デジカメぶらりぶらり

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日系二世

2012-12-28 07:39:01 | Weblog
米陸軍の秘密情報機関の一員として、日本軍と戦った日系二世たちにインタービューした映画「二つの祖国で、日系陸軍情報部」が、名古屋市で21日から公開されている。

すずきじゅんいち監督の「日系史ドキュメンタリー三部作」の完結編だ。真珠湾攻撃後、敵性外国人として強制収容された日系二世の若者たちは、米国に忠誠を誓うために入隊を志願した。

彼らを代表する人物が、17日に亡くなったダニエル・イノウエ米上院議員(民主党)だ。この映画にも登場するイノウエ議員は、日本から移住した両親の間にハワイで生まれた。日系人だけで編成された442連隊戦闘団に参加し欧州戦線でドイツ軍と戦った。

戦闘で右腕を失い、米軍人最高の名誉勲章を授与された「英雄」だ。戦後、政界入りし、日系人初の下院議員に。62年から連続9期、上院議員を努め、上院議長代行の要職にあった。

昨年6月に来日、日本記者クラブで会見した時、祖父から教わった「義務」と「名誉」という二つの言葉が、非常に重要だったと語っていた。明治の日本人の気骨を思わせる政治家だった。

一昨年、初来日するオバマ米大統領が広島、長崎への訪問を模索した際、米国内で反対論が強まったが、イノウエ議員は被爆地訪問を支持した。母親は広島出身だったという。日米をつないでいた太いパイプが切れた喪失感は大きい。

憲法

2012-12-26 07:44:00 | Weblog
<みなさんの中には、こんどの戦争におとうさんやにいさんを送りだされえた人も多いでしょう。ごぶじにおかえりになったでしょうか。それともとうとうおかえりにならなかったでしょうか>。

『新しい憲法のはなし』は、文部省が1947年に出した中学生の社会科教科書である。当時の政府が、新憲法の精神をどう伝えようとしたかを物語る本として、今も、復刻版が売れている。

冒頭の文は「戦争の放棄」の章の書き出し。続けて<こんな戦争をして、日本の国はどんな利益があってでしょうか。何もありません。ただ、おそろしい、かなしいことが、たくさんおこっただけではありませんか。戦争は人間をほろぼすことです>。

現実に父や兄を失い、泣きたくなるような気持ちで読んだ子どももいたに違いない。人権や選挙の重みを、やさしく説く文からは、時代の悲しみと希望があふれ出てくる。

自民党と維新が衆院で改憲の発議ができる3分の2以上の議席を獲得した。自民はまず、改正手続きを定めた96条を変え、その後9条を改める考えらしい。『あたらしい憲法のはなし』は52年に教室から消えた。

朝鮮戦争が起き、米国の求めで日本が事実上の再軍備を進めた背景がある。だが今「あたらしい憲法」の理念まで消し去っていいのか。憲法を論じることは、戦争とは何かを考えることでもある。

忘年会

2012-12-24 08:28:58 | Weblog
高村光太郎がビアホールの宣伝のためにつくったコピーがある。<白髪三千丈ビールによってかくの如く美しい>。どれほど集客効果があったかは分からないが、詩人らしくジョッキーを傾けたくなるような不思議な魅力がある。

日本酒の広告文も作っている。<大酒はもとより大毒。のまずにすむなら酒はのまぬが一番。もし飲むなら安くて悪い酒は禁物。高くてもよい酒が結構なれど安くて良い酒ならなほ結構な道理でございます>。

推奨しているのは福島県旧安達町の酒蔵がつくっていた「花霞」という銘柄。智恵子夫人の実家でつくっていた酒だ。蔵元の娘と知り合って、酒浸りのほうらつな生活を改めたのだから人生は奥深い。

つい酒に飲まれて深酒してしまう忘年会の季節も最終盤。気がつくと年内の残りの日を指折り数えるほど、暮れも押し詰まった数え日の中にいる。当時の日の夜、銭湯の湯船にゆずが浮かんでいた。

湯がうっすらと黄色に染まり、さわやかな香りが漂う。「湯治」との語呂合わせとの説もあるが、冬至にゆず湯という習慣は江戸時代からだという。ノロウイルスが原因の胃腸炎が猛威をふるい、インフルエンザも流行期に入った。手洗いやうがいの励行を忘れずに、数え日を元気に乗り切りたい。

2012-12-22 07:32:35 | Weblog
今年を表す漢字は、「金」。「金の年」の立役者の一人、ロンドン五輪レスリング女子48キロ級の覇者、小原日登美さんが金メダルを見せていた。

