前回まで、10回にわたって間接法の練習を行ってきましたがいかがでしたか?
得手不得手がけっこうハッキリ分かれる間接法ですが、苦手だという方「自分にもできるかも」という気持ちになっていただけたでしょうか。
基本的なところはきっちり押さえたつもりですので、あとは全身どの部位でも、この基本に則って練習すると習得しやすいのではないかと思います。
間接法という用語について、少し補足しておきたいことがあります。
今回のシリーズでは直接法を、かたい方向、抵抗の強い方向、制限のある方向、動かしにくい方向に動かしていく治療手技としました。
反対に間接法は、やわからい方向、抵抗が弱い方向、制限のない方向、動かしやすい方向に動かしていく方法でした。
多くはこのような用い方をされますが、まれに異なる意味で用いられることがあるかもしれません。
それは、目標となる関節を構成する骨に「直接」コンタクトして操作する方法を「直接法」と表現される場合です。
この場合、「間接法」はいくつかの関節を介して「間接」的に、目標となる関節を操作する方法を意味します。
以前、「徒手的テクニックの使い分け3~関節面への他動運動~」で、小さいテコを使ったモビライゼーションと大きいテコを使ったモビライゼーションについてお話ししました。
ここでの小さいテコが直接法で、大きいテコが間接法となります。
≪ 小さいテコ:直接法 ≫
≪ 大きいテコ:間接法 ≫
何だかややこしいですね。
手技療法のなかには統一されていない用語もあるので、混乱してしまうことがときどきあります。
たとえば、仙骨が前方へうなずように傾くことを、ふつうは運動学に則って「屈曲(=点頭:nutation)」と呼んでいます。
ところがオステオパシーの頭蓋仙骨テクニック(CST)では、同じ動きを「伸展」と表現します。
これは蝶形後頭軟骨結合を基準にする、CSTの特徴的な考え方のためですが、詳しいお話は省きます。
とにかくこれを理解しないでCSTを学ぶと、骨盤に関して何が何やらということになりかねません。
その場合は、前後の文脈や話しの流れから判断するしかないかもしれませんが、用語の統一は業界にとって必要だと思います。
さて、この「ひとりでできる!!練習法」シリーズも、これまでずいぶんいろいろな方法をご紹介してきました。
脊柱・骨盤の自動運動による可動性の触診や、肩・膝を用いた関節構成運動の触診、他動的な関節あそび検査も行いました。
関節モビライゼーションや筋肉エネルギーテクニックなど、直接法や間接法によるテクニックの練習法もやってきましたよね。
手技療法の習得するために、身につけておいたほうがよいものが、ある程度はカバーできるようになってきたかなと思います。
練習相手がいなくても、ヤル気さえあればいろいろできるものです。
せっかくの機会なので、「ひとりでできる!!練習法」を通して、伝えておきたかったことをいくつかお話ししましょう。
まずは、学んで習得するまでのスピードについて。
前回は一話だけで、間接法による関節モビライゼーションの練習を終わらせることができました。
そのようにできたのは、関節あそび検査にはじまり、直接法による関節モビライゼーション、間接法による筋筋膜リリースやストレッチの練習を積み重ねてきたからです。
これが、いきなり間接法による関節モビライゼーションを覚えようと思ったらそうはいきません。
このように手技療法は、ひとつの方法をきちんと習得すれば、それを次のテクニックにも生かすことができるので、学べば学ぶほど身につけるスピードは速くなっていきます。
スポーツや武道、料理なども同じはずです。
ですから、習得しなければならないことが多いからといって決してあせらず、ひとつひとつの基本技術を確実に身につけるようにしていってください。
結局はそれが近道になります。
いくら手数を多く覚えたからといって、基本ができていないとテクニックの切れ味が悪くなり、効果は上げにくいのではないかと思います。
≪次回につづく≫
おかげさまで週間訪問者が1500人になりました。
週1回の更新で続けてきた「手技療法の寺子屋」ブログは、はじまってからもうすぐ4年6か月になりますが、前回初めて週間訪問者が延べ1500人を超えました。
ちょうど一年ほど前、1000人をこえましたので、この1年で500人増えたことになります。
1500というのは、とても大きな人数だと思います。
このブログでは「手技療法に共通する基本は何か」「どうすれば基本を効率よく身につけることができるか」という問いを主なテーマとして、私なりの考え方で少しずつまとめてきました。
私も小さな石ころのひとつにすぎません。
それでも、このようにたくさんの方に関心を持ち、共感していただけるというのはとてもうれしいことです。
あらためてみなさんに感謝いたします。
「手技療法の寺子屋ブログ」が電子書籍になりました。
Apple版(iPad / iPhone 対応)も発売になりました。
「手技療法の寺子屋ブログ」に若干の加筆修正を加えた総集編(1~150話)です。
手技療法(=徒手療法・マニュアルセラピー)を「身につけ、使いこなす」という視点から、治療の考え方、体性機能障害の捉え方、評価のコツとポイント、触診のトレーニング方法、テクニックを効かせるための技術などを紹介しています。
専門書ではなかなか触れられていない、技法の習得をスムーズにするためのポイントを多数紹介しています。
学生から臨床経験3年までの方が主な対象ですが、経験年数のある方にも復習用として、あるいは指導用としてお役にたてる内容です。
この書籍が多くの仲間の役に立つことを願っています。
Apple版・Android版・PDF版が発売されています。
試し読みもできますので、下記をクリックしどうぞご覧ください。
