対局日誌

ネット囲碁対局サイトでの、私の棋譜を記録していきます。
全くの初級者がどう成長していくか、見守ってください。

読みの技法

2005-12-20 23:01:58 | 棋書
先の「碁ワールド新年号」の記事を書いていて思ったのだが、四天王を起用するなら囲碁版の「読みの技法」なんか出版してみると面白いのではなかろうか?

読みの技法」と言われても、囲碁(オンリー)のファンにはサッパリわかるまいから解説が必要だろう。
今を去ること10数年前…といっても今も販売中なのだけど、将棋棋書で「読みの技法」という名著があった。
囲碁関係でも意欲的な本を出している河出書房新社の本だ。

まず章ごとにある手広い局面(定跡の一局面やプロの実戦)が提示される。
その局面に対し羽生善治、佐藤康光、森内俊之という当時の若手トッププロ(そして今は3人ともタイトルホルダー)達に5分ほど読みを入れてもらう。
その後、各々がその局面をどう捉え(形勢など)、そしてそれに対してどう指し、どういう進行が想定されるかを述べて貰うという進行になっている。
問題となる局面を作成しているのは、これまたトップ棋士の島朗。
彼は上記の3人と研究会をやっていた。

囲碁に比べて将棋は選択肢が格段に少ない。
確かに大体、ほとんどの局面の形勢判断は3人ともそう違わないし、次の手の選択肢も概ね同じである。
にもかかわらず(そういう局面を選んでいることもあろうが)、その後の指し方や方針は三者三様で違っており、各々の個性が否応なく現れ、それを比べるのが圧倒的に面白いのである。
終盤の収束においても、局面によっては三人の認識に違いがあるのは驚きでもある。
またそれでいて3人共通の部分もやっぱりあり、プロの絶対感覚を学ぶ上でも大変有意義な本となっている。
説明がわかりにくいようなら、リンク先を参照のこと。

反面、テーマがテーマだけに内容が非常に高度なので、ファンの間でも「全然役に立たない」という声と「物凄く良い本」と評価がわかれていたようだ。
「アマ向けに」などという変な妥協やウソ手はなく、純粋に各々が最前と思う読みを、全部披露しているから最高難度の本である。
しかし概ね、その感覚を共有できる高段者の間では広く支持されているようだった。

この形を囲碁に流用したらどうだろう?
幸いにして四天王と称される羽根、張、高尾、山下は棋風がそれぞれ違う。
恐らくある局面から、放射状に読みの広がりを楽しめるのではなかろうか?
こちらも妥協なく数十手に及ぶ読みを披露していただきたい。
個々の個性もより際だち、棋士への興味も増しそう。

本当は実際にこういう企画が、雑誌上で実現しているのを私は知っている。
月刊「囲碁」の2004年7月号の別冊付録での企画で、片岡聡プロ、小林覚プロ、王立誠プロが、片岡プロの提示する10題の布石に対し、各々見解を述べていというもの。
ただ残念ながら、座談会形式になっていて、お互い他の人の読みを聞くことができるので、読みの「純度」が低い感じがする。
読みも踏み込みがもう一歩のような…。
しかしそういったことを引いても、大変楽しめた。
アレを膨らませて一冊にするのでも十分である。

もっともっと、こういう企画の本が読みたい!
願わくば布石だけでなく中盤の手の広い局面も。
ヨセまでくるとさすがに意見の違いは出てこないのかな…。
いや、意外にも諦めの悪いプロとそうでないプロで意見の違いがあったりして。
それから本当は韓国や中国のプロや王メイエンプロ、武宮正樹プロ、宮沢吾朗プロなど変わった棋風の人も加わると、物凄くワクワクするのだけど。
それでいて案外、こんなに盤面は広いのに考えていることはみんな同じだったりするのかもしれない。

どうですか?
出版社関係の方々。
お隣さんの企画だが、パクっても別に怒られないだろうし、どんどんマネしてみるのも良いのでは?

碁ワールド新年号

2005-12-20 19:18:24 | 棋書
先月号で「ハイパー検討室」が終わってどうなるかと思ったが心配通り、ありきたりな内容に逆戻りしている。

どうせ四天王を担ぎ出すなら、例えば今月の解説者が「翌月の解説者の」碁を検討。
で、そこで出てきた疑問点や案に、翌月号で担当の解説者が答える、みたいなリレー形式にした方が来月号が楽しみになるし、棋風の違いもわかって面白いと思うのだけど。
囲碁雑誌の編集者のアイディアの乏しさに目眩がする。

あさださんの言う通り、この部分に関してだけは将棋界の方が「マシ」である。