朝日が射すと、朝露に濡れた野山から盛んに湯気が立ち上る。
今日も一点の雲も無く、初夏のように爽やかな一日だった。
まわりの山はまだ冬枯れの姿だが、森が少しずつ色づいてきた。
トチの新芽は赤い殻を脱いで、小さな葉先が飛び出していた。
タラの芽は淡いピンクと緑の裾模様が瑞々しい。
朴の木はとがった芽に夜露を乗せて、天に向かっている。
ナラやクリ、クワなどは芽吹きが遅く、まだ固い蕾のままである。
どういう訳か、葉っぱの大きい木から芽吹きが始まる。
間もなく山がほんのりと赤く染まり、淡い緑が鮮やかさを増すと、山里も本格的な新緑の季節を迎える。
裏山の椎茸も最盛期を迎えて、毎日大きなざるに1杯程収穫している。
雨の後に気温が上昇して、椎茸の成長を促しているようだ。
隣を押し退けるようひしめき合って出てくる様は、いつもながら自然の営みの力強さを感じる。
まだ小さい子がたくさん出ているので、もうしばらくは収穫できそうだ。
干し椎茸作りには絶好の天気になったので、波板トタンに並べて天日干にした。
このあたりの人は、椎茸に限らずワラビやゼンマイなども乾燥して保存食にしている。
生椎茸に比べて香りや旨味が増し、栄養素が凝縮されビタミンDも100倍以上に増えるといわれている。
山と太陽の恵みで、健康食品がたっぷり出来そうだ。