電子書籍の本屋さん「Dopub」
得手不得手がけっこうハッキリ分かれる間接法ですが、苦手だという方「自分にもできるかも」という気持ちになっていただけたでしょうか。
基本的なところはきっちり押さえたつもりですので、あとは全身どの部位でも、この基本に則って練習すると習得しやすいのではないかと思います。
間接法という用語について、少し補足しておきたいことがあります。
今回のシリーズでは直接法を、かたい方向、抵抗の強い方向、制限のある方向、動かしにくい方向に動かしていく治療手技としました。
反対に間接法は、やわからい方向、抵抗が弱い方向、制限のない方向、動かしやすい方向に動かしていく方法でした。
多くはこのような用い方をされますが、まれに異なる意味で用いられることがあるかもしれません。
それは、目標となる関節を構成する骨に「直接」コンタクトして操作する方法を「直接法」と表現される場合です。
この場合、「間接法」はいくつかの関節を介して「間接」的に、目標となる関節を操作する方法を意味します。
以前、「徒手的テクニックの使い分け3~関節面への他動運動~」で、小さいテコを使ったモビライゼーションと大きいテコを使ったモビライゼーションについてお話ししました。
ここでの小さいテコが直接法で、大きいテコが間接法となります。
≪ 小さいテコ:直接法 ≫
≪ 大きいテコ:間接法 ≫
何だかややこしいですね。
手技療法のなかには統一されていない用語もあるので、混乱してしまうことがときどきあります。
たとえば、仙骨が前方へうなずように傾くことを、ふつうは運動学に則って「屈曲(=点頭:nutation)」と呼んでいます。
ところがオステオパシーの頭蓋仙骨テクニック(CST)では、同じ動きを「伸展」と表現します。
これは蝶形後頭軟骨結合を基準にする、CSTの特徴的な考え方のためですが、詳しいお話は省きます。
とにかくこれを理解しないでCSTを学ぶと、骨盤に関して何が何やらということになりかねません。
その場合は、前後の文脈や話しの流れから判断するしかないかもしれませんが、用語の統一は業界にとって必要だと思います。
さて、この「ひとりでできる!!練習法」シリーズも、これまでずいぶんいろいろな方法をご紹介してきました。
脊柱・骨盤の自動運動による可動性の触診や、肩・膝を用いた関節構成運動の触診、他動的な関節あそび検査も行いました。
関節モビライゼーションや筋肉エネルギーテクニックなど、直接法や間接法によるテクニックの練習法もやってきましたよね。
手技療法の習得するために、身につけておいたほうがよいものが、ある程度はカバーできるようになってきたかなと思います。
練習相手がいなくても、ヤル気さえあればいろいろできるものです。
せっかくの機会なので、「ひとりでできる!!練習法」を通して、伝えておきたかったことをいくつかお話ししましょう。
まずは、学んで習得するまでのスピードについて。
前回は一話だけで、間接法による関節モビライゼーションの練習を終わらせることができました。
そのようにできたのは、関節あそび検査にはじまり、直接法による関節モビライゼーション、間接法による筋筋膜リリースやストレッチの練習を積み重ねてきたからです。
これが、いきなり間接法による関節モビライゼーションを覚えようと思ったらそうはいきません。
このように手技療法は、ひとつの方法をきちんと習得すれば、それを次のテクニックにも生かすことができるので、学べば学ぶほど身につけるスピードは速くなっていきます。
スポーツや武道、料理なども同じはずです。
ですから、習得しなければならないことが多いからといって決してあせらず、ひとつひとつの基本技術を確実に身につけるようにしていってください。
結局はそれが近道になります。
いくら手数を多く覚えたからといって、基本ができていないとテクニックの切れ味が悪くなり、効果は上げにくいのではないかと思います。
≪次回につづく≫
おかげさまで週間訪問者が1500人になりました。
週1回の更新で続けてきた「手技療法の寺子屋」ブログは、はじまってからもうすぐ4年6か月になりますが、前回初めて週間訪問者が延べ1500人を超えました。
ちょうど一年ほど前、1000人をこえましたので、この1年で500人増えたことになります。
1500というのは、とても大きな人数だと思います。
このブログでは「手技療法に共通する基本は何か」「どうすれば基本を効率よく身につけることができるか」という問いを主なテーマとして、私なりの考え方で少しずつまとめてきました。
私も小さな石ころのひとつにすぎません。
それでも、このようにたくさんの方に関心を持ち、共感していただけるというのはとてもうれしいことです。
あらためてみなさんに感謝いたします。
「手技療法の寺子屋ブログ」が電子書籍になりました。
Apple版(iPad / iPhone 対応)も発売になりました。
「手技療法の寺子屋ブログ」に若干の加筆修正を加えた総集編(1~150話)です。
手技療法(=徒手療法・マニュアルセラピー)を「身につけ、使いこなす」という視点から、治療の考え方、体性機能障害の捉え方、評価のコツとポイント、触診のトレーニング方法、テクニックを効かせるための技術などを紹介しています。
専門書ではなかなか触れられていない、技法の習得をスムーズにするためのポイントを多数紹介しています。
学生から臨床経験3年までの方が主な対象ですが、経験年数のある方にも復習用として、あるいは指導用としてお役にたてる内容です。
この書籍が多くの仲間の役に立つことを願っています。
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