名古屋・名駅街暮らし

足の向くまま気の向くままに、季節の移ろいや暮らしのあれこれを綴ります。

高山市岩滝小学校の絵本 「こぐまのコロちゃん」

2012年04月11日 | セカンドルーム

 

今日は朝から雨が本降りとなり、夕方まで止むことはなかった。
全国的に荒れ模様のようで、満開の桜を散らし、山里の名残雪も融かす無情の雨だ。


高山市岩滝小学校の全児童24人が挿絵を描いた絵本「こぐまのコロちゃん」が、校下の家庭に配られた。
乗鞍岳の山麓で熊を仕留めた猟師が、そばにいたヨチヨチ歩きの子熊をもち帰り、校内で児童たちが育てるストーリーである。
作者は同校の卒業生で、昨年63歳で亡くなった農家の方が、「子ぐまのコロ 飛騨の猟師の思い出」という一文をもとに、先生方がまとめられて絵本が完成した。
子熊を校内で育てたことや、当時の授業、遊び、暮らしの様子などの思い出もつづられ、今では想像も出来ないような、ほのぼのとして温もりのある話である。
給食用のミルクを子供たちが飲ませようとしても飲まない子熊を見て、給食のおばさんが口移しで飲ませたり、お尻の周りをさするとオシッコを出すことをおばさんに教わったりと、真剣に子育てに取り組む姿がほほ笑ましい。
子熊のミルクをもらいに行って、隙を見て自分の腹にも入れてしまういたずらに、昔を思い出して思わず笑ってしまう。
元気になったコロは学校中の人気者になり、女の子たちは「可愛いから抱かせて」と奪い合った。
大きくなったコロは校内を走り回り、戸を閉めているとキューキュー鳴いて空けてくれと言う。
やがて子熊が校内にいることが珍しくなくなり、生徒たちとの自然な関係が芽生えていく。
学校へ来て半年ほど経ったコロは、爪も牙も鋭くなり時おり野生の姿を見せるようになり、先生方は「これ以上学校に置くことは、子供たちにもコロのためにも良くない」と判断した。
そしてある日、コロちゃんの卒業お別れ会が校庭で行われた。
コロちゃんは給食のおばさんが作った晴れ着の白いシャツを着て、全校生徒の手拍子に送られて、名古屋の動物園へ巣立っていった。
絵本の内容は以上のようだが、制約の多い現在の学校では考えられないような触れ合いが、ごく自然な関係で行われていた。


絵本のあとがきで校長先生は「50年前の栄坊やマサやイクちゃんと同様、現在の岩滝小学校の24人の子どもたちは、時々わるさをしますが、素直で温かい心を持ち、元気にすくすくと育ってまいす。岩滝小は昔も今もかわりません」と記されている。
まさに言葉通りで、今も豊かな自然に抱かれて、自然や人との触れ合いを大切にする子供たちが育っていることを、しばしば垣間見ている。

コメント (6)
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