担任を持って3年間を過ごして卒業させたら、すぐにまた3年生の担任を引き受ける
ことがあった。 理工系進学希望クラス。 40代半ばの頃である。
大変なクラスであることを知った。あちこちに落書きがある。掃除をきちんとしない。
授業が成立しない寸前であり、まもなくいじめがあることも知った。
始業式前日までに教室の落書きをすべて消した。シンナーで。
毎日、書かれた落書きを消した。生徒が帰った後で。
始業式当日から、放課後の教室掃除に付き合った。 生徒に声掛けをした。
生徒に用事があるときは、教室に出向いて呼び出して伝えた。
わざわざ、用事を作っては、多くの生徒に声かけに出向いた。
退勤前に、教室の机を前後左右をきちんと揃えた。床の木タイルの線に合わせて。
1ヶ月もすると、机の乱れは少なくなった。卒業まで続けた
いじめの現場に出会った。大勢が知らぬふりをしていた。
本気で怒った。私の場合、愛のむちはあり得ない。いじめはなくなった。
家庭訪問週間を設定した。希望日と希望時刻の欄を作って、記入させた。
出来るだけ、両親も家族もいるよう希望した。
家庭訪問では、授業態度や学業成績のことを話さないようにした。
生まれていつ首が座ったか、いつごろからハイハイしたか、お尻でずったか、
幼稚園・保育園から小学生の頃の思い出などを家族から聞きだした。
生徒の部屋がきれいになった。たばこの匂いもほとんど消した。
家族は、先生が来るというだけで、こんなになるとは、と驚いた。
最も問題生徒は、立ち直った。
車を持っていなかったから、自転車で走り回った。札幌市北区西区そして石狩市内を。
卒業の時は奇跡が起こった。