位。「(型が)決まったら落ちるわけない。ムスっとしないで笑え」というコーチの教えを守り、大舞台でも109キロもあるバーベルを持ち上げて、にっこり。

その笑顔も「スマイル五輪」なら表彰台だ、メダリスト一家の重圧、減量苦、持病の関節痛。重量挙げ女子48キロ級の三宅宏実さん(26)は三度目の五輪で、ついに銀メダルを手にした。

控えめで、たくましさがにじむ笑みが、お父さんにそっくりだった。父娘で同じ笑顔を浮かべるための12年。長く待ったかいのある、美しい笑顔だった。きょうはロンドンからどんな笑顔が届くだろうか。

移籍

2012-07-29 06:06:00 | Weblog
昨年、日本でもヒットした米映画「マネーボール」に、印象的な場面があった。ブッラド・ピットさん演じる球団のゼネラルマネージャーが、主力選手にトレードを言い渡すシーンだ。

通告を受けた選手は顔色も変えず、ロッカールームでさっさと荷物を求めて去ってゆく。必要としてくれる球団があるなら、応じるのは当たり前というビジネスライクな表情。どこかウエットな部分が残る日本球界と文化の違いを感じた。

マリナーズに11年半の間、在籍したイチロー選手が23日、電撃トレードでヤンキースに移籍した。「背番号31」は慣れ親しんだシアトルの球場でいきなり古巣と対戦し、ヒットを放った。

シーズン半ばでのトレードにもたまげたが、若返りを図るチーム事情を考えて、イチロー選手自らが移籍を申し出たという事情にも驚かされた。昨年は初めて打率3割を切り、今季も低迷していた。

鍛え抜かれた38歳の肉体にも、確実に衰えが忍び込み、球団の評価も厳しくなっていた。「環境を変えて刺激を求めたい」。その言葉通り、ワールドシリーズ制覇を義務付けられる名門の重圧が、全盛期の輝きを取り戻すきっかけになれば、ファンとしてもうれしい。

<久方のアメリカ人のはじめにしベースボールは見れど飽かぬかも>正岡子規。躍動するイチロー選手の姿は見ていて飽きることはない。

大記録

2012-07-27 06:31:07 | Weblog
少々疲れ気味の中年世代を励ますような大記録が生まれた。広島県福山市営競馬所属のモナクカバキチ(オス、13歳)が通算55勝目を挙げて、地方競馬の歴代最多勝記録を塗り替えた。

カバキチは人間なら50代。今年2月に地方競馬通算3千勝を最高齢で達成した岡崎準騎手(51)が騎乗し一番人気で出走した。ゴール間際で先頭をかわすと、観客が拍手喝采を送ったという。

プロ野球界も「中年の星」が光る。中日の山崎武司選手(43)は一昨年、今季初本塁打を放ち、球団最年長記録を更新した。先日も活躍し今季初のお立ち台に。

中日の3,4,5番はなんと3人とも40代だった。球界では、40代でも現役を続ける選手が確実に増えている。負傷を避ける練習の工夫など、理由はありそうだが、前中日監督の落合博満氏は自著「采配」でこんな視点を示している。

「スポーツ医学やコンディショニングが目覚ましく進歩したのも一因になるだろうが、最も大きな理由は下(若手)からの突き上げが弱くなっていることではないか」。冬の2カ月間は、監督、コーチが若手選手を一切、指導できなくなったため、成長が穏やかになったという推測である。

スポーツに限らず、若手がベテランを脅かす組織は強い。伸び盛りの若手に負けまいと、経験に裏打ちされた技に磨きをかけた時、星はさらに輝きを増す。

サマワ

2012-07-25 07:30:04 | Weblog
生きていればもう19歳。あの子は、どうしているだろうか。地一位のマイツシュさんは言っていた。「この子に将来はない」。イラク南部サマワ。自衛隊が復興支援していた町の病院で、11歳のボシュラさんに会ったのは、8年前のことだ。

父親と一緒に羊を追っていて、不思議なものを見つけた。黄色くてリボンがついていた。おもちゃかと拾った瞬間、手が吹き飛んだ。娘のベッドの傍らで、父は「娘はいつもお嫁さんになりたいと言っていた。夢はかなうのか」と、うめいていた。