メダルは直径8.5センチで重さは400グラムほど。だが、実際に手にしたメダルは数字以上に大きく、何とも言えず、ずしりと重かった。

小原選手が選ぶ今年の字は、「8」だそうだ。青森の八戸出身で五輪の決勝は8月8日だった。その前日、対戦相手を決めるくじを引いたら「8」。同郷の伊調肇選手のくじも「8」。

「これはいける」との予想通り2人とも金。「ラッキー7でなく、8です」と笑う。小原選手の競技人生は、まさしく七転び八起きだった。小学生のころは「体力測定でもごく普通。そう有望とは思えなかった」と恩師が振り返るような子。

不器用で技を覚えるのも遅かった。人一倍の練習で世界選手権を制覇しても、五輪には手が届かない。うつ病になって故郷で引きこもり、自殺までも考えた。父の清美さんは「人はいつでも何度もでも、やり直せる」と励ましてくれたが、「もう遅い、もう無理」と言い返した。

「勝てない。レスリングをやる意味がない」という娘に、父は「レスリングをやれること自体が幸せ」と諭し続けた。小原選手が受賞の言葉は「感謝」。のびやかで力強い、心のこもった字だった。

宇宙旅行

2012-12-20 07:23:23 | Weblog
宇宙旅行の夢物語は、大量殺戮(さつりく)の悪夢の歴史と表裏一体だ。宇宙開発の父フォン・ブラウン博士こそは、弾道ミサイルの生みの親でもある。博士はナチスの秘密警察に逮捕されたことがある。

理由は「彼の関心は軍事ロケットではなく宇宙旅行に向いている。彼はA-4をイギリス攻撃に使うことに反対した」だった。結局、A-4ロケットは殺人ミサイルV-2となって多くの命を奪った。

米ソ間の宇宙開発競争を描く『月をめざした二人の科学者』の著書・的川泰宣さんは、戦後は米国で宇宙旅行の夢を実現させたフォン・ブラウンに疑問をぶつけた。なぜ殺戮兵器開発に携わったのか。

博士は答えた。「私の宇宙への夢は、人道的な立場からロケットの研究を中止するには、あまりにも強かった。その頃の私は、宇宙旅行の実現に向かって大きく前進できるならば、悪夢に心を渡してもよいとさえ思っていたのです」。

北朝鮮が長距離弾道ミサイルの発射を強行した。「人工衛星打ち上げのためのロケット」と称するが、米本土を狙えるミサイル開発だということは明白だ。原子力と宇宙開発を平和利用に限ってきた日本は他の大国と違い、胸を張って「夢」を語る資格がある稀有な国だ。


断層

2012-12-18 08:58:43 | Weblog
大地の亀裂は恵みと災いを、もたらす。歴史上最も重要とされる13の文明のうち11が、断層の上に都市を築いていたという。

厚さ100キロにも及ぶ巨大な岩盤の板・プレートで地球は覆われている。その数10数枚。地中深くの灼熱の溶鉱炉では、貴重な鉱物がつくられるが、人は炉に近づけない。

断層という「大地の切れ目」があって始めて、人類は銅や鉄を手にすることができた。古代文明は断層がもたらす恵みで育まれ、時にその凶暴さで滅びた。恵みと災いの微妙なバランスの上に、繁栄があった。

日本もまたしかりだ。敦賀原発の下に、活断層はあるのか。原子力規制委の専門家たちが「その可能性が高い」と判断した。専門家の一人は「こんな断層が原発敷地内にあること自体、異常事態」と言った。

なぜ、異常がまかり通ってきたのか。敦賀原発2号機を創る際の調査で、既に活断層の存在を示す調査結果が出ていたともいう。なぜ、国と日本原子力発電は「危険なし」と判断したのか。

疑問は検証されねばならぬ、規制委の判断を伝える同じ新聞に、鉄の鎧を着けたまま火砕流で死んだとみられる古代人の骨が、群馬県で見つかったという記事があった。噴火した榛名山の山の神を鎮める儀式の最中の死かもしれぬという。

この大地を畏れよ、さもなくば滅びん。古代からの使者は、そう告げているかのようだ。

津波

2012-12-16 07:46:23 | Weblog
「命を守るために、一刻も早く逃げてください!」「東日本大震災を思い出してください!」。7日夕、宮城県沿岸に津波警報が出された。避難を呼び掛けるNHKのアナウンサーの呼ぶような声に3・11の記憶が生々しくよみがえった。

