6月7日に、「原子力安全に関するIAEAに対する日本国政府の報告」がHPにも発表されました。東日本大震災による東京電力福島原子力発電所事故に関する報告書です。さっそくプリントアウトしました。添付資料も含めて900ページ近くありました。
6月8日の新聞に解説はありましたが、そうかなと思いました。一通り、目を通しました。私なりに、行間をも読み取りました。
原子力関連法規、津波被害、事故発生状況、対応、被ばく状況、国際協力、コミュニケーション、収束取り組み、教訓、炉心状態、評価のクロスチェック解析、図表、自治体への助言概要、RI含有水の流出対応、被災者への当面の取組方針、教訓からの具体的対応策の順です。
これをどう読み取るか。
私は、先ず、全体を一通り目を通しました。現段階で、良くここまで出来たとの認識を持ちました。日本のテクノクラートは優秀と感じ入りました。そして、どの政党も政治家トップの無能を改めて恐ろしくなりました。冷静に推移を見守る国民も意識ある世界の人々も固唾をのんでいることでしょう。
原子炉物理学・工学研究者、放射線物理学研究者、放射線防護学・物理生物学研究者、地震・津波・テロ等セキュリティー学研究者と技術者は長年の提案が受け入れられないもどかしさ故の今回の事故に、それ見たことかという間もない日々の働きを想像しております。
事故が起こらない対策コストよりも、一度の事故後のコストの方がはるかに高くつくことが今回も示されました。
私は、学校教職にあって、高校物理教科書の最後に載っている原子物理の授業を必ずしました。原水爆のこと、核実験のこと、核ミサイルのこと、原子力発電(核分裂・核融合反応)のこと、放射線のことを基本である原子物理から始めていました。文明と産業とエネルギー利用(エントロピー発散も)とこれからの科学と技術について生徒が、自分の考えを深めることはとても大切です。将来、原子核反応エネルギー利用に賛成であっても、反対であっても国民の大切な素養であると考えていました。
しかし、教職員組合や特定政党関係者から原発推進者として見られたり、専門家集団の放射線実験講習授業を、前の校長は許可したのに、次の校長は組合がうるさいと許可しませんでした。彼は原発反対論者かと問題視した教育委員会上司や幹部もいたと聞こえてきました。社会に関係が深い過去・現在・未来に大切なことの教育を進めると、しばしばこうなるのです。
学校では、生徒に支持されても、目立つ仕事をする教員は学校からはじかれるのが常です。しかし、3人以上の教員が頑張って児童・生徒に一生懸命になっていると、学校の資質が高くなって評価されます。アニマルペアレントがいて騒ぐと、このことが壊しになりますが。
これから、この「報告書」に関連して、さまざまの立場からのデータと論文が出るでしょう。何よりも、震災や原子力発電所事故の被災者の記録、被災地の記録が出ることでしょう。
ここに至って、人類始まって以来の日本人は、これまでのリッチになる文明を落として、安全・安心・安定を模索するのでしょうか。出来るのでしょうか。模索しなければならないのでしょうか。私には、まだ選択可能で実現可能な理論や思想の創造は時間がかかると思っています。国民の多くは、いまだリッチを求めています。容易ではないでしょう。
戦後、日本は奇跡的な復興をなしたではないかと言われます。確かに、日本人は特異と評価される勤勉な資質があります。あのときは、朝鮮動乱の特需が日本経済の復興に繋がりました。その後も、ベトナム戦争が落ちかかった日本経済を伸ばしました。
約2500年前、ソクラテスも釈迦も孔子もリッチを求めての幸福は無いを説きました。約2000年前、キリストもそういいました。ソクラテス以外の人の崇高な精神は、後に似ても似使わない宗教になりました。釈迦・孔子・キリストが最も懸念した方向になりました。
それにしても、今後中国、インド、アフリカ、中東では原子力発電エネルギーが必須となって発電所建設が進むでしょう。産業と生活維持・向上の手段です。たとえ当事国の政権維持の手段であったとしても進むでしょう。
21世紀は、人類は文明を制御する英知を創造して、地球上の生きとし生けるものの安全・安心・安定を実現すべき働きをするようになったと言えるようになりたいものです。夢であり理想でありますが、出来る筈がないと思える物ごとを、これまでは特別と思える人によって可能にした歴史です。さまざまの分野の新理論を生みました。幾多の発明・発見・開発があって人々はその成果を享受してきました。
一方、働き者・怠け者、金持ち・貧乏、戦闘的・平和的、便利・不便、頑健・病弱、丈夫脳・異変脳など対極的な現象は、人間は生命体であるがゆえに、太古から現在もこれからもレベルは異なっても続くでしょう。生命の永続という生命体の本能は、どういうことの作用であるのでしょう。
私は、今の地球人がこれから1万年は、命を繋いで生存するためには、望ましい文明を創造して永続する、恐らく制御可能な思想を持つこと急ごうという使命感を感じます。
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