少女の両手を奪ったのはクラスター爆弾子弾だ。クラスターは英語で花や実の房のこと。一つの大きな房のような爆弾から、何百もの爆弾の実が飛び散る。人間を一度にたくさん殺すのには、実に効果がいい武器。

今は、子どもまで無差別に殺傷する兵器として禁止する条約もできた。この爆弾を、シリア政府軍が使った疑いが出ている。亡命したアサド政権の幹部は、軍が反対勢力鎮圧のため、化学兵器を使う恐れがあるとも警告している。

シリアの内戦は、大量破壊兵器の使用を心配するところまで来てしまっている。最悪の軍とは、弱い軍隊ではなく、国民に銃口を向ける軍隊だ。チェチェンやチベットで国民に銃を向けていたロシアと中国が、国連安保理でシリア制裁をかたくなに拒んでいるのは、ただの偶然なのか。

商人

2012-07-23 06:30:24 | Weblog
<世間をひろく見渡すに、欲で商いをする者はたとえ成功しても小さくしか成功せず、かりに大きく成功しても小さくしか成功せず、かりに大きく成功してもすぐほろぶ>。

司馬遼太郎さんの小説「菜の花の沖」のモデルである江戸後期の豪商高田屋嘉兵衛は、「欲」と「利」の違いを配下の者たちに言い聞かせてきたという。利を追うのは商人の本能だが、我欲が強ければ目が曇る。

淡路島の貧しい農民から回船業者に。やがて幕府の「蝦夷御用船頭」に任じられ、北海度開拓の礎を築いた男の戒めだ。我欲で目が曇っていないか、と電力会社の姿勢に思う。

東京電力や関西電力が原発再稼働に固執するのは、廃炉によって発電所の資産がゼロになり、債務超過に陥るのを恐れているからだ。なのに「電力不足」ばかり言い募る。関電の原発の比率は約5割。

地震列島でそこまで比率を高めたのは経営判断の誤りだろう。その責任に頬かぶりし、計画停電を持ち出して利用者を脅かす姿は醜悪だ。東電の再建策には再稼働を前提とした資金調達案が盛り込まれた。

巨額の債権を持ち、再稼働を求めている大銀行は不良債権の処理で欠損を出し、10年以上、法人税を納めていなかった。東京・代々木公園で先日開かれた「さようなら原発10万人集会」には主催者発表で17万人が集まり、全国各地でも脱原発を訴えるデモがあった。欲に迷う商人たちに声を聞かせたかった。

通信簿

2012-07-21 07:31:16 | Weblog
「ひどい出来だ。彼は、まったくやる気を見せない」。12歳のミルン君は通信簿に、こう記された。少年は、のちに名作童話「くまのブーさん」を書き、世界中の子どもたちを喜ばせることになる。

死して32年、今なお人々の心を歌で揺さぶり続けるジョン・レノン。学校の先生は、ジョン少年を見捨てていたようだ。「失敗への道を着実に歩んでいる。望みはない」。英国の名宰相チャーチルは、9歳の時「他の子と、トラブルばかりを起こす」「大変に能力はある。だが、彼には意欲というものがない」と評された。

学科もひどく、親がめまいを感じずに見るのは難しい通信簿だ。そのチャーチルを選挙で破って、首相となり「揺りかごから墓場まで」と称される福祉国家を築いたのが、アトリー。13歳の時の評価は「彼は物事を考えて、自らの意見を形作る」と上々だが、「うぬぼれが強くて、他人の意見をきちんと聞こうとしない」と、手厳しい言葉も記されている(C・ハーリー編『could do better』).