大津波の教訓から、呼び掛けは緊迫感が強まり、テレビ画面も赤色で「津波!避難!」という大きな字で強調した。震災以降、初めて最大1メートルの津波が到来し、沿岸の2万6千人が高台に避難した。

津波情報の間に太平洋側にある原発の情報も流れた。福島は震度4。最も危険といわれる福島第1原発4号機の核燃料プールは損傷しなかったただろうかと、ひやひやしながら見守った。

幸いどの原発にも異常はなかったが、地震列島の中に50基もの原発を抱え込む恐ろしさを思い知らされた。大規模な余震はまだ続くだろう。東大地震研究所が作成した「日本の地震活動」と題する地図がある。

1996年から昨年5月までに起きたマグニチュード3以上の地震の震源に赤い丸印が付けてある。東日本の太平洋は真っ赤に染まっている。地震学者の石橋克彦さんによると、日本列島はほぼ全域で大地震の活動期に入りつつある。

夢金

2012-12-14 07:25:45 | Weblog
<欲深き人の心と降る雪はつもるにつれて道を忘るる>なんてことを言いますが・・・と始まるのは、落語『夢金』だ。

寝言でまで「百両ほしい」と叫ぶほど欲深い船頭が大雪の夜、身なりのいい娘を連れた侍を乗せ、川に漕ぎ出す。侍は船頭の強欲ぶりを見込み、娘を始末し懐にある大金を山分けしようと、持ち掛ける。

船頭は機転を利かし娘を助け、親から礼に百両をもらって大喜びする・・・が、すべては夢の中の出来事というどんでん返しの噺だ。

懸命に冬の街を駆け回っている候補者の皆さんが「欲深き人」とは言わないが、どちらも道を忘れてはいまいか。このままでは「夢金」ならぬ「夢票」になるのではないか。

そんな心配をしている。何しろせっかく当選しても、裁判所から無効宣言のどんでん返しをくらうかもしれない。一票の格差を是正せぬまま解散したために、格差は最高裁が、「違憲状態」とした前回の総選挙の時よりさらに広がっている。

そもそも解散をめぐって民主、自民、公明は、「来年の通常国会までに衆院議員定数の大幅削減を実現」と約束し合った。だが、国会をどう改革するのか、一票の格差をどう是正するか。

具体的な方策を公約に示さぬ党が多く、論戦も聞こえてこない憲法を変える、という党もある。しかし、違憲状態の国会を自らただす気がなくて、何が改憲か。笑えぬ滑稽噺だ

石綿

2012-12-12 07:26:36 | Weblog
石綿を原因とする中皮腫は潜伏期間が長く、吸い込んで数十年後に発症することがある。今判明している被害は氷山の一角だろう。

建設現場で石綿を吸い中皮腫などになった人たちが起こした裁判で、東京地裁が政府の規制に問題があったことを認めた。「国会や関係当局での真剣な検討を望む」と、多くの人を救済する仕組みづくりも促した。

国は、国際機関などの警鐘を軽視して規制を怠っていた。石綿被害の犠牲者の中には、あまりの苦しみに「早く殺してくれと」と、もがいた人もいたそうだ。国が対策をとらねば、犠牲者を二度殺すことになる。

タイムマシン

2012-12-10 07:51:50 | Weblog
もしもこの世にタイムマシンが実在し、自由自在に時間旅行ができるとしたら、 この本は、最良の旅行案内書だろう。英国の作家クリストファー・ロイドさん(44)が書いた『137億年の物語』(文藝春秋)だ。

無限の力を持つ見えない点が大爆発した宇宙創成から、人類が生命の進化にさえ介入するようになった今日まで、自然と人類の物語が5百ページに詰まっている。

小さな卵に潜む驚くべき進化の秘密、古代ギリシャでオリーブの実から生まれた民主主義の誕生秘話・・・。世界中で50万の読者が、この本で知的時間旅行を楽しんでいるらしい。

そのロイドさんが、ここ百年で最重要と指摘する出来事が三つある。一つは、ちょうど百年前のタイタニック号沈没。先端技術の粋を集め不沈と称された船の悲劇は、安全神話の脆さを教えた。

二つ目は、1969年の有人月面探査。月から地球を見て初めて、人類は地球の美しさと自分たちの儚さを知った。三つ目が、3.11だ。資源を際限なく消費する産業社会。それを象徴する国が大地震に襲われ、原発事故が起きた。

この惨事が発した問いを考えるために、ロイドさんは福島を訪れた。そこで確信したという。「自然と人間、資源と消費の新たなあり方を考えて、世界に示す大きなチャンスが、今の日本にはあるのです」。3.11後初の総選挙が、4日告示された。