多くの学校で終業式がある。子どもたちは通信簿を手に家に帰ってくる。きっと、ドキドキしている。怒られるんじゃないか、と泣きたい気分の子もいるだろう。けれど、ミルン君やチャーチル少年を思えば、何てことない。

本当の才能を記すには通信簿はあまりに薄っぺらいのだから。


大雨

2012-07-19 06:48:38 | Weblog
テレビの映像は築後川の濁流が堤防を乗り越えて、建物や田端をのみ込んでいく様子を生々しく伝えた。30人が死亡、行方不明なった九州北部の豪雨で、福岡など4県は約8万5千世帯、24万人に避難指示を出した。

暖かく湿った空気が、舌のような細長い形で流れ込んだ「湿舌」の現象によって、記録的な豪雨がもたらされたという。東日本大震災で津波の高さを段階的に引き上げた反省から、気象庁は「これまでに経験したことのない大雨」という強い表現で警戒を呼びかけた。

そのことで救えた命があったのだろうか、湿舌が原因の集中豪雨は「姿なき台風」とも呼ばれる。「全国どこでも、同様の大雨が降ってもおかしくない」という警告を厳しく受け止めたい。

記憶

2012-07-17 06:16:22 | Weblog
子どものころの記憶は、写さなかった写真のようなものである。と向田邦子さんがエッセーに書いている。

楽しいことも、悲しいことも、何かのきっかけで同じ引出しから飛び出してくる。封じ込めたい記憶も同じだろう。陰湿ないじめを受けた経験がある人なら分かるという。

いじめ自殺のニュースに接すると、何十年も前の出来事であっても、さまざまな場面が写真のようによみがえり、金縛りのような感覚に襲われることを、大津市で昨年秋、中学2年生の男子生徒が自らの命を絶った。

市教委は在校生へのアンケートで寄せられた情報の多くを公表せずわずか3週間で調査を打ち切った。中には、「自殺の練習」をさせられていたという情報もあった。東京中野区で26年前、自殺した中学2年生の男子生徒が、いじめグループに強要された「葬式ごっこ」を思い出した。

「さようなら」と書いた色紙には級友だけでなく、担任教師らも寄せ書きをしていた。踏みつけた者は忘れても踏みにじられた記憶は消えない。いじめに遭っている子どもは、家族には自分の弱さを隠そうとする。

周囲にいる誰かが、心の叫びに気付くしかない。

夜空

2012-07-15 07:35:50 | Weblog
夜空を見つめて、きぼうの光を探す。日本の実験棟「きぼう」がその一部を成す国際宇宙ステーション(ISS)を観測するのだ。

宇宙航空研究開発機構のホームページで時間と方向を確認しさえすれば、肉眼で見える。サッカー場ほどもあるISS は、大きな太陽電池パネルを広げる。それが陽の光を反射し、時に金星よりも輝く。

飛行機より遠く星よりは近い独特の高さで夜空を横切っていく。その輝く点の中にも人間の営みがあるかと思うと、愛おしさすら湧く。宇宙への思いは心をわくわくさせる。しかし、気になることがある。

日本の宇宙開発は、法で、「平和のため」と限定されてきたが、その条件を削った法改正が先月の国会で成立した。この時、原子力基本法も改定されて「安全保障に資する」と盛り込まれた。

同じものでも平和目的ならロケット。攻撃に使えばミサイル。宇宙と核、二つの技術が結び付いたのが核弾頭を積んだ大陸間弾道ミサイルだ。まさか、とは思う。だが、わざわざ法改正したのはなぜか。

納得のいく説明を聞かない。15日には、星出彰彦さん(43)がソユーズ宇宙船で飛び立ち、秋までISSに滞在するから、夜空を見てほしい。

政党

2012-07-13 07:05:55 | Weblog
英国の名宰相チャーチルといえば、20世紀の保守主義を代表する政治家だが、若いころは選挙で幾度苦汁をなめた。33歳で商務長官になった直後に、落選したこともある。

所属する保守党が保護貿易主義的な関税政策を打ち出した時は、反対して党内で孤立し、野党の自由党に鞍替えした。自由党員として古巣を批判していわく<自由党というのは政党ではない。あれは共謀そのものである。

3年前の夏、総選挙で国民の多くは民主党に「政党」の姿を期待した。広辞苑を引くと、政党とは<共通の原理・政策の実現のために、政権の獲得あるいはそれへの参与を企画する団体>とある。

明確な公約は示さず、当選すれば白紙委任されたかのように振る舞う。派閥抗争に明け暮れ、政策は官僚機構に丸投げ。そういう旧来の自民党型政治ではなく、新たな政党政治が見られるはずだった。